14
アマテラスと桜さん。そして潤さんに桃園さんとの五人で母星に帰還する方法を探っていた。
「美緒ちゃん。なんで自分の星なのにそんなに知らないの」
「だって私は、」
「ご無沙汰しております。イザナミ皇女殿下。セオリツヒメ皇太子殿下よりこれを授かって参りました」
「ッ、ヤタガース!」
突然の来訪に驚きの声をあげる。
しかも、重大警備のこの施設内に侵入してきたことを。
差し出された手紙を受け取るのを少し躊躇う。
「イザナミ皇女殿下にとって、悪い知らせではないと思います」
私は彼から手紙を受取り、封を開けた。
ありきたりの挨拶から始まった手紙の内容に驚く。
「美緒ちゃん、なんて書いてあるの!」
「洸太さんは無事なんですか!」
桜さんとアマテラスが前のめりで訊いてくる。
「次期皇帝に第一皇女殿下。即ち、私の一番上のお姉様に決まった事と。コウタがその伴侶に選ばれたと記されています。ですが、近いうちにコウタをそちらに戻すとも書いてあります」
一同が絶句した。
人って、ここまで驚きで動きが固まるものだと初めて知った。まさにポーズを決めたフィギュアのようだった。
「それと、これをこの国の王へ」
手渡されたのは書簡だった。
「これは」
「私の口からは申せません」
「王って、天皇陛下に渡せばいいの」
「はい」
そう言い残して彼は消えた。
「美緒ちゃん、あのショタ。いやいや彼は誰!」
「桃ちゃん、近い。近いよ!」
もの凄い力で両肩を掴まれるも、頑張って突き離した。
なんだかんだ質問攻めにあうも、後でちゃんと説明するからと言って先に書簡を届けることにした。
天皇様に書簡を手渡すと、彼は私達の目の前ですぐに目を通した。
すぐに書簡を持つ手が小刻みに揺れ、目を大きくして、ここに書いている事は本当なのか訊いてきた。
「本当かどうかと訊かれても、私は内容を知りません」
ハッとした表情で、私に書簡を手渡してきた。それを受取り、内容を確認する。
「えっ、」
その書簡の内容に、私までポーズの決めたフィギュアと化した。
「み、美緒ちゃん、しっかりして!」
桜さんが私の肩を大きく揺らす。
「あ、うん、もう大丈夫。ありがとう」
「それで、どう思われますか」
天皇様は私が驚きすぎたせいか、書簡の内容に疑いを持ったみたいだ。
「あのお姉様は嘘は言いません。そんな必要もない程にお力がありますので。ですから、そこに書いている事を信じていいと思います」
「では盟約を結んでも大丈夫だと」
「はい」
「なぜ先程そんなに驚かれたのですか」
それはそうでしょう。
この星の人類を滅亡一歩手前まで狩るのは皇位継承争いの慣例。お姉様はそれが始まってすぐに皇太子の座についた。しかもそれを止め、あのトカゲ共亜人からこの星を守ってあげると言ってきたのだ。正確には力を貸す。だが、守ってもらうのは確かな事だ。
よく皇帝陛下がそんな事を許したと思う。
それ程までにお姉様の言うことを信頼してるのだろうか。いえ、そうでなければ、あの母上がこんな事を許す訳がない。
「では会談する事にしよう」
私は天皇様に会談の際の注意点を話し、元いた場所に戻ってきた。
「あ、みんなに伝えないと!」
「私から先に伝えさせていただきました」
アマテラスがそう言って少しうつむいていた。
好きな人が他の星で結婚したんだもんね。そりゃあ落ち込むよね。私も少しへこんだし。
「ねえ、第一皇女殿下はどんな人なの」
珍しく潤さんがこの手の話を訊いてきた。
「とても強くて、とても怖くて、とても恐ろしい人かな」
「最後の二つ一緒だよね!」
さすがは双子だわ。ほんと桜さんとリアクションがそっくり。
「私はあまり話した事がないの。お兄様が近づけさせないようにしてたから。だから、評判しか知らないのよ。けれど、あっ!」
「なに!」
「お顔は結菜さんに、そっくりだわ!!」
その叫びで皆がずっこけた。すごい、コントのようだったわ。なんかクセになりそう。
「それで洸太くん、コロっと言った訳ね」
「いやいや。そんな人がなんでよりによって洸太くんなんだよ」
「確かに謎よね」
この双子の会話、何気にさらっと悪口を混ぜてる。本当によく似るのね、双子って。
「あまり仲が良いとはいえないお兄様が連れ去ったのに。お姉様とコウタが出会ったことがまず信じられない。どうしたらそんな事になるのか、さっぱりだわ」
「とにかく無事だったんだからいいんじゃない。それより、あの彼の事を教えてよ」
桃ちゃんがこわいよ。
ショタ好きってこんなにグイグイくるものなの!
「あの人って、背は小さいけど、私なんかよりずっとずっと歳上だからね! 桃ちゃんの趣味からは外れてるよ!」
「歳なんて関係ないわ。見た目、見た目が大事なのよ!」
「桃ちゃんには潤さんがいるでしょ」
「彼の為なら、あんなシスコン今すぐ捨ててやるわ!」
こわい。こわいよぉ。
もう、この人達といると頭がおかしくなるよ。
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