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「なんで、セオたんはプライベート以外は髪の色を変えてるの」


 五人で食事をするようになってから食堂で食事を取るようになった。そんな夕食時、今まで疑問に思っていた事を訊いてみた。


「うーん、役作りの為かな」

「役作り?」

「冷酷冷徹を装う為の、かな」

「ああ、だから水色なのか。納得したよ」


 疑問を解消して、うんうんと食べているとヤガミヒメまでこの話に乗ってきた。


「私もお姉様の真似して髪を茶色くしてるのですよ。少しでもほんわか見られるように」

「あああ、その色は確かにそう見えるかも」

「あはっ、コウタ様に褒めてもらって嬉しいです」

「私も! と言いたいのですが、私は何もしてません」

「落ち込まないで。ワカちゃんはそのままが良いよ。嘘が苦手そうだしさ」

「あっ、ありがとうございます!」


 うーん。褒めてもいなければ、お礼を言われるような事も言ってないんだけどな。

 そう思って、頬を軽く掻いた。


「あの、私達の名はまさかひめちゃん、わかちゃんで決まりなのですか」

「まさかだよ。ちゃんと考えてるよ。だから安心して、ひめちゃん」


 やばい。中々決められないんだよな。

 俺のスーパーハイセンスなネーミングセンスを持ってしても苦戦中なんだよ。


「お姉様の名は教えてくれないのですか」

「秘密。お母様もその方が良いって」

「そうは思うのですけど。夜のあの時にセオたん、とか聞くとなんかおかしくなるというか、その」

「ちい姉、ここははっきりだよ。お姉様にその愛称は似合わなくて、なんかムズムズしちゃうんです。髪をこう、ガッーて掻きむしりたくなる、みたいな」


 確かにセオたんはイメージと違うよな。

 だって、それって


「イチャイチャ、ラブラブしてる時の呼び方ですから。ちなみにマスターは、こうくん、と呼ばれています。セオたん、こうくん、の仲なのですよ」


 咲耶の顔が一気に赤く染まる。そして俺も。

 そんな感じで二人でうつむいてしまった。


「輝夜ちゃん、その映像は!」

「もちろんありますが、これは非公開映像です」

「え、なんで」

「回答を拒否します」


 輝夜を横目で見ると、シラッと食事を続けていた。


「輝夜。ほんと図太い神経してるな」

「光栄であります」

「褒めてねぇよ!」


 思わず叫んでしまった。食事中なのに。反省反省っと。


 咲耶はまだ復帰してはいなかった。その綺麗な顔は茹で蛸みたいに赤い。


「ヤガミヒメ様も、ワカヒルメ様も、あまり深く突くと私室に入れてもらえなくなりますよ」

「全部バラしたお前が言うな!」


 手を伸ばして、輝夜の頬をつねった。


「あ、まふたー、いはいれふ」

「少しは反省しろ!」

「はひい、でありまふ!」


 最後に一捻り加えて手を離した。

 まったくこの駄メイドときたら。


「あれ、セオたんどうしたの」

「いえ、輝夜ちゃんも中々怒られるんだなって」

「輝夜はいつもマスターに叱られてるのです。しゅん」


 こ、こいつ、本気で尻を叩いてやろうか……


「輝夜ちゃんておもしろいよね。彼のことを上げたいのか、下げたいのか、分からなくなるよ」

「ワカちゃん。輝夜は基本。小言の多い、揶揄うのが大好き駄メイドだから。それに盗撮魔だ」


 気を許しちゃ駄目だと忠告した。

 そんな時に食堂内に警報が鳴り響いた。


「ご報告します。惑星ニビルの艦隊が第三次防衛ラインに接近しております」

「そう。ワカヒルメは迎撃の準備を。ヤガミヒメは私と共にお母様の所へ向かうわよ」


 咲耶は立ち上がっていた俺に視線を移す。


「コウタはここに居て」

「嫌だ! 俺も一緒に戦う!」

「戦うって。宇宙艦対決なのよ。コウタには何も出来ないわ」

「知らないのか。バトルメイガスは宇宙でも戦える」


 俺の言葉にこの場にいる全員が信じられないといった顔で俺を見ていた。


「それに。俺には宇宙艦を一撃で落とす武器がある。そうだろ、輝夜」

「はい、お任せください。ついに私の武器形態を披露する時がきました!」


「わかりました。なら、ワカヒルメと共に軍港へ向かってください」


 悲痛そうな表情で、咲耶は一言。ご武運を、と言って去っていった。


「ワカちゃん、俺達も行こう!」

「はい、コウタ様。転移しますので、私の手をお取りください」


 輝夜がブレスレットの中に戻ったのを確認した後、ワカヒルメの手を取る。


 転移の魔法が発動し、軍港司令部にそのまま転移した。


「状況は!」

「はい。全艦出撃準備が整っております!」

「さすがね。よくこの短時間で準備を終えたわ。いい、奴等をこの星に一人でも降り立たせることは、私が絶対に許さない。必ずあいつらを宇宙の塵に変えてやれ!」

「了解!!」


「元帥閣下、搭乗のご準備を」


 女性兵士がワカヒルメに金色の襟の白いコートを肩に掛けた。


「コウタ様、行きますよ」


 俺はワカヒルメの後をついて、前に一番最初に見学した宇宙艦に乗り込み、ブリッジに上がった。

 初の宇宙での艦隊戦に、少しだけ鼓動が高鳴った。

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