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1 ...。

ざざー、ざぶーん。



波の音が聞こえる。

一定のテンポで心地良い音。

「こんな静かな場所初めて」

今までずっと生まれた頃から都会に住んでいた私。

波音が耳をくすぐり、どんな不安でもかき消してしまいそうな

美しい場所があるとは想像もつかなかった。

私達家族を乗せた船はこれから暮らす『ナナホシ島』へと近づいていく。

「海架、もうすぐ着くから戻って来なさい」

お母さんとお父さんが船の中から私に声をかける。

「えーもう着いちゃうのか」

ナナホシ島は日本の中でも南の方。

比較的暖かい場所だ。

そう。だからここを選んだのだ。

私は駄目な子だから。

引越しもすることになった。

私は小学校でいじめられていた。

きっかけは本当に些細なこと。

次々と人が私から離れて行った。

そして少し前の二月。

寒い日だった。

事件が起こった。

その日から私は寒いところが嫌い。

息が苦しくなる。

あの瞬間、初めて自分が生まれてきた意味を失った。

私はあいつらを絶対に許さない。

でも今日から私は変わる。

そのために引っ越してきた。

私は深呼吸をした。

気持ち良い。

ここなら全てを忘れることが出来そうな気がする。

「おい姉ちゃん。早く来いよ」

弟の新太が叫ぶ。

「うん。今行く」

どんな発見があるだろう。

友達は出来るだろうか。

新しい中学校生活に馴染めるだろうか。

期待と不安を半分ずつ心に秘めてナナホシ島を見つめた。



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