第四話:「月水金は生ごみ出し日
蒼疾「さて、今回の登場は……」七海「七海です!肩書は蒼疾さんの妻で〜す!」蒼疾「次回、フェアリーブレイヴ『月曜日は七海の日』」七海「む、無視された…」
第四話:
「月水金は生ゴミだし日」
「え〜判決、天川蒼疾には〜」
「以下の判決を〜」
「言い渡しますっ!」
被告側の弁護など存在しておらず、検察側の証言だけなうえに気がつけば裁判官が三人に増えていた。傍聴席には誰一人としておらず、この一方的なやり取りを見ていたものは窓から中を覗き込んでいる白猫ぐらいなものだろうか?これ以上残念無念なことを繰り返していても事態は好転しないということだろう。
意味のわからないへこみ時間はおいておくとして今まさに、俺の処理が下った。
「月曜日は私、大津知七海が……」
「そして水曜日はこのあたし、緋斑奈々枝が!」
「最後に!金曜日は三塚菜々子がお兄ちゃんと一緒だよ!」
こほんと一つため息をついて七海は言ったのだった。
「これはあくまで救護策であり、決して私情が挟まっているわけではありません。私たちは公平かつ、未来の妻としての技能や男性………この場合は蒼疾さんがどういった女性に惹かれるのかという実験でもあって………決して、決して夜中ベッドに進入とか寝ぼけている隙に唇を奪って初めての相手は自分だと主張しないための、私たちによる、私たちのための、素晴らしい判決なのです!」
いいきった七海の背中には後光が見えた………なんてあるわけないな。
「ちょいまった!俺の意見は?」
「………こほん、フタマタならぬサンマタを敢行しようとした蒼疾さんの意見なんて無視します」
「え?」
七海が断言し、他の二人がうんうんと頷く。
「してないぞ、サンマタなんて………」
そういうとどこからかスモークガラスと手に持つタイプの目を隠すあれね……わかるかな?証言VTRとかで目を隠すあれを彼女達は持って唖然としている俺の目の前でそれは始まったのだった。
「ええ、はじめは………いわれたときとても嬉しかったですよ?だって、まさか、あちらのほうから………ええ、そうです。けど、どうやら引越しの前の日に………うっ……酷い人です!(プライバシー保護のため、三人の証言者の音声は変えております)」
プライバシーも何もあったものじゃないだろうに?
「ああ、そうね………あたしの場合は暗がりで、えっと………押入れの中だったかな?それで、せまっちいからぴとってくっついて………あの頃は弱虫で、泣いていたら抱きしめてですよ?耳元で優しく。君みたいな綺麗な女性はいないって……本当に女たらしよ!」
断言しよう………俺がガキのころにそんなくどき文句を言えたとは思えない。
「えっとねぇ、こう、なんかとても暗いところでお互い顔とか見えなくて………そうそう、押し倒されてもう何がなんだか………そのときこけていたくてね………なんだかどこにもいけないんじゃないかっていう不安が来て……そうそう、そしたらわたしのことをすきなんだぁって言われて………そのまま……」
今だったら本当に何をしでかすかわからないがそんなガキが男女の営みというやつを知っているとは思えない。
兎にも角にも、三人が三人とても美人だ………悪くはないのかもしれない……意外と俺っていい待遇なんじゃないだろうか?だって学校だって同じだし………そこまで思い当たってふと考えた。
「あのさ、少し思ったんだが………俺と同級生の人〜」
「はい」
そういって手をあげたのは七海ひとり。まぁ、妥当なところだろうか?身長の高い奈々枝に身長の低い菜々子……この二人は年上と年下ということなのだろうか?
「俺より学年一個上の人」
「はいっ!お兄ちゃん!」
うん、既にその時点で俺は菜々子のお兄ちゃんではないね。
「………じゃ、あんた年下?」
「何よ、その驚きようは………?しばくわよ?」
しばいちゃいやん♪………とかいっている場合ではない。
「先輩に対して敬語がなってない」
「はぁ?蒼疾は自分が先輩だって思ってるの?年齢は同じよ、同じ!」
つまり、この奈々枝は………
「すべった?」
「うっさいわね!」
留年したのだろう………頭が悪そうには見えないのだが………
「テストとかまじめに受けたのか?」
そういうと奈々枝はなんだかもじもじし始めてふと、天井を見上げる。
「あ、あんたのことを考えて夜空を見上げていたら勉強どころじゃなかったわよ!」
「………」
なんだか、今物凄いことを言われたような気がしたぞ、おい。い、いや、気のせいだろう。
「こ、こほん……それより、菜々子だっけ?本当に年上?」
そういうと頬を膨らませる。どうみても中学生にしか見えない。
「失礼だな〜おにいちゃんは!」
「あ、わかった………年はしたなんだけど飛び級とか?」
「いえ、菜々子先輩は十七歳ですよ。五月一日に十八歳になられます」
「ふ〜ん?」
首をかしげる俺に近づいて菜々子先輩は言ったのだった。
「………ロリ姉、萌える?」
「……ごめん、萌えないっす」
「ガーン!」
しきりにショックを受けているロリ先輩は放っておくとして俺は七海に視線を移した。
「………俺と同い年?」
「ええ、そうです。十六ですよ」
本当だろうか?意外と裏設定があるのでは?実は男だったとか、元、男だったとか………
「あの、何か失礼なことを考えていませんか?」
「いや、考えてないぞ、うん」
あせってもしょうがないので俺はそこで話を終えることにした。
「まぁ、あれだ………よくはわからんがこれから宜しく!」
こうして、俺は約束を守らせるためにやってきた三人と友情を深めるべく、がんばることにしたのだった………色々と。