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あの鳥のように
【ねぇ、人は空を飛べると思う?】
空を見て思う。
鳥を見て感じる。
私もあの大きな空へ自由に羽ばたいていけたらいいのに…。
私の名前は幸
16歳で
もうすぐ高校2年生。
この名前は両親が《幸せになって欲しい》という思いを込めてつけてくれた名前のようだ。
そのまんまなんだけどね。
あたたかい家族もいて、
信頼し合える友達もいて、
優しく、かっこいい彼氏もいて、
幸せは…幸せだと思う。
だけど、私はこの名前が嫌いだった。
本当の幸せってなんだろう?
心の中は、何かがぽっかり抜け落ちているようで、いつも息苦しさや、虚しさを感じながら、自分の居場所を探していた。
あの鳥のように、高く飛べたらいいのに。
あの鳥のように、自由に空を飛べたらいいのに。
大きな羽を広げて大空を舞うあの鳥のように。
私も、もっと自由に生きていけたらいいのに。
青く澄み渡る空を見上げる度に、そう思った。