7、フォンダンショコラ
学君のこと実は
そこまで嫌いじゃない。
あの日の夜は確かに
傷ついたけど
どこか憎めない人のような気がするから・・・
「で?今日はどこ行くの?それにしてもさぁ、学君って美味しいお店色々知ってるよねぇ〜」
「まぁね♪女の子の心を掴むには、まず胃袋を満たすのが肝心!」
「へっ、へぇー・・・」
「今日は何食べたい?」
「さっきプリンとか言ってなかったっけ?」
「そうそう!この近くにプリンの美味しい店があるんだ!卵とかにもこだわっててさぁ、とろフワってカンジ!?」
「ふふっ…」
「どうかした?」
「いや〜学君って本当に甘いもの好きだなぁ〜って思って!」
「う〜ん…それが実はね…」
「うん?」
「甘いもの別に嫌いぢゃないけど、好きってわけでもないんだよねッ。」
「えぇ!?この一週間ほとんど毎日デザート食べてんのにッ!?」
「あの日の夜さ…合コンした日の夜、あのレストランで出たデザートに菜々実ちゃん目輝かせてたでしょ?」
「確かに!あそこのフォンダンショコラだっけ?中からチョコレートがトロ〜って出てきて…また食べたいなぁ〜♪」
あれ?待てよ…!
ってことは
学君がこの一週間
甘いものばっかり
食べ続けてるのは
私の好みに合わせて仕方なく?
「あれだけ喜んでくれたら店予約した甲斐があるよね。まぁその後の雰囲気は俺がブチ壊したんだけど…」
「…言ってくれれば良いのに!甘いもの好きじゃないって…」
「美味しそうに食べる顔が見れるなら俺はそれで良いの♪」
「う〜ん…」
「…フォンダンショコラまた一緒に食べに行こうよ。」
「うん!…ぢゃなくて…えーっと…その…」
「…そっか、今日で最後だったっけ。」
「ごめん…。」
「別に菜々実ちゃんが謝ることないでしょ!俺の普段の行いが悪いせいだ。ごめんね…」
学君、きっと本当はすっごくすっごく優しい子なんだ。
こんな風に言ったら
また、あやちんに怒られるかな…
「…っ、ま…また食べに行こう!フォンダンショコラ!一緒にさ!」
「菜々実ちゃんってさぁ…」
「えっ?」
「バカ。」
「バッ…バカ!?」
「俺に何されたか覚えてんの?」
「えっ……」
「挙げ句に連れ回されて言いなりになって…男なんて気安く信じちゃダメだ。」
「だって…それは…」
「また俺なにするか分かんないよ?」
「嘘だよ。学君本当はそんな人じゃない。」
「…俺のどこ見てそんなこと言ってんの?俺の何を知ってんの?」
「それは……」
分かんない。
分かんないけど、今まなぶ君のこと放っといたらダメになる気がする……
「…今日はもう帰ろっか!この一週間付き合ってくれて、ありがとーございました!」
「うん……」
「さっきのキツく聞こえてらゴメンね。でも本当気をつけなよ!男は狼なんだから!って…俺が言っても説得力ないか♪んぢゃ、バイバイ。」
「じゃあね…」
学君のこと
どうして憎めないか
分かった気がする…
ときどき悲しそうに笑うんだ…