世界1:人として生きる能力
気付くとまたスラムだった。
ただし、全く見覚えが無い場所の。
(全く綺麗ではないが)服は新しく、体も若干縮んだような気がした。鏡なんてものは無いので確認できないが1,2歳ほど若返っているような気がした。尤も、縮んだと言っても元が小さすぎて大した差はないが。
ここまで違うと夢にも思えずとても悩んだ。一体何が起こっているのか。見ず知らずの土地で生き残れるのか。
色々思いはしたがまずはとにかく生き残る事を考えた。
盗みや略奪で凌ぐ日々。
そんな中、盗みを失敗して捕まり、そこで男に出会った。
その男は裏家業として暗殺業をしている貴族だった。
男とその部下に暗殺術を叩き込まれた。これが一番今でも役に立っているだろう。
指南が終わるとすぐに暗殺者としての仕事を命じられた。ただ、淡々とこなしていった。
汚れ仕事とはいえ初めてまともに仕事をすることが出来て嬉しかった。
だがすぐに男に裏切られることになった。
スラム出身の少女なんてただの捨て駒だったのだろう。
私に向けて暗殺者が何人も仕向けられた。逃げても逃げても追われることになった。
私を殺しに来る暗殺者を憎んだ。
貴族の男を憎んだ。喜びを与えておいて取り上げる傲慢さを。
また、憎悪は膨らみ、やがて世界を破壊した。