プロローグ
蒼疾「さぁ、恒例となった次回予告………え?違う?こほん、失礼しました。今回からこのスペースを使用し、次回の予告をしていきたいと思います!拍手!……え〜、次回、記念すべき第一話!『777』!」
プロローグ
「………して、あるから………」
睡眠効果を持つ校長先生の話は一方的に進んでいき、気がつけば校長先生の孫の話になっていた。当初はきちんとした話だったと思う……五分ぐらい。
孫話に花が咲いているようで二百五十人以上の聴衆をえて確実に話は混迷へと向けてまっしぐらである。
それこそ、いつ生まれたとか何歳がとてもかわいいとか写真を皆に見せているとか当然の行為とでも思っているのだろうか?手にしているのはアルバムであり、まだまだ写真はあるようだ。きっと目に入れても痛がらないに違いない。もっとも、左目には眼帯をつけているので右目にしか入れることはできないだろうが………
「……き、機動要塞グングニールが……むにゃむにゃ」
隣では見知らぬ生徒(とはいってもクラスメートとなる人物だが)が夢の世界で自分の陣地が壊されたことを目撃したらしい。彼の夢空間戦闘がさっさと終わることを祈ろう。
「……その孫が……」
二十回のところまで孫という単語が出てきたところで孫が何回出てくるか数えるのを放棄した。孫、出てきすぎだろ。
「……グングニールの……敵じゃぁあ!!」
隣は佳境にはいったらしい………左側の生徒は目を開けたまま眠っている。
「………」
教師人の中にも疲れているのか新人教師と思われる我がクラスの高峰涼子先生が転寝をしていらっしゃる。未だに先生達の紹介すらあっていないし、校長先生の後に予定されている新一年生代表挨拶がどれほど後になるか実に気になる。これはもう、校長VS新一年生&教師人&保護者という異種格闘技戦に匹敵する戦いだろう………くだらないが。
さて、あと三十分は待っていないといけないかなと思っていると………
「校長先生!」
びしっとした声が体育館内に響き渡り、まるでそれは目覚まし時計かのように校長先生の睡眠作用を含んでいた声を吹き飛ばし、眠ってしまって敗北を喫していた連合軍たちに一閃の光を与えるかのようだった。
「………ふにゃ」
先生の寝起き顔、よもやこうも簡単に見れるとは思いませんでした。
「………捕ったどぉ!………ありゃ?」
野郎の寝起き顔は見なくていいけどな♪
それはさておき、校長先生は顔をしかめることなどなくその相手を見る。それは一人の女子生徒であって、既に立ち上がっていた。どうやら彼女が次のプログラムの主役らしかった。
しーんと静まり返る中、校長先生が威厳たっぷりに咳をする。そりゃそうだ、自分が気持ちよく演説していたのになにやら騒ぎ出した小娘がひとりいたのだから。
「うぉっほん!………ななたん、すまんな……ななたんのすばらしい挨拶までの軌跡を皆に順序良く説明しようとしていたらこんなに時間を割いてしまった」
「いえ、お爺様お気になさらずに」
「………」
え?孫、いたの?しかも、てっきり三歳とかそういったレベルだと思っていたのだが同い年だったとは………口調の変わった校長のことは誰一人としておかしいとは思っていないようで静かに壇上に上ったその女子生徒に皆が視線を移す。
「………皆さん、始めまして………大津地七海といいます」
「?」
ふと、その顔をどこかで見たことが、会ったような気がしたのだが……気のせいかもしれない。
大津地七海というその生徒は誰かを探しているようで少しきょろきょろしている。家族(爺さん以外の)か、彼氏か、はたまたペットか友達か………
「………」
「………」
目があったような気がした。美人だった。彼女は誰ももう探していなかった。
「………えっと、これから先の高校生活、皆には………」
それから先は百点を挙げたくなるような声、姿勢、内容で会場の拍手をさらっていった。校長先生はもう何も喋れないぐらいに涙を流していたし、誰一人として眠っている不埒なやつはいなかった。
拍手喝采の中、彼女は壇上を降りて階段を降りはじめる。
「………」
「?」
そのときもまた、こちらを見たような気がした。もしかしたら後ろのやつかもしれないし、前のやつかもしれない。
兎にも角にも、彼女とはどうやらクラスが違うようで話すことも何をすることも特に出来そうもなかった。
まぁ、あれだ………悪いがオレに何かを(この場合は先ほどの女の子に話しかけること)するようなおおきな勇気とか、何かを守るような力なんてない。
現に、それから一年間、オレは隣の変なやつと友人になったりはしたのだが女子とはあまり話さなかったしあのこを見ることもめったになかった。
ただいえることはあの子がすばらしく男子の中で人気となっているということだ。
オレにある勇気といえば小さな妖精さんの勇気ぐらいだろう。
しかし、事情が変わったのは高校二年になってから………再び入学式がある日、オレはたまたま学校へとやってきていた………この話があくまでプロローグであるということはいうまでもない。