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 ママさんの希望でバカンス初日の夕食は浜辺でバーベキューとなった。

 料理初体験のママさんは気合いが入っていた。

 調味料を振って焼くだけなのだか、とても楽しそうにお肉や野菜を焼いて、みんなに食べさせていた。

 そんなママさんとは違い。パパさんはママさんがやけどしないか心配でアタフタしている。


「パパさん。そんなに心配しなくても大丈夫ですって」


 パパさんのお酒のおかわりを手渡した。


「コウタ。ママの綺麗な肌にもし傷が残ったらと思うと」

「お父様。やけどの跡なんて魔法ですぐ消えます」


 俺の傍をちっとも離れない咲耶がパパさんを嗜めた。


「分かっているんだそんな事は。けど、心配なんだよ」

「パパ、ありがとう。でも私は大丈夫」


 ママさんは焼けたばかりのお肉をパパさんの口に入れた。それはさすがに熱くないかな。

 パパさんは口を抑えながら涙目で食べていた。

 そんなパパさんをママさんは知らない。だって背を向けて楽しそうにお肉を焼いているのだから。


「マスターどうぞ」


 輝夜がママさんの失敗作を俺に渡す。

 それを俺は躊躇いなく口に入れる。

 この程度。ゆい姉の料理に比べたらまだマシだ。

 というか、焦げてるだけで味は美味しい。


 ウズメさん達侍女も隣で和やかに焼いている。


「なあ、これ日本のバーベキューの焼き台だよな」

「はい。ママさん達と買いにいきましたから、そうですよ」


 あ、あれか。あの時か。


「コウタくん。今夜は眠くなるまで、みんなでパーティゲームよ!」


 ママさんがトングをパチパチしながら話す。


「いいですねぇ。でも俺、上手いですよ」


 まさか日本でゲーム機まで買ってくるとは思わなかった。しかも娘に勝つための特訓に付き合わされるとは思ってもいなかった。


「初めての私に負けたら、コウタくんどうするの」

「コウタ、それはとても恥ずかしいぞ」

「確かに負けたら恥ずかしいですけど。負けませんから」

「じゃあ、賭けましょう。私達が負けたらパパが一枚づつ服を脱ぐわ。コウタ達が負けたら娘が服を一枚づつ脱ぐのよ」

「あの、ママ?」

「わかりました。ママさん、その勝負受けて立ちます!」


 ここまでナイスな流れ。

 しかし咲耶達三姉妹は誰が脱ぐか揉めている。

 そんな時、輝夜が手をあげた。


「ママさん達が負けすぎてパパさんが脱ぐごとが出来なくなったら、伝説の魔法少女コウちゃんが脱ぎます」

「わかりましたわ。やりますわ!」

「やるからには全力よ!」

「リベンジだね!」


 え、そんな話聞いてないよ。

 それにワカたん、リベンジって何。


「輝夜、謀ったな」

「マスター。考えてもみてください。ママさんチームは脱ぐのがパパさん一人。マスターチームは三人です。ママさんチームが不利ではありませんか」

「いやいや、なんで俺が勝ったのに自分で脱ぐんだよ。おかしいだろ、勝って脱ぐって!」


 輝夜はちょこんと首を傾げた。

 その仕草が何気にかわいいのが余計に腹が立つ。


「私が負けたら輝夜ちゃんが脱げば」

「ママさん。それは駄目なのです。絶対に駄目なのですよ。輝夜は他人に肌を見られたら、この星から去らなければならないのですよ」


 お前は鶴か。

 いや、でも機織りならぬ服の仕立てとかしてたからな、あながち間違いじゃないのかもしれない。


「残念ねぇ。ならウズメにでも頼もうかしら」

「へ、陛下!」

「大丈夫よ。私、きっと強いわ」


 ウズメさんは押し切られた。

 かわいそうに。


「お母様。ウズメは駄目です。まだ処女なんですから!」


 ああぁあ、バラしちゃったよ。


「セオたん。こんな大勢の前でバラしちゃ駄目だよ。ウズメさん、逆にかわいそうだよ」


 ウズメさんは両手で顔を抑えて、しゃがみ込んでいた。そんな姿をみて、咲耶は駆け寄って謝っていた。


「ところでコウタ様。パーティゲームってなんですか」

「車のレースや五目並べとか、オセロとか。あと双六とかだね。いっぱい種類があるよ」

「知らないのばかりですね」

「簡単なルールだから一度見れば分かると思う」


 咲耶がウズメさんに謝ってる隙に、ひめワカたんの二人に両腕を抱かれる。

 うん。これは悪くない。セレブだ。


「あ、ママさん。花火はどうしますか」


 輝夜が大きなダンボール箱三つを指差す。


「パパと花火は毎日するつもりですけど。あとは娘達に任せます」


 ほんと仲良いよな。

 でも買いすぎじゃないですかね。


「花火ってなんでしょうか」

「火花がパチパチって出るやつとか。火が吹いたりするやつだよ。それを手に持って眺めるんだ。綺麗で楽しいよ」

「お母様、私達もやります!」


 まだ咲耶は帰ってこない。

 ウズメさんがまだ駄目だからだ。


 でもなぁ。ウズメさんモテると思うだけだな。

 やっぱり忙しい職場だと恋してる暇なんてないのかもしれないな。

 咲耶も良い人を紹介してあげればいいのに。


「私達のメイドも未経験よね。まぁ、私達も人に言える程ではありませんけどね」


 やっぱり、メイドさんてブラックな職場なんじゃないか。そんな職場で頑張って尽くしてきた人にバラされたなんて精神的ショックは計り知れないよな。ほんと、ウズメさんかわいそう。

 

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