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そして未来へ

王宮のとある離宮が取り壊されたらしい。

ものすごい早さで取り壊されて、あっという間にお花畑になったそうだ。私が聞いた話はもしかしたらさらっと流した内容で、もしかしたらもっとドロドロ悲惨なものだったのかもしれない。


それを知らしめるものすらない。花には罪はない。

そこに行けば複雑な気持ちになるかもしれないけれど

たぶん、行くことはないだろう。

どこにあるのかさえ知らないし王妃様たち大人が負を背負ってくれたんだと思うから掘り返さないと決めた。


長い年月を過ごしてきたのは同じ。

時間は同じだけ、離れていても同時に刻んできた。

兄と弟と会うこと、時間と時間が交わって同じ時を過ごせる期待と不安。


毎日ドキドキしていたら、先に王妃様のお茶会に誘われた。長いこと療養していた公爵令嬢。

亡くなった父は、公爵家を継いでなかったから家の持つ伯爵位を引き継いでいた。

兄と弟が、両親亡きあと養子になったから私もこの度養子になったらしい。

苛められたらどうしよう?オッドアイの瞳が怖いと言われたらどうしよう?


そう思っていたこともありました。といえる程案ずるよりなんとかで、王妃様のお茶会は和やかで文化の香りのする知的な社交場でした。

私の鑑賞眼が頑張りすぎて、目が回りそうになった程。

例の令嬢とも仲良くなれた。

私だとわからなかったみたい。あの時は孤児院を旅立ったばかりで、ボロっちかったからね。

公爵令嬢という肩書きにも、ドン引きしてたわ。


ドン引きといえば、あの時の令嬢のお顔もね。

言えないけれど、思い出し笑いははしたないかしら?


叔父様が言っていた面白いお話ってなんだろう?と

令嬢に聞いてみたら、なんとあの最高級のハンカチ。

出所は王妃様から叔父様だったのだけれど、

隣国の町の騎士団長に渡ったことで、私を飛ばして会いに行ったらしい。

そうしたら、体格のいい優しい団長さんに一目惚れ?

王妃様からの推薦状をもらっていたからトントン拍子に話が進んで婚約するみたい。

ちょっと歳の差があるようだけれど、包容力のある団長さんとはお似合いだと思うわ。

面白い展開だった。叔父様のおっしゃる通り。


そして公爵家からお迎えがきて、訪問が叶ったの。

あれから、私が公爵家の人間だとわかり伯爵夫妻は驚いて態度を変えようとされたけれど、これまでのようにとお願いした。

ユリウスくんは、今まで通りで癒されるわ。

伯爵家で過ごすのも、もしかしたらあと少しかもしれない。そんな予感を胸に公爵家へ行った。


伯爵家も豪華だったけれど、公爵家はそれどころではなかった!美術館の旧宮殿のように威厳ある荘厳な建物だった。伯父様にあたる公爵様が入り口で出迎えてくださった。その横には、背の高い銀髪の青年が二人。

馬車をおりようとしたら、伯父様が手を差しのべてくださった。


エスコートは、もうマスター出来たからどうかしら?

と思って歩いていたら、青年二人が抱き合って泣いていた。

「初めまして伯父様、お兄様と…?」


「メイデンだよ?メイデン クレイドル。君の弟だよ。」

「俺はハービット クレイドル、冒険者だよ?」


「あれ?もしかしてハルベリー行きの乗り合い馬車でスペシャルドリンクを飲んで元気になった…?」


「えー?そんなことある?まさかあの少女なのか?」


「どうした?二人は会ったことがあるのかい?」


伯父様が聞くと、

お金を使い果たして、いや素材を盗まれて?スッカラカンになってどうにか帰路について馬車に乗ったら何も食べてなくて倒れたんだっけ?


宿のおかみさんにもらったスペシャルドリンクで生き帰ったのよね?あの緑色のドロドロの黒いジュース。

飲んでみたかったな。


すごい偶然の出会いだった。

もしかしたら孤児院を出た時から父と母が見守って導いてくれたんじゃないかと言ったら、三人とも首を縦にブンブン振っていた。

屋敷の中の、陽あたりと見晴らしのいいお部屋が私のために整えられてると聞いた。一緒に暮らそうと言われてしまった。血の繋がった家族。くすぐったくなった。


「アルヴィーナがここにきたら、身内だけで歓迎パーティーを開かないといけないな。」

「友達を紹介するよ!」

「冒険も、控えめにして一緒に過ごそうな。」


何を言われても嬉しいのは、兄妹だから?


「どうしよう?俺の妹がかわい過ぎる!求婚状が山のように届きそうなんだけどー。」


そう言う兄は、冒険の方が大事らしくまだまだ結婚は考えられないし弟に譲っていいと言っていた。

その方が良さそうな気がする。


私は、親友になった例の令嬢アンジョリーナに先を越されるのは間違いない。


アンジョリーナのお相手の、あの町の騎士団長様は

この国の騎士団長の叔父様とも知り合いだったからこちらに来て副団長にまで出世した。男爵家次男だったからアンジョリーナの家に婿に入った。


案の定、公爵家は弟のメイデンが継ぐことになった。

優しい笑顔で頭を撫でられると、お母さまの笑顔と重なる。肖像画でしか見たことないけど。


ありがとう。本当にありがとう。

おとぎ話のわらしべキングのように、孤児院を出た所からの人と物との出会いが私の幸せな未来を作ってくれた。


公爵家の役に立つように、勉強を頑張って

社交にも慣れた頃私にも恋が訪れた?

どうしても私が好いと何度も何度も求婚されて

しまいには私が折れた。


そのお相手とは、なんとあのユリウスくんだ!

6歳も年下のユリウスくん。私が初恋だったんだって。

スペシャルキャンデーが無ければ出会ってなかった。

(そんな名前だった?キャンデー)


今、私は18歳、ユリウスくんは12歳。

背の高さはユリウスくんと変わらないけど

これからどんどん抜かされていくのね。

歳もいつか抜かしてくれたらいいのに。

婚約したから、4年後に結婚する予定。その4年を喜ぶ兄たちがいた。年上の人とだったらもう結婚しててもいい歳だもの。ユリウスくんに感謝して泣いていた。

よく泣くのも、私だけに?嬉しい。


心を通わせると、物や人が幸せのバトンになるのかもしれない。兄は4年後までにものすごい獲物を狩る宣言をしていた。ドラゴンか?ドラゴンなのか?

命だけは大切に。


弟は、立派な跡取りになっているだろうか?

アンジョリーナは母になっているかな?

伯爵夫妻、義両親になるお二人も元気でいて欲しい。


伯父様も、素敵な出会いがあるといいな。

王妃様も皇太子様たちも、もちろん王様も

みんな元気でお過ごしになって欲しい。


胸に、穏やかにきらめく母のペンダントがあたたかさと勇気を与えてくれる。

もう、ひとりじゃないんだ。いつかあの孤児院を訪ねよう。そしていつか修道院にいるはずの女性を探そう。

王妃様はもしかしたら知っているかもしれないけど。


未来へと生きていく

大切な人たちと一緒に!


あ~結婚式が待ち遠しいよ。ユリウスくん早く大人になりますように。











初めての投稿でした。

読んでくださった方々、ありがとうございました。

頭の中で登場人物たちがストーリーを運んでいくのが面白くて楽しませて頂きました。

また、書いてみたいです。

辻褄や、時系列?何目線?よくわからないところは雰囲気で読んで頂けたら嬉しいです。

最後、わらしべの先は幸せでした。幸せを導ける人でありたいですね!

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