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第455話 軍オタアフター 出発準備

12月15日(日曜日)に、明鏡シスイ新作 『軍オタが異世界ヨーロッパ戦線に転生したら、現代兵器で魔王ヒトラー(美少女)を倒す勇者ハーレムを作っちゃいました!?』 をアップしました!

17日~22日までは1日3回アップする予定なので是非チェックしてください!

「違うでしょ! 魔術液体金属の樽はそっちじゃないでしょうが!」

「食料品はもっと奥につめて! 衣類は手前でいいから」

「商会から荷物の搬入が完了しました。サインをお願いします」


 新・純潔乙女騎士団本部グラウンドではひっきりなしに団員達が行き交いしていた。

 彼女達の手を借りて新型飛行船ノアには、大量の物資が運び込まれている。


 その様子をオレとリース、シアがグラウンド端で見守っていた。

 落ち着かない様子で見守っていたリースが訴えてくる。


「リュートさん、やはり今回も私が一緒に行った方がいいんじゃないでしょうか……」

「駄目だ。昨日も話した通り、今回のクエストにリースは参加させないって皆で決めただろ」


 リースの背後で彼女に日傘を差すシアが、深々と頷く。


 今回、緊急クエストが発生したが、満場一致でリースは留守番になる。

 よって『無限収納』が使用できないため、団員達の手作業で荷物を搬入していた。

 飛行船ノアを使用する規模のクエストの場合、いつもなら『無限収納』にしまってお終いだ。そのため慣れない作業に団員達が四苦八苦していた。


 ではなぜ今回リースは不参加なのか?


 もちろん彼女が妊娠しているからだ。


 リースは妊娠が発覚するまで北部開発などで働いてもらっていたが、その際転んだり、躓いたり、体をぶつけたりなどのドジをしても駄目にならなかったのはただただ運が良かっただけだ。


 そんなドジッ娘リースを鉄火場になど連れて行けるはずがない。

 オレ達が側に居るとはいえ万が一という可能性もある。

 何より今回の相手は天神(てんじん)を殺害し、神法(しんぽう)を奪った一角、魔人大陸に封印されていた魔王なのだ。


『無限収納』が使用できないのは苦しいが、それでもリースを連れて行くという選択肢は、他嫁達、団員達全員が選ばなかった。

 たとえ自分達や他味方陣営に被害が出たとしてもだ。


 オレ自身、仲間やこれから一緒に戦う味方に被害が出ると分かっていても、リースと子供を優先する。

 第三者からどれだけ非難を受けてもだ。


 オレは改めて釘を刺す。


「だから、今回は大人しく本部で待っていてくれ。リース自身だけじゃなく、お腹の子のことを優先して欲しいんだ」

「……そんな風にお願いされたら、もう何も言えないじゃないですか。分かりました。今回は皆さんを信じて大人しくしています」

「ありがとう、リース」


 瞳に『渋々だが大人しく従う』と書かれているが、本心からの言葉のようだ。

 無いとは思うが……昔のルナのように飛行船ノアに密航してでも付いて行く可能性もあったため、彼女の返事を聞けて安堵する。


 安心できたことで改めて飛行船ノアの作業を眺めつつ、今回の依頼を思い返す。


 話は昨日の午前中まで遡る。




 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼




 昨日は朝からPEACEMAKER(ピース・メーカー)情報&外交部門担当のミューア・ヘッドが冒険者斡旋組合(ギルド)に呼び出しを受けていた。


 理由は魔術師S級『腐敗ノ王』がオレ達、PEACEMAKER(ピース・メーカー)を指名し緊急クエストを依頼してきたからだ。

 ミューアは連絡を受け外交官としてココリ街に直接訪れている使者に話を聞くため、冒険者斡旋組合(ギルド)へと向かった。


 話を聞いた後、手紙を預かり団長のオレの元に戻ってくる。


 オレは手紙の内容を確認し、改めて詳しい話を使者から聞くため冒険者斡旋組合(ギルド)へと向かった。


 冒険者斡旋組合(ギルド)に付くとすぐに個室へと通される。


 部屋には既に魔術師S級『腐敗ノ王』から一任を受けた使者が待ち構えていた。


「ご足労頂きまして誠にありがとうございます。やつがれは魔術師S級『腐敗ノ王』の手足でございます。どうぞお見知りおきを」


 黒いフードを被り、髑髏を模した仮面を被った声音から男と推測できる人物が、深々と頭を下げる。

 自分にミューアから容貌を教えられていたため驚きはしなかったが、深夜に声をかけられていたらUSPを躊躇いなく撃っている不審さである。


「こちらこそお待たせしてすみません。では早速、詳しいお話をお願いします」


 オレも挨拶を終えて、彼の対面にあるソファーへと腰を下ろす。


「では早速……まずやつがれ共の立場からお伝えするのが分かり易いかと――」


 そして事情を説明するため、彼が滔々と語り出す。


 約10万年前――天神様(てんじんさま)と呼ばれる神様が天上界と地上界のふたつを作り出し、平和に統治していた。

 しかしある日、6大魔王が天神様が使う神法(しんぽう)と呼ばれる秘法を盗み出す。

 魔王達は神法(しんぽう)を自分達にも扱えるよう魔法に劣化改造し、地上界へと逃げ延びる。

 そして6大魔王は、魔法の力で地上界を征服してしまったのだ。

 しかし5大大陸に住む5種族の勇者達が立ち上がり、魔王から魔法の秘法を盗み出す。そして自分達が扱えるように魔術へと改造した。

 そして、魔術と仲間の力によって6大魔王の内、5大魔王は倒し、封印。

 今でも最後の魔王は、魔界大陸の奥深くで存命し息を潜めていると伝えられている。

 だが、5種族の勇者達のお陰で再び地上界に平和がおとずれた。


 これがこの世界が造られた創世神話である。


 話から分かる通り、5大魔王は倒され、封印された。


 この5大魔王が封印された場所は、魔物大陸を除く各5大陸である。


 魔王によって封印方法は様々で、完全に倒されたモノ、一部辛うじて残っているかもしれないため念のためバラバラにして封印したモノ、念のためバラバラに分散、封印されたモノ、どこに封印されているのか分からないモノ。


 その中で未だに力が観測されているモノこそ――魔人大陸に封印されている魔王だ。


 練金、変質に特化した魔王で、5大魔王の中でも随一の不死性を持つ。

 彼の大陸に多種多様な魔人種族が存在するのも、この魔王の力のせいだとか。


魔法核(まほうかく)』を剥ぎ取られたにもかかわらず、体に染みこんだ魔力が未だに観測されている。

 そんな魔人大陸の魔王を封印、監視する一族が、魔術師S級『腐敗ノ王』の一族だ。


 今回、その魔人大陸に封印されていた元魔王の一部が復活しようとしているらしい。


 原因はランスが引き起こした『魔力消失事件』だ。


 彼ら一族はどんな事態が起きようと魔王を封印するために存在する。魔力が消失した場合に備えた準備も当然していた。

 しかし、あくまで可能性の一つだ。

 想定し準備しておいた魔石が予想を超えて足りず、封印が緩んでしまう。


 魔王は緩んだ封印箇所を見逃さず割り込んできた。


 魔力が戻った後も一族は必死に押さえ込もうとしたが、耐えきれずつい最近、封印の一部を突破されてしまう。


 現在、魔王が封印されている縦穴からゾンビ系モンスターが10万規模で噴き出しているとか。

 こういう場合も想定して準備しているが、さすがに手が足りずこのままでは魔王復活の切っ掛けになりかねない。


 そこで魔王退治の経験があり、『魔力消失事件』を解決した実績のある勇者で英雄のPEACEMAKER(ピース・メーカー)に助けを求めてきたのだ。


 付け加えるなら、自分達以外にも救援の依頼を出しているらしい。

 オレ達に依頼を持ちかけたのも実績を鑑みてなのもあるが、魔王復活阻止に協力している人物――ダン・ゲート・ブラッド伯爵の推薦があったからだ。


 ミューアが持ってきた手紙に旦那様が書かれたのも混じっていた。


 あの1人無双が可能な旦那様から救援を求められるとは……。

 現場はそれだけ危険なレベルに達しているのだろう。

 黒フードさん曰く『あまりに危険過ぎて、結構な方々に断られているんですよ』と愚痴られた。


 断った人達の気持ちも分からなくもない。

『過去、神話やお伽噺の魔王が蘇りそうだから力を貸して欲しい』と言われても遠い魔人大陸の話だし、ホラ話かネタかと思うだろう。

 例え信じたとしても、命を失うレベルの危険な場所と分かっていて自ら突っ込む者は少ないだろう。何事も命あっての物種だ。


 旦那様からの手紙が混じっていたのも、断られないようにするための保険だろう。


 当然、オレ達PEACEMAKER(ピース・メーカー)は参戦するが。


 一通りの説明を聞いた後、すぐに了承の返事をすると仮面下からでも分かるほど喜んでいた。


 彼の喜びは脇に置いて、一言だけ言わせて欲しい……またランスか!? あいつは最後の最後まで迷惑をかけやがって!


 ララの赤ん坊の一件といい、今回の魔王の件といい、本当の本当に勘弁して欲しい……。


 とりあえず、PEACEMAKER(ピース・メーカー)の元魔王退治参戦が決定したのだった。




 回想終了。


 参戦が決まった後は、すぐに本部へ戻り出発の準備にとりかかる。

 今回は『無限収納』が使用できないため、手作業で準備が進められる。


 オレとリース、シアは団員達の作業を視察した後、本部建物へと戻る。


 リースは私室で休んでもらう。

 オレは出発するための書類などの事務仕事を終わらせなければならない。


(この調子だと明日の早朝出発になりそうだな)


 依頼を受けて約1日半で出発の準備が整う。

 これでも相当素速い対応だと自負する。


(とはいえやっぱり『無限収納』と比べるとどうしても遅いし、量も持ち運べないんだよな……)


 魔人大陸に到着したら、飛行船ノアから物資を下ろし、すぐさまココリ街へ引き返すピストン輸送になるだろうと簡単に想像できる。

 オレは執務室に向かいながら、今までいかに自分達が『無限収納』に依存していたのか痛感したのだった。




 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼




 ――予想通り、飛行船ノアが旅立ったのは翌日の早朝だった。


 こうしてPEACEMAKER(ピース・メーカー)はリースとシアを本部に残し、魔人大陸を目指し出発する。

 ここまで読んでくださって、ありがとうございます!

 感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!


『令和1年12月15日(日曜日)』に明鏡シスイの新作をアップさせて頂きました。


 タイトルは『軍オタが異世界ヨーロッパ戦線に転生したら、現代兵器で魔王ヒトラー(美少女)を倒す勇者ハーレムを作っちゃいました!?』です。

 軍オタ好きの読者様なら楽しめる作品になっているので是非是非チェックして頂ければと思います。


 新作は作者欄からも飛べますが、一応URLも張らせていただきます。

 以下になります。

 https://ncode.syosetu.com/n5526fx/


 新作&こちらの軍オタアフター(明日もまたアップします)共々よろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔王アスーラに知恵を借りるか、それともアノ受付嬢さんを縦穴に放り込めば解決するはず
[一言] 旦那様が救援求めるってどんだけー?…(汗) てっきり、旦那様バンカーバスターで終わらせると思ってたのに…(笑) そりゃ、ドジっ子属性なくても身重のリースさんはお留守番だよ!! そして、無限…
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