第八話:「火曜日と木曜日は布団を…」
蒼疾「あー、疲れた……次回フェアリーブレイヴ第24163話『俺そろそろ飛べそう』」菜々子「ちょっと蒼疾お兄ちゃん!しっかりしてよ!次回!フェアリーブレイヴ第九話!『金曜日は菜々子の日』」蒼疾「実は菜々子先輩は……」
第八話:
「火曜日と木曜日は布団を干す日」
火曜日はいたって普通………というわけでもなく、俺のクラスのその隣にはこの学校屈指の美少女大津地七海が陣取っているのである!
「あ、やべっ……教科書忘れちまった」
教科書は全てロッカーに放り込んだりしている派閥なのだが、七海がそれではいけません!と声を高らかにしてくれたおかげでロッカー内は給料前のお財布同然までにしょぼくなった。
とりあえず、教科書を忘れたことを隣に告げる。
「ごめん、教科書見せてくれる?」
「ちょっと蒼疾さん、何で私にいわないんですか?」
「………いや、ほら、大津地さんの勉強邪魔しちゃうかなぁと」
クラスメート達にじろじろと見られているのでは色々と申し訳がたたないというか、下の名前で呼び合うと校長先生の耳に入りやすくなるに違いないので苗字である。
「む、下の名前で呼んでください」
「………だってさ、校長先生にばれたらどうするんだよ?」
これが間違いだったということなんて俺は知らなかった。
「あ、そうでしたね♪これからお爺様のところへ行きましょう!」
「え、ちょ、ちょっと!?」
あのホームルームも終わってざわざわしていたのだがここでひとりの少女が俺たち(主に七海)の進路を塞ごうとする。
「おはよう、蒼疾と七海」
「おはようございます奈々枝ちゃん」
「って家で会ってるじゃんか」
はぁと一つため息をついて俺は奈々枝のほうを見る。俺を隠すようにして七海はにこりと笑って奈々枝を見ていた。
「それで、何かようですか?」
「ああ、ちょっと蒼疾に………ごめん、ちょっとこっちに来てくれない?」
「え?あ、ああ………んお?」
奈々枝のほうに行こうとすると七海がその間に立ちはだかる。
「………何考えてますか?」
「え?ああ、ちょっと友人に紹介しようかなっと思って」
「本当ですかぁ?」
ジト目になって奈々枝を見ているが裏表のなさそうな奈々枝は勿論だといわんばかりに頷く。
「ま、いいじゃない?昨日はずっと一緒だったんでしょ?」
「まぁ、そりゃそうだな」
「………確かにそうですけどね」
しぶしぶといった調子で、だが俺はかなりほっとした調子でため息をそれぞれはいた。
「蒼疾さん」
「何だ?」
「いえ、何でも………」
そういって七海は席に戻ったのだった。
「じゃいきましょうか蒼疾」
「あのさぁ、ふとおもったんだけど………」
俺は足を止める。
「俺が行ったところでどうなるの?というか、恥ずかしいぞ」
「まぁまぁ気にしない気にしない」
留年したと聞いたが意外と友達が………あれ?まだ四月の初めだぞ?そんなすぐに友達なんてできるものだろうか?
疑問はそのまま残っていたのだが俺は去年までは自分がいた教室にやってきた。やはり、まだなれていない生徒達がいるのかそれぞれが席に座っているようだったが既に交友を深めたのかまとまって話している連中もいた。
「ほら、あそこよ」
引きずられるようにして教室にやっていくとこいつは誰だ?という雰囲気が流れていた。
「あ、おかえり〜ナナスケ」
ほほう、そんなあだ名で既に仲良しさんがいるのか?
「紹介するわ、これがあたしの婚約者よ!」
「これっていうな、それと誰が婚約者だ?」
「あんたよ、あんた………ええと天川蒼疾。この学校の二年生!」
片手間でぶんぶん振り回される俺。クラスの連中が物凄く面白そうな顔をして俺を見ている………上等じゃねぇか!放課後全員校舎裏に呼び出してリンチしてやるぜ!ってその場合は俺がリンチされる側だな。
「へぇ、先輩なんだぁ!ナナスケと違って」
「あたしも先輩なんだけど?」
「年齢だけね」
がーんとショックを受けている奈々枝を放っておいて俺へと右手を差し伸べてくるぐるぐるめがねの女の子。
「君、名前は?」
「八津崎凛呼です」
「八津崎さんね、よろしく」
「凛呼でいいですよ」
握手をしてみると………
「ぐっはぁ!」
「えへ、こうみえて握力強いんですよ♪」
「お、おれるぅ」
ゴキッ♪
「あ、折れた」
「え?す、すみません!」
謝るんならそんなに強く握らないで欲しいんだが……しくしく。
そんな中奈々枝が立ち上がった。
「奈々枝ぇ、折れちまったよ」
「ええ?しょうがないわね………ほら」
ゴキリ♪
「あ、直った……いや、治った!」
「良かったですね、先輩!」
二人でばんざーいばんざーいとしているところに本鈴が鳴り響く。
「ああっ!しまった急いで戻らないと………じゃあな、奈々枝、凛呼ちゃん」
こうして俺は一時間目を遅刻して過ごす羽目になったのである。
そして、昼休み………
「さぁ!お爺様のところへ行きましょう!」
「かんべんしちくれぇ!」
ずりずりと床を引きずられながら俺は教室の扉へと近づいていく。クラスメートの男子生徒たちに助けをもとめる。
「じゃあな、逝ってこい!」
「漢字が逝ってこいってなってるぞ!お前、七海と結婚したいっていってたじゃないかよ!」
「ああ、だがあの爺さんじゃちょっとな」
なんじゃそりゃぁぁぁあ!!!
開け放たれるドア!
「あれ?」
「ん?」
てっきり七海が開けたのかと思ったのだがどうやら違うらしい。そこにはちっちゃな先輩がたっていた。
「邪魔するよ、お兄ちゃん♪」
「な、菜々子先輩?」
ちっちゃなお弁当箱を持って教室へと入ってくる。
「何してるの?もしかしてもうお弁当食べちゃった?」
「いや、まだですけど?」
七海が答え、俺も頷く。お弁当はお爺様と仲良く食べようといっていたのである。
「なら一緒に食べよう?」
「え?そ、そうですね」
俺の足を
天使だ………いや、女神だ!この教室に女神が光臨された!
「え?何々?」
「先輩って………」
しかも早速クラスメート達に囲まれていた。
「いやぁ、いいねぇ………えっとね、わたしは三塚菜々子。そこの蒼疾おにいちゃんの婚約者なんだ♪」
「犯罪だろう!」
いきなり誰かが高らかに宣言する。
「何だ?」
「どこからだ?」
こ、この声は………
「学級委員長!青葉ゴンゾウ!参上!」
一人の女子生徒が頭をつかんで一気に引き抜き、そこから一人の男子生徒が現れた。いや、このクラスの学級委員長だから変装とかしてなくてよくねぇか?
「はじめまして三塚先輩」
「え?う、うん………」
ほらミロ…先輩引いてるぞ。
「蒼疾お兄ちゃん、ええと、この人は?」
「変態です。先輩、今すぐ俺の後ろに隠れてください」
「う、うん」
隠れてすぐ、ゴンゾウは行動を開始した。どこからか取り出したカメラで比較的成長の遅いクラスメートを激写する。
「さぁ!先輩!僕の気持ちを癒してください!はぁはぁ」
「そ、蒼疾お兄ちゃんどうにかして!」
「いいですか、絶対にあいつとは目を合わせちゃいけませんよ!目、瞑っててください」
「う、うん」
ぎゅっと目をつぶったのを確認して俺は一歩踏み出す。
「ゴンゾウ、先輩は今さっきそこの窓から飛び降りたぞ」
「はぁ?なにいってるんだ?」
「実はな、先輩は魔法少女だったんだ」
「何?」
「ほうきにまたがって飛んでいった」
「なんと?せんぱーい!俺もいきまーす!」
窓を突き破ってそのまま消失。
「先輩、危機は去りました」
「え?本当?じゃあお弁当食べよう?」
「ええ………」
席についてそれぞれが談笑する。
「蒼疾さん?」
「あ、七海………」
なんだかものすごく怖いオーラが立ち上っている。俺、何かした?
「どうです?蒼疾さんも魔法少女追いかけてみますか?」
「え?いえ、えんりょしておきます」
その後、ずっと七海は機嫌が悪かったのだった。