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幼馴染を寝取って始まる鉄拳伝説〜武闘家の俺、勇者が偉そうにしてきたから花嫁寝取ってやったわ〜  作者: アルファベータ


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第1話 勇者の驕り


「おい、ゼノス。この荷物、あと三つ分追加だ。お前のその分厚い筋肉、飾りじゃないんだろ?」


 勇者レオンの嘲笑が、王都の冒険者ギルド内に響き渡る。木製のカウンター越しに視線を送る者、興味本位で立ち止まる者、そして明らかに俺を蔑む者たち。


 ギルド内の空気が、レオンの一言で澱んだものへと変わる。俺、ゼノスは、表情一つ変えずに差し出された大荷物を肩に担いだ。


 革紐が肩に食い込み、全身にのしかかる過剰な重圧に骨が軋む。だが、この程度の肉体的な苦痛など、今の俺にとっては「日常」の風景に過ぎない。


「……了解した」


 短く答えて背を向ける。かつて、俺たちは幼馴染だった。村の広場で泥だらけになって走り回り、いつか自分たちが英雄になり、この国を守るのだと、星空の下で夢を語り合ったあの頃。


 エリスは俺の婚約者であり、俺たちを癒す光のような存在だった。あの日、神殿でレオンが聖なる光に包まれ、「勇者の加護」という絶対的な聖印を授かるまでは。


 その瞬間から、すべてが歪み始めた。


 レオンは英雄となった。民衆の熱狂的な喝采を浴び、王家からは莫大な富を与えられ、神の寵愛を受ける特権階級へと登りつめた。


 一方、俺はただの「武闘家」。聖印を持たず、神の恩恵とは無縁の場所で、ただ愚直に己の拳を磨くことしかできない、時代遅れの職人。 


「……ゼノス、ごめんなさい。レオンが言うことだから、仕方ないの」


 エリスが小声で呟き、俺の肩にかかる荷重を少しだけ手伝おうと手を伸ばす。だが、その背後に立つレオンが鋭い視線を投げかけると、彼女は氷を触ったかのようにびくりと震え、すぐに手を引っ込めた。


 そして、縋り付くようにしてレオンの腕に身を寄せた。彼女の瞳は、もう俺を見ていない。


 恐怖と、レオンの加護による魔力的な魅了チャーム。エリスは俺との婚約を自分から破棄した。レオンの隣にいれば、自分も「特別」になれると信じ込んでいるのだ。


 いや、正確には、そう思い込まされている。思考の端々を強制的に上書きされ、かつての絆など塵のように消し去られている。  


「ゼノス、お前はいいよな。何も考えずに、ただ重いものを持って歩くだけでいいんだから。努力なんて必要ない、ただの荷物持ちという良い御身分だ」


 レオンがわざとらしく溜息をつく。周囲の冒険者たちが、俺を蔑むような目で見てくる。かつては俺の拳を頼りにしていた仲間たちまでもが、今では「勇者に逆らう腰抜け」として俺を嘲笑う。


 俺は言葉を返さない。ここで反論すれば、エリスがその分だけ酷い扱いを受けることになる。レオンは俺の屈辱を何よりも好む。 


 俺がどれだけ惨めになるか、どれだけ無様になるかを見ることが、彼の唯一の娯楽なのだ。


 夜、キャンプ地。レオンたちが火を囲んで贅沢なワインと料理に興じる中、俺は少し離れた場所で、冷え切ったスープを啜りながら一人、暗闇の中にいた。


「……まだ、か」


 俺は自分の右拳を見つめる。


 この世界には「加護」がないと何も成し遂げられないと思われている。だが、俺は知っていた。この世界の理は、魔力だけではない。鍛え抜いた肉体と、何よりも「憎悪」を燃料にした時、物理法則を超えた力が宿ることを。


 先祖が残した、禁忌の古文書。そこに記されていたのは、神に抗うための奥義だ。加護を奪うのではなく、加護に依存している者の精神を内側から腐らせ、その破片を自らの力に変える。


 俺はずっと待っていた。レオンが慢心し、己の力に溺れ、誰よりも脆くなるその瞬間を。


 彼は俺を「凡人」だと思っている。俺がどれほど裏切られ、尊厳を奪われ、愛するエリスを目の前で汚されても、ただ耐えるしかない無力な人形だと。


 だが、勘違いするな。


 俺が耐えていたのは、お前を殺すためのチャンスを逃さないためだ。エリスが泣きながら、レオンの欲望のままに抱かれている姿を思い出す。


 彼女の清らかな心が、レオンという暴君の傲慢さで汚染されていく様。その悲しみと憤怒を、俺は全て、右拳の奥深くに凝縮させていた。


「レオン。お前の持っているすべてを、地獄の底まで奪い返してやる」 


 俺は焚き火の火を、素手で握り潰した。熱さは感じない。心の中にある黒い炎の方が、ずっと熱いからだ。


 決意は固まった。もう二度と、あいつの靴を舐めるような真似はしない。


 次のダンジョンで、勇者の加護は剥がれる。そして俺は、最強の鉄拳を持って、この歪んだ世界を蹂躙する。


 ──────────────────


        [数日後]


 ダンジョンの最深部へと続く通路は、湿った腐敗臭に満ちていた。


「おい、ゼノス。次のダンジョンの最前線は決まったぞ。お前、盾役な」


 レオンがニヤニヤと笑いながら、エリスの腰に手を回す。エリスは羞恥と諦めが入り混じった表情で、俺と目を合わせることを避けた。彼女の首元には、レオンの所有物であることを示す赤い痣が刻まれている。


 俺たちの婚約は、この世界ではすでに「過去の遺物」として踏みにじられていた。


「……了解だ。レオン」


 俺は低い声で答えた。怒りはない。ただ、冷徹なまでの虚無が心を満たしていた。


 俺は既に誰にも気づかれない「隠しスキル」を持っている。他者の能力を一点集中で破壊し、その残滓を自分の力に変える「怨撃えんげき」という禁忌の術。


 夜、野営地でレオンたちが酒盛りをする中、俺は一人で空を切る正拳突きを繰り返した。


 勇者の加護は、その精神の脆さに比例して強大化するが、同時に他者への敬意を失った時、急激に不安定になる。


 レオンの精神は、すでに傲慢という名の毒に侵されている。あとは、その綻びを突くだけだ。


「──ゼノスくん、少し……いいかしら」


 夜の帳が下りた頃、エリスが震える足取りで俺のテントにやってきた。彼女の目は腫れている。俺を裏切ることに苦しんでいるのか、それとも今の生活に毒されているのか。


「……どうした」


「レオンが、あなたが邪魔だと言っているの。……明日のダンジョンで、死んでほしいって」


 彼女の言葉に、俺は思わず吹き出した。喉の奥から込み上げる、狂気じみた笑い。エリスは涙を流しながら俺の足元に縋り付いた。かつての純真な少女の面影は、今やただの壊れた人形のようだ。


「ゼノス、ごめんなさい……私は、彼に逆らえないの。彼の魔力に、心が支配されて……っ!」


 俺はゆっくりと立ち上がった。そして、彼女の顎を掴み、無理やり俺を見させた。俺の瞳の奥で、黒い炎が揺らぐ。


「エリス、お前は俺の所有物だ。……たとえ心が壊れていようとも、その身体のすみずみまで、俺の所有物であることに変わりはない」


 俺は彼女を突き飛ばし、そのままテントの中に引きずり込んだ。レオンがエリスに与えた「勇者の刻印」を、俺の掌から流し込む怨撃でじわじわと侵食させる。


 抵抗する力も残っていないエリスは、ただ俺の圧倒的な支配を受け入れていった。


──明日のダンジョンで、レオンは死ぬ。


 勇者という肩書きは、俺の手でズタズタに引き裂かれる。その時、絶望の淵で彼が何を思うのか。俺の幼馴染、最強の勇者様よ。


「ああ、楽しみだ。お前の全てを奪い尽くして、俺が英雄になる瞬間がな」


 静まり返った森の中で、俺の拳が不気味な音を立てて鳴った。まだ楽しもうじゃないか。復讐の夜は、まだ始まったばかりだ。


 俺はテントの入り口を閉ざし、暗闇の中にエリスの吐息を聞きながら、明日という名の終わりの始まりへと思いを馳せた。


 明日、ダンジョンの最深部で、神に見放された勇者の断末魔が響き渡る。その時こそ、俺の長きにわたる忍従が、真の「英雄」へと昇華される瞬間なのだ。


 俺は再び右拳を握り締めた。


 レオンの傲慢さ、エリスの涙、そして裏切られた日々。すべてをこの一撃に込めて。


 復讐は、甘美な果実のように、俺の魂を黒く、強く染め上げていく。


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