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とても短いです。

 元々、メイガスになんてなりたくはなかった。

 ただ、大好きな人の背中を追い続けていただけ。

 だから、俺には国を守りたいとか。国民を守りたいとか。そんな崇高な信念なんてカケラも持ち合わせていない。


 正直、逃げだしたいし、死にたくない。

 だってまだ18だ。たったそれしか生きてない。

 もっとこれから楽しいこともあるのだと思うし、そういう未来を愛している家族たちと共に経験したかった。


 あああ。なんでこんな人生になってしまったのかな。

 こんなに儚くて短い人生に。


 信念なんてものはカケラもないけれど。

 それでも裏切れないものはある。

 大切な人達だけは絶対に守りたい。

 たとえ、この命が尽きようとも。


 生命を全て薪に変えて燃やす。

 その対価として全身に強い力が漲っていく。

 熱い。全身が熱くて熱くてたまらない。

 この一瞬一瞬に、自分の生命を激しく消費していくのが手に取るようにわかる。



「いくぞ、女王。避けれるものなら避けてみやがれ」


 咲耶と同じ煌めきを放ちながら、女王に向かって飛空する。

 そして女王の前で身体をおこし、白銀に輝く刀を大きく振り上げ、全ての力をこの一振りにのせる。


「雷光斬」


 静かに技の名をつぶやく。

 刀に無数の(いかづち)が収束されていく。その全てを呑み込み、刀を振り下ろして解放した。


 女王は不敵に笑ったまま、その技を避ける素振りもしない。

 そんな女王に向けて、まるで空間ごと裂くように剣先が走る。激しいいかづちを纏わせながら女王を斬りつけた。



「これでも駄目か」


 俺の刀は女王の肩口を僅かに斬りつけただけで止まった。

 全身から力が生命ともに抜けていく。


「いや、見事だ。この私に傷を負わせたのだから」

「避けない相手に言われてもな。……でも、ありがとう、最後に褒めてくれて」



 ああ、届かなかったけど満足だ。

 きっと、これでみんなを見逃してくれるだろう。

 だって、戦士の誇りはなくても全てを懸けたのだから。


 薄れゆく意識の中で大好きな人たちの顔が浮かぶ。そして感じた。


 全ての生命を使い果たしたことを


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