フェアリーブレイヴ第一幕 閉幕
蒼疾「さて、前回からよく意味のわからないことが起きてるなぁって思っている人は………いませんね、それはおいておくとして、今回で若い俺ともおさらばですね………次回会うときは成長して帰って来る予定です」
フェアリーブレイヴ 第一幕閉幕
「あら?」
七海は不自然に開かれた蒼疾の部屋の扉を開ける。
「蒼疾さん?」
しかし、そこにはこの部屋の主人の姿はなく、ただいつもよりかなり整頓された部屋が残されていた。あれだけ床に散らばっていた衣類や雑誌、漫画本などは綺麗にタンスや本棚に収納されている。数年間一緒に生活していたが初めてのことであった。
「珍しいこともあるんですね」
それだけ残して部屋を出ようとすると奈々枝がやってくる。
「どうしたの、七海」
「いえ、実は蒼疾さんの部屋が綺麗なんですよ」
「へぇ、そりゃすごいわね」
奈々枝も入ってきて驚いている様子。この蒼疾の家に住んでいる人たちにも各自きちんと部屋わけが行われているが綺麗な順番は七海、菜々子、それから数十歩下がって奈々枝に続いて蒼疾だった。
「あたしより綺麗なんておかしいわ」
「そうですよね、それに、携帯とかおいていっていますし……」
いつもだったら肌身離さず持っているはずの携帯電話を今日は電源を消してこれまた収納スペースにすべて片付けられてしまっている机の上におかれていた。
「手紙?」
携帯電話の隣には手紙がおかれており、それを手にとって見る。
「どうかしたの、七海おねえちゃん?」
「あら、菜々子先輩……そういえば蒼疾さんを見ませんでした?」
「しらないなぁ?」
首をかしげ、七海の持っている手紙に視線を送る。
「何それ?恋文?」
「え?」
綺麗に封をしてあるそれを急いで開けてみる七海。ほかの二人も左右から覗き込む。
「?」
そこに書かれていたことは次のものだった……
『こんないきなりの文章を書いてしまったのはとてもわがままなことだとわかっているんだが、許してほしい。 捜さないでください 天川蒼疾』
「こ、これって家出文章じゃないですか!」
七海がおどおどとした調子を見せ始める。
「い、急いで蒼疾さんのご両親に電話をしなくちゃ!」
「……そうね、蒼疾の携帯から…」
「急がないと!」
こうして、天川蒼疾は失踪してしまったのだった。