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世界5:歯車の世界
ここは多種多様な機械によって回っている世界だった。
前に見た世界とは異なる発展を遂げた場所なのだろう。だが、社会のかたちは他と大して変わり無かった。
助けてくれる制度も人も存在しない。
技術も全く違うからこれまでの知識が役に立たなかった。相も変わらず親は知らない。知識を教えてくれる人も居ない。
色んな場所を転々としながらなんとか凌いで生きた。
ある時は職人の雑用として、ある時は小間使いとして。
何をやっても最後には追い出されて長続きしなかった。結局盗みで生きるしかなくなった。
弱い体でずっと逃げられるわけもなく、間もなく捕まった。
どこの世界でもこうなんだろうか。直接悪事をしたものを捕まえる。上のやつらは原因を取り除こうともせずに。そいつらの方がよっぽど悪人だろう。
歪んだ世界の仕組みに怒りを覚えた。
世界は歪んで、歪んで、歪んで。
そして歪みはねじれとなり、消えた。