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おとぎ話のお姫様

ご主人様が帰宅した。

あれからの再開となる!お元気だろうか?

お手紙だけでは心配はぬぐえない。


夕食に呼ばれた。

ドレスとは言え、動きやすさもあるシンプルなタイプ。

初めての着用だけれど、苦しくない。

メイドのメグさんが


「コルセットが無いタイプなのですよ。貴族のお嬢様が

ご自宅で着ているドレスですね。」


と教えてくれた。

でもね?これはかなりのお値段ですよ?

なんたって、着心地がいい。

いい匂いもするし、ペールブルーの生地に白いストライプ。爽やかなおとぎ話のお姫様ですよ?

中身はね、アレだけど…マナーも知らない平民です。


いくら命の恩人もどき?とは言っても

やりすぎは毒です。

調子に乗ったら醜聞でしょうに。

羽目をはずしたら、困るでしょうに。

誇れるものがないのに、こんなお姫様扱い。

いいのでしょうか?


食堂まで案内された。

扉が開くと、すでに家人が皆席についていた。

遅刻か?ドキドキする。

目の前を歩く初老の男性が、ユリウスくんの隣の椅子を引いた。

座れということね?

初老の男性は、執事なんだそう。

使用人のあれこれはメグさんが教えてくれた。

今日、明日限りだろうからサクッとだけ覚えた。


一呼吸置いて、当主の伯爵様が話しはじめる。


「遅くなってすまない。アミル嬢のことは

家族には伝えていた。あの時は本当にありがとう。

おかげで身体も今は問題がないし、親友とも濃い時間を

過ごせたよ。全部あなたのおかげだ。あのキャンディーとともに命の恩人だよ。しばらくここでゆっくりと

これからのことを考えるといい。ユリウスが姉のように慕いたいと言っているが、私は賛成だ。

妻も、娘がずっと欲しかったから相手をしてやってくれ。よろしく頼む。」


元気な笑顔で言われてしまった。

メグさんから聞いた話だと、奥様は数年前に妊娠三ヶ月でお腹の赤ちゃんを亡くしたそうだ。


それから塞ぎ込んだ日々を過ごしつつも、お茶会に出たりしたけれど、子供が出来なきことの陰口に耐えられず

引き込もってきたみたい。


そろそろ又、社交の場にも出ないとと伯爵様と話をしている最中らしい。

その背中を押して欲しいのかな?

癒しのベースを固めて欲しいのかな?

孤児が居候なんて、余計な火種じゃないのかな?


また思考の波に飲まれていたら、食事会は進んでいた。

私の手は動いていない。

簡単なマナーしか知らないけれど、

献立が難くない配慮なのか?隣のユリウスくんを

見ながら食べたら粗相なく完食出来た。

ユリウスくん、ありがとう!


しばらく居てくれと言われたけれど、

優先順位としては、私の仕事、住むところ優先。

奥様のフォロー

ユリウスくんと仲良く

客人としてのマナーだけは、教えてもらえるように

頼んでみよう。


翌日、早速マナーの先生が決まった。

なんと奥様だった。奥様は伯爵家の次女だったらしい。

厳しい家だったそうだ。

すぐにでも平民生活になるのにと思ったけれど

『学ぶは荷にならず』

と隣国語のネイティブティーチャーが言ってた。

流れに乗ってみよう。


そう言えば、隣国語を話ているのに誰も間違いや不足を指摘しないな。ティーチャーが良かったのかな。

ありがとう、ネイティブティーチャー。

ずっと元気でいてください。好きな人と結ばれたかな?


今では隣国の故郷の孤児院を思い出しながら、

疲れたのか深い眠りについた。


ちなみに、北側の寒い部屋でもなく

メイドからの悪意ある仕打ちもなく

ごはんも料理長のスベシャルディナーで

ベッドもふかふかなのであった。


おとぎ話のお姫様(仮)、いい夢見れます様に。









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