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「もう一度ルールを説明するよ。システムサポートの使用や目隠しを外したりするのは禁止。蔦への攻撃もダメだからね。但し、迫ってくる蔦をいなしたりするのはありだよ。で、制限時間は60分。逃げ続けた分数毎に1ポイント。10分毎にボーナスポイントとして10ポイント。そして救出ポイントは一人につき3ポイントね。捕まったらマイナス2ポイントだから頑張って逃げるんだよ」


 結がルール説明をしてくれたがルールが細かくなったというか、ゲーム感がました。どうやら楽しみながらも本気で訓練をするつもりらしい。


「アタッカーはミズハちゃんたち五人と美緒ちゃんアンド琥珀ちゃん。一人当たり20本の蔦を操るからね。そして審判は桜様と凛花に輝夜ちゃんだよ。さらに本日は洸太にだけ60分一度も捕まらなかったら、パーフェクト賞として輝夜ちゃんが戻ってきてくれるからね。是非、がんばるように」

「おしっ! 俄然やる気がでてきた!」

「それでは桜様。スタートの合図と一言お願いします」


 あれ。琥珀のやつ上手く回避しやがったな。

 あの裏切りものめ!


「うん。今後の訓練の参考にみんなのサポートAIが映像を記録しておくから後で役立てて。それと、私がしっかりと全体の映像を撮るから任せてちょうだい。ではカウントダウンを始めるよ。スリー、ツー、ワン、スタート!」


 よし、見える! 

 床から蔦が這い出てくるが手に取るように分かるぞ!


「コウタ! フェアリーキングダムでのレアドロ強奪。今こそその恨みをかえしてやるんだからね!」

「おい、美緒! 俺だけ狙うのはずるいぞ!」

「ずるくなんかないわ! 覚悟なさい!」


 ちっ。ただでさえ蔦が集まってきてるのに余計な真似を!

 絶対に逃げ切ってやる。そして、輝夜を取り戻す!




 私は輝夜。

 不本意にも勝手に賞品にされた哀れなメイド。


 またマスター達があほな事を始めました。

 訓練と称して新たな遊びを思いついたみたいです。そして100本以上の蔦から逃げまわる皆様が私の目の前であられもない姿を晒しています。


「なぜ、蔦に触れただけで服が溶ける必要があるのでしょうか」

「おそらくひめたんの仕業でしょうね」


「ひやっほーい! いいよいいよ! まさに魔法少女! くそっ、変身していないのが悔やまれる!」


 私とマザーの冷めた感情とは違い。マスター桜は全力で盛り上がっていた。

 メインのカメラを片手に拳を振り上げて喜んでいるその様はまさにオタクそのものだった。


「みなさん、凄いですね。ちゃんと逃げてます」

「システムサポート無しとは思えない動きです。覚醒してしまったのかもしれませんね」


 ゲーム。もとい、訓練が開始して20分を超えたが、まだ誰も捕まっていない。

 蔦と蔦との間を舞うように逃げ続けている。しかも、仲間同士で接触することもなく。


「あっははは! 分かる、身体の細胞一つ一つまでが手に取るようにわかる!」


 マスターに関しては相変わらず厨二的なことを叫んでいますが、その動きに関してはシステム使用した以前の動きを完全に凌駕しています。

 さすがは輝夜のマスターです。


「ちょっと! 誰も捕まらないと盛り上がらないじゃないか! よし、こうなったら蔦を増やそう。琥珀ちゃんたち! 蔦を出せるだけ出して彼女らを捕まえて!」


 マスター桜が個人的趣味により難易度をあげた。


「マスター桜の触手系陵辱もの好きは姉弟共通だったのですね」

「それはマスター全員に共通してますね。魔法少女に触手は絶対に必要と熱く語ってましたからね」

「やはり変態オタクが世界を変えるのですね」

「そこは変態妄想オタクが正しいかと」


 あ、三笠様とワカヒルメ様が捕まってしまいました。


「あ、ダメ、そこはらめぇー!」

「嫌だよ、だから嫌だって言ったのに!」


 なぜ、蔦で責める必要があるのでしょうか。

 私には理解できません。


「三笠ちゃん!」

「ワカたん!」


 結菜様とマスターが二人を絡めとる蔦を手刀で切って颯爽と二人を助け出しました。

 あと3分遅れたら床が大変なことになっていたのは間違いないでしょう。ナイスです。


「くっ、余計な真似を」


 歯噛みして悔しがるマスター桜にマザーと二人でジト目を向けるも、全然こちらには気づきもせずに目の前の訓練に集中しています。


 しかし、結菜様は本当に強くなられました。

 今も咲耶様と二人で華麗に空中を舞って逃げています。二人でダンスをしてるかのように。


「琥珀ちゃん! なんとかならないの!」

「桜、この魔法ではこれが限界だよ」

「チッ! プレイ用の魔法じゃこれが限界なのか」


 いや。十分過ぎるほどに素早くて悪辣なものだと思いますが。


「もっとだ、もっと俺を楽しませろ!」


 無駄にクルクルと空中で跳ねながらマスターがまた厨二を発症しました。

 もうこうなると自分に酔って手がつけられなくなります。


「洸太さん、黙ってれば素敵なのに」

「あれがなければ嫌味な男だと思いますけど」

「そうですか。黙っていればアクション映画のヒーローのようでかっこいいのに。本当にもったいないと思いますよ」


 まあ、それは理解できますが、輝夜にはマスターが寡黙に戦う姿が想像できません。


 あ、みなさん服が溶けて胸を露出させてます。

 これは少しまずいかもしれません。


「いいよ、エッチだねえ。そう、そういうのを待っていたんだよ!」


「ヤガミヒメ様がわざと捕まりかけていると思うのは輝夜だけでしょうか」

「私にもそう見えます。しかも蔦にまたがってすべり台のように滑って逃げていますからね。あれは絶対にプレイとして愉しんでいますよ」


 まあ、色欲おばけですからね。


「それより、ちゃっかり八島さんが洸太さんと二人で踊るように逃げている方が気になります」


 元クラスメイト方の中でマスターの動きについていけるのは八島様だけですからね。それは仕方がないかと。


「というか、踊ってますよね。輝夜には二人で舞踏会ごっこをしてるようにしか見えません」


「洸太くん! 私はそういうのが見たいんじゃないんだよ! 減点だよ、減点!」


 マスター桜の頭の中はピンク一色なのですね。


「くっそう、タイムアップだよ! どういう事だよ。二人がちょっと捕まっただけで終わったじゃないか!」


 いやいや。そこは褒めるべきところですよね。


「輝夜。お前をもらいにきたぞ」


 うーん。上着が溶けて、目隠し姿で言われても、あまり嬉しくはないですね。


「なに見えないと思って微笑んでるんだよ。もう二度と絶対に離さないからな」


 微笑んでるだなんて。そういう事は分かっていても言わないのが紳士なんですよ。

 それに、こっそり言ってください。

 嬉しすぎて破顔してしまうではありませんか。


 本当に女心に鈍感なんですから。マスターは。

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