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 パパさんが釣った獲物を食材に、今夜は浜辺でバーベキューとなった。

 ウズメさん達が自分達より大きい魚を一生懸命捌いている。


「やっぱり、ゆったんは違うと思う。ゆっちゃんにしない」

「それじゃ、律とかぶるでしょ。却下」

「なら、ゆいちゃん」

「それはなんか嫌」


 あああ、もう! ゆいたんも、ひめワカたんにかぶってるじゃん!


「結菜」


 そう言った途端にゆい姉は胸を抑えて仰け反った。


「もう一度言って」

「結菜」


 何故か先程より大きく仰け反る。息も荒い。


「き、きまりね。それでいきましょう」


 こうしてゆい姉の呼び方は結菜に決まった。

 ふらふらしながら結菜は立ち上がる。


「ちょっと人を迎えにいってくるわ」


 右手の人差し指につけている指輪に祈るように手を重ねると結菜の姿は消えた。

 しばらくそのまま待っているとアマテラスとりっちゃんを連れて目の前に現れた。


「ぎゃっ! 心臓に悪い!」

「ごめんごめん」


 そう言って二人と手を握ったまま結菜はママさん達に挨拶にいった。


「へえー、あれが噂の」


 何故か、ワカたんが舌で唇をペロリと舐めた。


「二人とも綺麗ですね。うん、いい感じです」


 何故か、ひめたんは股間に手を当てた。


「アマテラスには一度あったけど。ふーん、あれが金剛律子ですか。中々、コウタもお目が高いですね」


 何故か、咲耶は軽く口を手で抑えて小さく笑っていた。

 そこはかとなく、身の危険を感じる。



「洸太!」


 りっちゃんが走って俺に抱きついた。

 俺の胸に顔を押し付けて泣いていた。


「元気で良かった。ほんとに良かった」


 ギュッとさらに腕に力を込められた。


「りっちゃんも元気で良かった。それにまた綺麗になりましたね」

「ばか」


 彼女は涙が止まると、俺からゆっくりと離れた。

 そしてアマテラスに譲るように後ろに下がった。


「コウタさん。お元気そうで何よりです」

「うん。アマテラスは雰囲気変わったね。とても穏やかで凛とした感じが増した。それにいつ見ても纏う魔力がとても綺麗だ」


 俺から彼女を抱きしめた。


「あっ……」


 そして彼女のおでこに軽くキスをして離れた。


 自分の行動に胸がドキドキする。

 なぜ彼女を抱きしめたのか分からない。

 これじゃ、まるで女たらしだ。

 ゲンナリしてうつむいてると、しばらく聞いていなかった二人の幼馴染の声がして後ろを振り返る。


 絵里は泣きながら。晃は涙目になりながら二人が同時に俺に抱きつく。


「こうちゃん。二人ですごく心配してたんだから」

「この大馬鹿野郎……」


 そんな二人の後ろにもう一人の姿を見つける。

 しばらく着ていない懐かしい制服の、そのくずした着こなし。


「八島! な、なんで八島まで」

「速水くん、会いたかったよ!」


 絵里と晃は俺からスッと離れ、代わりに八島が俺の首に手をまわすように飛びついてきた。

 そのまま彼女を受け止めて抱きしめる。

 そして俺は唇を彼女に奪われた。


「ああーあ、八島ちゃん大胆」

「さすがギャル」

「それでこそ私のイチオシ」

「あの彼女達は」

「あ、紹介するね。洸太の幼馴染でこっちが絵里。で、これが晃。そして今洸太にキスをしたのが、洸太のクラスメイトで私のイチオシの八島ちゃんよ」


 咲耶に胸を張って紹介してるけど助けて。

 このままだと理性が吹き飛んじゃうから!


「結菜先輩。あれがオッケーなら、私もしたかったです!」

「また拉致してきたんですか! 後でみんなにバレて責められても私は知りませんからね!」

「大丈夫。秘密の共有は絆を強くするものなのよ」


 いいから助けて!

 舌まで絡められてるから、マズイって!


「あの大胆さは見習わないと駄目かもしれませんね」

「八島ちゃん。ずっと心に秘めてたからね。大爆発してもおかしくないよ」

「だな。クラスで一番最初に洸太を好きになったのも八島だしな」


 咲耶、絵里、晃。そんなのはいいから助けろって!

 あああああ、もう無理!


 俺は八島を横に抱き変えると、そのままキスをした。


「あれが噂のお姫様抱っこですね。そこからのキスとは、コウタくんお見事」

「私も、今度ママにしてみよう。あれはエクセレントだ」


 八島が急に大人しくなったと思ったら意識を失っていた。呆気に取られてまわりに助けを求める。


「偽ギャルは、攻められるのには弱かったか」

「違うよ。八島ちゃんはこうちゃんの好みを実践してただけで。中身はかなり純情乙女だからね。あれは俗に言う。キュン死だよ」


 二人の幼馴染から伝わる他人事感。


「でもさすがは私の洸太。くちづけ一つでダウンさせる真似は洸太にしか出来ないわ!」

「左様です、結菜様。あれが輝夜自慢のマスターです!」


 波乱を予感させながら、バーベキューは始まった。

 気を失ってる八島をそのまま抱きながら。



「おい、起きてるだろ」

「 ……起きてません」


 ……なら実力行使だ。俺は八島のかわいい胸を揉んだ。

 するとすかさず頬に平手を喰らう。


「エッチ!」


 顔を真っ赤にして両手で胸を隠す八島に揶揄うようにお返しのキスをした。


「こうちゃん。そんなに何回もキュン死させたら駄目だよ」


 おもいっきり絵里にジト目を向けられ、少しだけ俺は反省した。

 

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