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この仕打ちは少し理不尽だと思う。
俺は今、全力土下座中だ。
「コウタ。私が寝ている間に、私を差し置いてミズハと契りを結ぶとはどういうことなの。ねえ、私の方が先に伴侶になったと思うんだけど」
琥珀様のそれはそれは恐ろしい圧に屈し、冷や汗がたらたらと床に落ちている。
「すみません! 本当にごめんなさい!」
「 ……コウタは私のことが嫌いなの」
「いえ、大好きです。愛しています!」
それは本当だ。本当なのだが今はそれ以上に、俺の心は彼女への恐怖で支配されている。
「その言葉に嘘はないようね。なら、私の足を舐めなさい。誠意を持って私に愛を誓いなさい」
なぜに! 足を舐めることが誠意だと……
しかし疑問を感じても抗うことは出来ない。
俺はベッドに腰掛けている彼女の足を手に取ると足の指を舐めた。
「あっ……」
なるほど。ここが弱点ですか。
なら遠慮なくいかせてもらいます。
「待って、あっ、だめ……」
少しづつ上に上がると彼女の太ももの間から白い布が姿を現した。
彼女の細くてしなやかな太ももの内側を攻めると、次第に脚が開いていく。
ついには布越しに舌を這わせた。
「それ以上はダメ。許して…… 」
「ふっ、それは無理。今度は琥珀が俺に屈する番だ」
今まで培ってきた技を全力全開で披露すると、彼女は堕ちた。
だがこれで止まると思うなよ。
着衣のまま、やや乱暴に攻めて一つになると彼女は気を失った。
……ここでやめた方がいいのか。
『これより宇宙艦ハヤミ発艦します。総員、』
発艦だと。ついに空に上がるのか。
期待に胸を膨らませるが下半身は止まらない。
「琥珀、起きて。鑑が飛び立つよ」
一つになったまま彼女の体を起こすと、彼女をそのまま抱き抱えた。
より深く一つになってしまい余計に止まらない。
そして彼女は目を覚まし、俺にくちづけをした。
宇宙艦が飛び立つ瞬間の感動よりも、快楽を優先してしまう自分にあきれるも、止められなかった。
そのまま琥珀は初めてだというのに、半日以上も情事に耽ってしまった。
我ながら本当に情けなく思った。
そんな出来事の後。仮眠をとってからミズハ達と訓練場に向かった。
相変わらず彼女達は訓練になると容赦がない。
厳しい指摘と共に痛みが突き抜けていく。
「反応が遅い! 無意識でも体が勝手に動くようになってからが本番です!」
容赦なく拳と蹴りが俺の全身を打つ。
攻撃は見えていても躱せない。ジレンマだけが募る。
「目を当てにするな!」
「全身を研ぎ澄ませなさい!」
そうだ、感じろ!
ガンマとベータが前後から、よし。
「分かるかあ!」
見事に後方のガンマから延髄蹴りを。そして蹴りでベータに脚を払われて転倒すると、そのまま後頭部を強く打った。
「受け身くらいちゃんと取ってください」
デルタはそう言って、俺の額を拳で強打した。
「訓練を始めた頃よりは反応が良くはなっていますが、まだまだですね。目に頼りすぎです」
「王は目が良いぶん自然と頼ってしまう。いっそ目を隠して訓練してみますか」
「はあぁーあ。何おかしなこと言ってんだよ。目隠しして戦える訳ないだろ」
「戦えますけど」
ミズハはそう言うと布で目を隠し、アルファも目を隠すと、二人は手合わせを始めた。
そして普段通りに攻防を繰り広げる二人に見入ってしまう。
「五感を研ぎ澄ませば目を閉じていても分かります。魔力の流れだったり、人が自然に放つ気を感じとるのです。さすれば、あの様に動けます」
「ちなみにどうやって身につけたの」
「簡単ですよ。目を隠して生活するだけです」
「そうなんだ。簡単なんだな。で、何日くらい目隠ししてたの」
「うーん。たしかミズハ様は五日くらいでしたね。私は十日程です。普通はひと月程ですので早い方でしたね」
そう聞いて、試してみるのもいいかもしれないと、俺は目隠し生活を送ることにした。
◇
マスターがあほなことを始めた。
昔からすぐに感化されやすい性格ではあったのですが。まさか目隠しをして生活を始めるとは思ってもみませんでした。
あ、私は輝夜。
現在休業中のマスターのメイド兼サポートです。
「ねえ、輝夜ちゃん。コウタのクラスメイトって、昔からああなの」
マスターと同じように目隠し生活を送る、元クラスメイトの妻の方々を見て、美緒様が私に訊いてきた。
「はい。ああやって皆様、マスターと一緒に成長してきました」
「おばかなんだね」
「そこは否定しませんが、皆様あれでも真剣なんですよ」
しかし、二日でまだ辿々しいとはいえ普通に生活してますからね。大したものだとは思います。
「でもさぁ。何も集団生活というか、全員でコウタの部屋で生活しなくてもいいよね」
「ミズハ曰く。集団で過ごした方が覚えが早いそうです」
「そっか。楽しむことは大事って言うしね。でもまさかお姉さん組まで始めるなんてね。やっぱりユイナは頭がイカれてるわ」
それは否定できません。舞様も麗子様も、そして律子様まで職務放棄してまでする事ですか。と、小一時間ほど問い詰めたい気分です。
「ねえ、目隠しプレイって興奮するらしいよ」
「興味ありませんね」
「そっか。輝夜ちゃんはとっくにそのレベルは超えてるもんね」
「超えてませんよ!」
美緒様の天然さには困ります。
輝夜はいたってノーマルですからね。
あんな変態方と一緒にしないでください。
はぁー。ほんと目を離すとこれですからね。本気であきれ果てます。
しかし輝夜も職場復帰し損ねてタイミングが掴めなくなりました。
ほんと、自分自身にもあきれます。
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