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私はコウタの国の王と盟約を結ぶ為に青の星の日本にやってきた。
本来の予定ではお兄様か、第二皇女のヤガミヒメを使者として送ろうと考えていたのだが、私自らが赴くことにした。
「セオリツヒメ様、お待ちしておりました」
「ヤタガースか。首尾は」
私の目の前で傅く、黒い服を着ている小柄な男に私は問う。
「全てあなた様の意のままに」
あらそう。とだけ短く彼に返し、私は王の住まいの皇居とやらに総勢五名で向かった。
そして向かった先でイザナミが緊張して固くなってる様をみて、少し笑顔が溢れた。
相変わらず小動物みたいでかわいい。
「あっ、あの、此度は皇太子、」
「そんなに緊張しなくてもいいわ。私とあなたは姉妹なのよ」
少し屈んで彼女の視線の高さに合わせてから、彼女の頭を撫でてあげた。
そんな私の行動に驚いたのか、大きく目を見開いている。お兄様は私の事をなんて彼女に言っていたのかしら。その内容によっては罰を与えようと思う。
「ほら、いつまでも戸惑ってないで。私を案内してちょうだい」
「は、はい! お姉様!」
鼻から強く息を吐いてから、気を取り直したように少しまだ動きは固かったが頑張って案内してくれた。
イザナミの側にいる黒髪の乙女。彼女がアマテラスだと一目見て分かった。
やや敵意を感じるが、その気持ちは理解している。
コウタを私に先に取られたからだ。
謁見の間なのだろうか。質素な場所に案内され、そこでこの国の王と初めて対面した。
彼は私の前で傅くと、一息入れて語りだした。
「この度はセオリツヒメ皇太子殿下に、」
「よい。そのような長たらしい挨拶など要らぬ。私の提案に乗るのか、乗らないのか。ただそれだけを聞かせよ」
「はっ。全面的に受け入れさせて頂きます」
「なら後は、こやつらと話を詰めよ」
私がそう言うと、軍事と外交を担当している者達が一歩前に出て、軽く挨拶を述べた。
「アマテラスとやらは、其方だな」
彼女に視線だけ合わせて問う。
「はい。左様です」
「少しこちらに来い」
彼女は私の前まで来ると傅く。
私は彼女の頭に手をかざし、そして魔法を唱える。
「妹との約束はまだ果たされてはいないのだろう。代わって、私が果たした。これでコウタに漸く告白出来るな」
この星の最高の人工知能と聞いていたが、思っていたよりは賢そうだ。それに反応も良い。
彼女は不思議そうな表情を浮かべながら、何度も自身の体をペタペタと触って確かめていた。
そして涙目になりながら、顔をあげた。
「感謝します。セオリツヒメ皇太子殿下」
「礼など要らぬ。ただの気まぐれだ。それより、私を赤城結菜のもとへ案内いたせ」
案内された先は、報告通り病院だった。
その一室で彼女は目を閉じて静かに眠りについていた。
こうして実際に間近で顔を眺めると、確かによく似ている。
違うのは髪の色と瞳の色。もっとも、今は彼女が目を閉じて眠っているので確かめようはないが。
私は彼女の顔に手をかざす。
そして、彼女の意識の中に入った。
みっともなく、ただ項垂れ泣いている。
そんな彼女の背を私は腰を落として撫でた。
「いつまでそうしているつもり」
「何も見えないの。何も!」
彼女は両手を口に当てて、嗚咽をともない大泣きする。
「そんなに彼が居なくなって辛いの」
「辛いわ。だって、私では助けられない。私じゃ勝てない!」
はぁ、本当に自分を鏡で写したようだ。
もっとも私はここまで弱くはないけど。
「もうそろそろ彼は戻るわよ」
彼女は泣くのをやめて、私を見た。
「彼はここに戻ってくる。そんな情けない姿であなたは彼を迎えるの」
彼女はただ顔を横に何度も振る。
「なら、立ちあがりなさい。そして、あなたらしく彼の帰還を待ちなさい」
「うん。けれど、あなたは誰なの」
「そうね。もう一人のあなた。なのかもね」
私は先に立って、彼女に手を差し出した。
その手を彼女は取り、私は彼女を起こす。
「頑張りなさい」
「うん」
私はそう言い残して、彼女の意識の中から出た。
そしてかざしていた手を戻し、彼女の顔を眺める。
「直に目を覚ますわ」
私は側に仕えているメイドの手を取り、その場から転移をして私室に戻ると、コウタは口を大きく開けてお昼寝をしていた。
その愛しい寝顔にキスをする。
「姫様。お戻り早々に何をなさっているのですか」
この侍従は幼い頃から私に付き従っているせいか、やや口煩い。
「キスよ。見て分からないの」
「そうではありません。私が、」
「はいはい。イチャつくなって言いたいんでしょ。あなたを揶揄っただけよ」
「相変わらず姫様は。しかし、あんな魔法を使っても良かったのですか」
「構わないでしょ。彼女が今までにしてきた人に対する献身は、それくらいの価値はあるでしょう。あなたもそう思わない」
「まあ、そうは思いますが」
「生まれたからには恋をしないと。ね。」
「それは実体験に基づいてのお言葉ですか。本当に姫様もお変わりになりましたね」
煩いわね。本当に一言余計なのよ。
まあ、教育係でもあったし、致し方ないのかもしれないけれど。
私はもう子供ではないわ。いつまでも子供扱いしないでちょうだい。
口に出せば小言が続きそうなので、心の中でそうつぶやいた。
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