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 結局、めでたく十日で退院となった。

 その後、山本司令から全員が二十日間の静養を命じられ、何故か夏なのに温泉で静養という名目の旅行で万座温泉に来ていた。


「二週間宿泊予定って、どうよ」

『たまには良いんじゃないですか』


 乳白色の湯に浸かりながら輝夜と話す。

 そんな輝夜はお椀に入って湯を楽しんでいた。


「男一人ってのが辛い」

『まあ、ハネムーンならぬハレムーンですね』


 こいつ絶対に俺の話をろくに聞いてないだろ。

 さっきから適当なことばかり言ってるし。


「輝夜、俺より温泉を満喫してないか」

『あ、マスター。お湯が緩くなりましたので交換してください』

「あ、わかった」


 俺は輝夜を手のひらに乗せて、お椀の湯を入れ替えて輝夜をまたお椀の中に入れた。


「はぁ、今日の夕食もやばそうだ」

『タダで見放題なんですから楽しまなきゃ損ですよ』


 夕食は大広間で宴会形式なのだが、全員が浴衣で次第にその浴衣がどんどんはだけていく。

 しかもみんな上には下着をつけていないから目のやり場に困る。

 そんな訳で俺も次第にどんどん固くなる。

 必死に隠すのが大変なのだ。


『まあ、結菜様に収めてもらったようですし逆に良かったのでは』


 そう。俺もついに大人になった。

 大変に喜ばしい事だ。

 ちなみに今日も約束している。


「まあ、あれだ。婚約者だし、な。うん」

『そうやって、今夜も輝夜を部屋に一人置いていくのですね』

「あたりまえじゃん。だって記録されそうだし」

『しますし、共有しますけど何か』


 こいつ堂々と言い切りやがった。

 しかもアマテラスと共有するって事もさらっとバラしやがって。


 しかし、輝夜に言われて昨晩の事を思い出す。


「本当に良かったし、幸せだった」


 湯船に深く浸かり、目を瞑って回想する。


『それは良かったですね』

「ああ、ほんとそうだ」

『でもこれで全員に手を出せますね』

「え、やだよ」

『どうですかね』


 あれ、もしかして順番待ちとかしてないよな。

 まさか、だよな。


『みなさん死にかけましたからね。わかりませんよ』


 まさかこの為に静養で温泉とかじゃないよな。

 え、もしかしてハメられたのか、俺は。


『その可能性は大ですね。もしかしたらとても大きな力が働いているのかもしれません』

「輝夜。桜さんとか、アマテラスは来ないよな」

『さあ。何も聞いてません』



 その頃の俺は何も知らなかった。

 まさか彼女達が順番を賭けて激しい勝負を繰り広げていたことを。


「いい。勝負はメイガスらしくくじ引きよ」

「加賀先輩。全然メイガスらしくありませんけど!」


 私は咄嗟につっこんでしまった。あの加賀先輩に。


「なら八島さんは何がメイガスらしいと思うの」


 ほら、やばいから。絶対に怒ってるし。


「あの加賀先輩。私はやっぱり反対です。洸太の意思を無視するのはちょっと」


 た、助かった。ナイスです、金剛先輩!


「私もそう思うわ。コウタにはちゃんと求めてもらいたいもの」


 美緒さん。その気持ち分かる、分かるよ!


「なるほど、お子様達にはまだ早かったようだな」


 敷島教官! それは違うと思います。それに目が血走ってこわいです!


 やっぱ、アラサーになると焦るのかな。


「ん、八島。何か私に言いたいことでも」

「いえ! 全然ありませーん!」


 焦ったぁ、マジ鋭すぎ。


「ねぇ、今夜も私洸太と約束してるよ」

「ゆい、なんでそれを先に言わないのよ!」

「だって、話す暇なかったし」


 そうだよね。やっぱ赤城先輩と、だよね。


「はい! 私、今回は全部赤城先輩なのが一番だと思います!」

「八島ちゃん……」

「だってそうじゃないですか。速水くんが一番なのは赤城先輩で。その赤城先輩とやっと結ばれたんですよ。もっと幸せな時間があってもいいと思います!」


 絶対にそうだよ。だって、そんなの速水くんかわいそうだよ。


「八島、本当にそれでいいのか」

「はい。それが一番だと思います」


 敷島教官に睨まれたって、こわくないんだから。

 私は速水くんの為なら鬼とでも戦うんたがら!


「私は八島さんに賛成します!」


 朝日ちゃん……


「私も八島さんに賛成です」


 山城さんが賛成すると、みんなが次々に私に賛成してくれた。

 思わず涙が溢れる。


 結局、今回の旅行中は赤城先輩が速水くんと夜を過ごすことが決まった。

 でも、夜以外にお手付きされたらありだよね。


「八島さん、今なんて言ったの」


 金剛先輩が笑顔で訊いてきた。

 まさか、同じこと思ってた!


「夜以外ならありかなって」

「私もそう思うわ」


 私と金剛先輩は自然と笑顔で握手を交わした。


「あ、ここに内緒で同盟組んでる人達がいますっ!」


 その告発に皆の視線が私達に集中した。

 そして告発者は朝日ちゃんだった。


「夜以外はお手付きされたらありだって言ってました!」


 全部バラされた。終わった……


 皆がその言葉にザワつく。

 そして、そのお手付き作戦が皆で練られる。


 でも私は速水くんの好みは完全熟知している。

 コツコツと長年掛けてリサーチしてきた。

 そしてそれを実行して重ねてきたんだからっ。

 絶対にみんなには負けないからね!

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