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第九話:金曜日は菜々子の日+α

蒼疾「菜々子先輩、気がつきましたか?」菜々子「何を?」蒼疾「実は前回のサブタイトル、きちんとかぎかっことじがつけられているんです!」菜々子「それは知らなかったよ!でも何で?」蒼疾「記念すべきだい十回目だったからです!次回!フェアリーブレイヴ第十話!『自給七百円で世界を守りませんか?』」菜々子「感想よろしくお願い!」

第九話:

「金曜日は菜々子+αの日」

 朝、俺の眼の中に日差しが飛び込んでくる。

「蒼疾お兄ちゃん、朝だよ♪」

「………先輩、おはようございます」

「うん、おはよう!」

 ああ、癒されるなぁ………っていかんいかん。なんだか所詮は脇役キャラのゴンゾウが頭の中に入ってきてしまったのか?

「じゃ今から朝食作りますね?」

「うん!がんばってね蒼疾お兄ちゃん!」

 菜々子先輩が張り切って作るといったのだが正直不安だ。怖い。俺のことをチキンだとののしりたければののしるがいい!悪いが俺には輝かしいかよくわからんが、とりあえずは大切な未来があるのだ!

「目玉焼きでいいですよね?」

「うん!」

 その間先輩は朝食の準備をしている。

「あ、そういえば後の二人は?」

「まだ寝てると思うよ♪」

―――――

「ん〜」

「ん〜」

 哀れ、寝室には猿轡までされている七海と奈々枝の姿があった。

―――――

「そうですか………じゃ先に食べて学校にいきますか?」

「うん♪」

―――――

「じゃ、二人とも先にいってるから」

 まだ寝ているだろうから声だけを寝室に響かせて俺は菜々子先輩と一緒に通学を始めることとなったのだった。

―――――

 通学途中、やつが現れた。

「せんぱーい!ゴンゾウです!」

「ひぃっ!?」

 えっと、マンホールから。

「はい、そこでストップな」

「んがっ!!」

 マンホールの蓋を顔面にぶつけてやる。

「何するんだ!」

「意外としぶといのな、お前………人間か?」

「失礼だな、親友」

「親友?」

 先輩が首をかしげる。

「ええ!そうなんです!ちょっと色々とあって………あ、そうだ!先輩は『蒼い弓』ってしってます?」

「おい、ゴンゾウ!」

「蒼い………弓?ってあのスリだよね蒼疾お兄ちゃん?」

「………蒼い弓。結構前から噂されてるスリですね。それこそ様々なものをすっていくっていうやつです。ですがここ最近、さっぱり出ていませんし、その多くの犯罪が他人だったりその名前を勝手に使ったりする連中ばかりです。実際、専門家はそのスリ犯罪者がもう何もしていないといっていますから」

「へぇ、詳しいだね蒼疾お兄ちゃん?」

「………ええ、まぁ………」

「そうだよな、蒼疾」

「お前もう出てくるなよ!」

 開いていたマンホール内へとゴンゾウを落として蓋を閉める。

「さ、行きましょう先輩」

「うん♪」

 こうして、俺は遅刻する事無く、学校へと到着したのだった。

―――――――

 放課後、校門前で先輩と待ち合わせをしていたのだが、どうやら俺のほうが先に来てしまって待ちぼうけを喰らっていた。

「やぁ、親友」

「おい、またかよ?」

 足元のマンホールをすばやく踏む。

「おっと、やられちゃったか………で、蒼い弓は………」

「蒼疾お兄ちゃん!」

「あ、先輩」

 マンホールから声など聞こえてくるはずもなく、そんなものは都市伝説だ。俺はさっくりと無視して先輩と歩き始めていた。

「ああ、そういえば聞きそびれていたんですが小さい頃の俺ってどんな奴でした?」

 風がふと強く吹いて俺と先輩の間をかける。

「何で?そんなことを聞くの?」

「え?」

 普段からは声色どころか、声自体変わったような声が聞こえてきた。

「え?それは………記憶が失われているんだか知っておいたほうがいいと思ったからです」

「そう………」

 ふと、物凄く強い風が吹いたような気がした。

「………あれはわたしがあなたに出会ってすぐ………そうね、今から約十年前ぐらいかしら?あの日、わたしは近所の公園で遊んでたわ」

 先輩、そっちのほうがかなり年上らしいです。気のせいか身長も大きくなった気がしますし胸もその、でかくなってる気がします。えっと、これ、本当に気のせい?

「ひとり遊びが好きだったわたしは砂場でお城を作っていたわ………そこへ、あなたがやってきた」

 物凄く切れ味のある瞳が俺を射抜いた。

「そうね、あなたとの出会いはわたしの世界を壊したわ………全てね」

「そんな悲痛にいわないで下さい」

「そう?まぁ、壊しちゃったことには違いないわ」

 やれやれ困ったものだとばかりに先輩は言った。

「とりあえず、あなたの所為でわたしは二人になったのよ」

「ふ、二人?」

「ええ、家では静かにしているから大人しいこの性格」

 おとなしいか?

「そして、遊ぶときとかはこっちの人格がでるんだよ〜」

 に、二重人格か?

「ええと、じゃあさっきの人格はなんて呼べば?」

「そうだね〜あのこは菜々子先輩で大丈夫だと思う♪だって、二人とも菜々子だもん♪」

 ああ〜そうなんだぁ………じゃなくて!

「でも、呼ぶときが………」

「じゃあ、わたしのときはちゃんをつけて………」

「こっちはさんづけね」

「………切り替え、早いっすね」

 公園のベンチに座ってそんな話をする。

「というか、ねぇ………今のあなたじゃ信じてもらえないだろうけどさ。わたしの姿は鏡の中だったら物凄く綺麗に写るわよ」

ポーズをとってみているのだがやはりその姿は菜々子ちゃんのものだった。

「はぁ、まれに戻るんだけどね………その目、信じてないわね?」

 そりゃそうだ。誰がそんな話を信じるのだろうか?

「じゃあさ、ちょっとついてきて」

「え?ちょっと!」

 腕をつかまれてそのまま引きずられていく。ふと思って全力で抵抗してみたのだが腕は一向にはなれず引きずられていった。

 連れられてやってきたのは公衆トイレ(女子専用)だった。

「ちょっと、こんなところを見られたら後が酷いですよ!」

「気にしない気にしない」

 一緒に鏡を覗き込む………そこには………

――――――

「蒼疾お兄ちゃん、今日は楽しかったね?」

「え?ええ………」

「蒼疾おにいちゃん、今日は楽しかったな」

「そっちの声でやめてください」

 きっと今鏡で俺を見ると真っ青な顔となっているだろう………

「まぁ、これからもよろしくね?蒼疾お兄ちゃん?」

「…………ええ、よろしくお願いします」

 もはや蒼空はどこかに引っ込んで星空が瞬いている。

「…………今日は早く寝よう」

「それなら蒼疾お兄ちゃん!一緒に寝よう♪」

 普段とはやはり違う切れ長の瞳にハスキーボイス。

「………だから、そっちの声でいわないでくださいって!」

「じゃあ、もうひとりならいいのか?」

「………それも駄目です!」

 ああ、なんだか一番この人が………というか、やっぱりこのひとが一番特殊な存在だったのな。



――――――

番外編

「ん?」

 頭になんだかピーンと来たような感じがしたのだが俺は気のせいにすることにした。新聞を読むと『噂のヒーロー!現る!』とかかれていた。

「ナナスティアって………なんだっけ?」

「ああ、ナナスティアって正義の味方ですよ。知らないんですか?」

「世間でよく言っているわよ?」

「わたしも大きくなったら正義の味方になるんだぁ♪」

「ふ〜ん」

 まるで他人事のように俺は新聞をたたんだのだった。

 それが、いずれ自分の身に訪れることになろうとは………


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