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一日でのアクセスが200を超えました。

読んでいただき誠にありがとうございます。

 深夜、皆が寝静まったタイミングでこっそり起きて、部屋の外に誰も居ないか確かめる。

 そして美緒ちゃんが受け取った。私宛に輝夜から送られてきた映像データを火夜子に投影してもらった。


『結菜様、お元気ですか。マスターはこちらでも元気にしていますので安心してください』


 六畳くらいの和室。その中央にある丸い木のテーブルで彼女はちょこんと正座しながら行儀よくお茶を飲んでいる。

 彼女曰く、ブレスレットの中の自室らしい。


『先日お話しした。セオリツヒメ皇太子殿下との結婚はあと三ヶ月後に行われます。それが済めばマスターは地球に帰還しますので楽しみにしていてください。それと結菜様にとっては、あまり良いお話ではないのかもしれませんが。皇太子殿下が子供の頃に二人の妹様と交わした約束で、二人の妹様もマスターのお嫁様になってしまいました』


「ええぇ、なんでそうなるのよ!」


 うっかり夜中だというのに大声を出してしまった。慌てて部屋から顔を出して廊下を確認する。

 大丈夫。誰もいない。


『でも安心してください。輝夜がちゃんときっちり結菜様が損しないように手を打っておきました。でも、でもですよ。心配と寂しさから枕を濡らしているであろう結菜様に、とっておきの超レア映像をノーカットでお送りします。これを観て、元気をだしてください』


 相変わらず、一言余計だ。

 誰が涙で枕を濡らすだ。


 映像が切り替わり、戦艦のブリッジ? のような場所で洸太が変身した。


「あ、あれは魔法少女コウちゃん!」


 前のめりになって、映像に向かって手を伸ばす。

 そして、そのまま手はすり抜ける。

 我ながら馬鹿な事をしたと呆気にとられる。


 どうやら魔法少女コウちゃんは、大規模な宇宙艦隊と戦闘をするみたいだ。

 なんだろう。この迫力映像は。もしかして映画なのだろうか。

 それとも皇太子殿下のお相手としてのピーアル映像なのだろうか。

 どちらにせよ。規模が大きすぎて真偽がつかない。


「あれは私の」


 私の槍とよく似てるが違う。

 そんな武器から圧倒的な威力の攻撃が放たれ、目標となった大型宇宙艦はその攻撃にあっさり船体を貫かれて大爆発した。


 その迫力に絶句する。まぁ、当の本人も驚いているようなので構わないだろう。


 これは実際の戦闘映像だ。


「洸太は何やってるの。私が傍にいないのに無茶して、バカじゃないの!」


 熱くなって応援しながら観ていると。いつの間にか私の周りでも、私と一緒に応援して歓声が起こっている。

 今更ながらに振り返ると洸太のクラスメイト達がそこにいた。


「赤城先輩。これ、凄いですね!」

「うんうん。速水くん、いっけぇーー!」


 その元気な応援ぶりに、私も混ざって大声で応援する。


「あぶない、洸太!」


 後方、斜め下からの攻撃を辛うじて避けていた。

 その光景に、みんなの悲鳴があがる。


「うるさい!」


 れーこが律を連れて部屋に怒鳴り込んできた。

 そして私達が観ている映像に素早く近づく。


「伝説の魔法少女コウちゃん!」


 二人揃ってそう叫んだ。そして最初から観せろと駄々をこねるが二人は数の暴力には敵わなかった。

 結局、七割くらい過ぎた場面から観るハメになる。


 ラスト近くにアマテラスと美緒。そして舞先輩が同じように怒鳴り込んできた。が、先の二人とまったく同じ反応をみせる。


 結局、何度も繰り返し皆で観ていた。

 ちょうど次の日が休暇で助かったのだけれど、喉はガサガサ。そして何より疲れた。実戦で戦った後より疲れた。


 けれど、みんなは前にも増して元気になった。


「ゆい。他には隠していないわよね」


 そのれーこの一言により、私は家から脱走を試みるも、あっさりアマテラスに捕えられる。


 わ、私だけの秘密映像が皆に公開された。

 広くなった居間。そこで皆と、あちらでの洸太の日常風景を収めた映像記録を観賞する。

 呑気に美味しそうなものを頬張る姿や。ボロボロになって行っている格闘訓練など。

 私が日々こっそり励みにしてきた貴重映像なのに、どうしてこうなるの!


「輝夜。まさか私を裏切るとは思っていませんでした」

 

 二人離れた場所のアマテラスが怒っていた。


「まさかお姉様達全員と……」


 美緒ちゃんはずっとその言葉繰り返すだけの置き物になっている。

 無邪気に喜んで観ているのは。やはり、洸太のクラスメイト達と律だけだった。


「赤城。次からは隠すなよ」

「もう無いかもよ。ほら、三ヶ月後には帰ってくるし。あはははは」

「いや、ある。必ず送られてくる。それも嫉妬で狂いそうなやつを。そう、私の勘が告げている」


『ジャアジャーン! マスター恋人ランキング!』


 あ、みんなに一番観せてはいけないやつ。


「え、何々!」

「うち、十位以内に入る自信ある!」

「ええぇ、それ無理でしょ」


 これは荒れるやつだ。

 如何に輝夜ちゃんが公平にジャッジをしていても。


 私はトイレに行くと見せかけて、静かに居間をでる。そしてバイクに乗って家を出た。


 暫く家に帰るのはやめておこう。

 うん。初登場ぶっちぎり一位の存在を知って、落ち込むみんなの姿は見たくないからね。


 まあ、私は二位!だし。

 でも、ビリの舞先輩はお酒の量が増えるんだろうな。ほんと、ご愁傷様です。


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