明るい世界観
気楽に読んで
明るい世界観
「僕は学び舎のちいさな階段。タツオくんが自分の力で日常生活の楽しさを取り戻したこと、ずっとステップの下から嬉しく見つめていたんだ。今日は、すっかり元気になったタツオくんが、大好きなサリナさんと一緒にまばゆい朝の一歩を踏み出すお話だよ」
鳥たちの優しいさえずりが響く、ある晴れた爽やかな朝のことです。
おてての傷もすっかり癒え、頭のかゆみや心の曇り空(不安)を綺麗なお薬と丁寧な暮らしで乗り越えたタツオくんは、久しぶりに最高にすっきりとした笑顔で目を覚ましました。
「すう……はあ……。すう……はあ……」
お部屋の窓を大きく開けて深く深呼吸をすると、朝のひんやりとした風がタツオくんの頬を優しく撫でていきました。
タツオくんが外へ飛び出すと、そこには約束していた大好きな女の子・サリナさんが、ひまわりが咲いたような天天真爛漫な笑顔で待っていました。
「おはよう、タツオさん! すっかり元気になって、本当によかったわ。さあ、あの一番高い木を見上げに行きましょう!」
ふたりが手を繋いでトントンと歩いた先には、このあたりで一番高くて立派な、青々とした葉っぱを茂らせた大きな木が、東の空から昇ってきた黄金色の朝日に照らされてキラキラと輝いていました。
「わあ……やっぱりあの一番高い木はいつ見ても素晴らしいね、サリナさん」
タツオくんが目を輝かせて見上げると、サリナさんも優しく微笑んでうなずきました。
「ええ。タツオさんの真っ直ぐな努力が、あの大長老の木みたいに実を結んだのね」
ふたりは大きな木の下の広場へ行き、町のみんなと一緒に心地よい音楽に合わせて「朝のラジオ体操」を始めました。
腕を大きく伸ばし、足元をしっかり弾ませて、一、二、三、四。
体を動かすたびに、タツオくんの胸の奥はぽかぽかと温かいエネルギーで満たされていきました。以前、おおかみ団のニュースや暑さでお休みしていたラジオ体操でしたが、こうしてサリナさんと並んで深呼吸をしながら体を動かす時間は、何よりも安心できる最高のセーフティーネット(お守り)でした。
ラジオ体操が終わると、ふたりはそのまま賑やかな「どんぐりスーパー(スーパーマーケット)」へとお買い物に出かけました。
「今日はね、お洗濯やお掃除もバッチリ終わらせてあるから、お昼ごはんに美味しい夜食……じゃなくて、美味しいお昼ごはんの材料をたくさん買うんだ!」
タツオくんが嬉しそうにおしゃべりをすると、サリナさんはカゴを両手で大切に持ちながら言いました。
「じゃあ、美味しいお野菜と、タツオさんの大好きなジャスミン茶の茶葉も買いましょうね!」
からくりレジ(セルフレジ)の前に立つと、タツオくんはかつてのうっかりを思い出し、背筋をピシッと伸ばしました。
「よし、ケースのバーコード(ケースバーコード)も、全部忘れずにピッとするぞ。ルールを守って誠実にお会計をするのが、僕たちのまじめな約束だからね」
タツオくんが手際よく全問パーフェクトでお会計を無事に済ませると、店員のモモさんからも「タツオくん、いつも正直で偉いわね」と温かい笑顔を貰いました。
お買い物を終えてお店を出ると、どこからか駆けつけたお友達のケンジやキヨコたちからも、「おいおいタツオ、サリナちゃんと朝からお買い物なんて、ご馳走様だな! わっはっはっ!」と豪快で大きな笑い声が湧き起こりました。
「みんな、笑わないでおくれよ!」
タツオくんは少し耳を真っ赤にして照れくさそうに笑いましたが、その胸の奥は、これまでの涙の苦労が全部吹き飛ぶほどの、最高のぬくもりと幸せで満たされていました。
空にはまばゆい太陽がぽかぽかと輝き、過去を振り返らずに正しい光の道を一歩ずつ進むふたりの未来を、いつまでも優しく、温かく照らし続けるのでした。
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