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第4話 戦慄。気を取り直して人里へ。


 気がついた時にはもう、陽は随分高くなっていた。


「あれ…?私…」

『大丈夫か!?本開いたらいきなり倒れたんだぞ、お前』

「うん。急に頭が痛くなって…」


 そこまで思い出したところで、何か嫌な予感がしたので、本をもう一度見てみた。開く気はさらさらなかったが。そして、本とついでにベルトの燃えさしを観察した結果、私はそれらに書いてある字が理解できるようになっていた。そして、その喜びよりもまず。

 取り敢えず、無言でアミルディスを妖切姫で|(さすがに鞘からは抜かなかったが)力の限り叩いた。

『何すんだよ!いきなり!』

「ディス…良く見て御覧なさい。貴方が燃やしたベルトの切れ端」

『何々…危険?…注…意?』

「そして、本の裏表紙」

『何か、メモが貼り付けてあるな…安全上問題あり。成功確率は3割以下。適合できない場合脳を破壊され…死亡す、る…』

 お互い向かい合ってうふふー、あははーと笑い合った。笑ってごまかそうとしやがったからもう一度叩いた。今度はさりげなく米神を狙った。狐の米神の場所が合ってるか心配だったが、杞憂だったようだ。バカは声を詰まらせて転がり回っている。自業自得だ。なんつーものを読ませやがった。


『わ、悪い。気付かなくて…。でも悪気はなかったんだ!』

「あってたまるか!」


 ちょっと命の危険と隣り合わせになった私はちょっと動揺してしまい、なんやかやと狐とじゃれてしまった。シャレにならない恐怖を感じたのは、師範代試験の時のおじいのしごき以来だったから…。もうこれで二度とあんな恐怖を感じなくて済むと、当時は思っていたのに…!






 結局、すったもんだの末、時間的にブランチになってしまったが、ディスが木の実等の食糧を貢ぐことでチャラという事になった。微妙に変な色と形をしていたが、美味しかった。腹ごしらえが済んだところでやっと人里に向かう事になった。


「では、人里までお願いします」

『おう!安心して俺に任せろ!どう頑張っても間違いなんて起こらないからな!』

「これで何か問題があったら情けないにも程があるよね」

 ボソッと私がそう言うと耳としっぽを垂らして目に見えてしょんぼりした。うむ。いけない。まだ、さっきの恐怖体験で心が荒んでいる。

「まあ、よろしく。頼りにしてるから」

 そう言うと、今度は目に見えて張り切りだした。あんまり勢いよく振っているのでしっぽがどこかに飛んでいきそうだ。単純な奴だなあ。




 ディスの背に乗り、人里に向かっていく。その速度(足)は早い。主に木等の障害物が多い山の中を正に風の様に、走り抜けて行く。下手なジェットコースターよりも迫力満点でとても楽しい!落ちないようにしがみつくのはちょっと骨が折れるが。

 などと、アスカは思ったが、普通の人間はいつ木にぶつかるんじゃないかと心配で楽しめる様な移動法ではない。その途中、ディスがそう話しかけてきた。


『で、人里に下りてどうするんだ?』

「どうしようかなあ…。兎に角、手に職付けて生活していかないと…。何かオススメの職業とかない?」

『さあ…。ここ最近は人里に行ってないからなあ。どうなってるか良くわからん。悪いな』

「ううん。送ってくれるだけでも十分助かる。ありがとう」

 感謝の気持ちを込めて、苦しくない程度に少し力を込めて首に抱きついた。

『こ、このくらい、大したことは無いさ』

 何故か少し慌てたような声を出して、急に速度を上げた。

「うわっ!ちょっと!?」

『この調子じゃ陽が暮れる!すこおーし急ぐぞ!』

 そう言って、ディスは何かを振り切るようにひた疾走(はし)った。



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