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16.5 断章

「つまらぬ。この程度の奴等に遅れをとるとは。所詮は下級層。ゴミはゴミのままということか」


 この星で唯一、まともに下級兵士相手に抗っている者がいると楽しみにしていたが、どうやら期待はずれだったようだ。


「陛下。この島国の最大戦力は中央に存在しております。お楽しみはこれからかと」


 我が配下の精鋭の一人。鳥頭の亜人が、私の気が変わるのを恐れて期待を持たせるようにそう発言した。


 しかし、ティアマトに対する嫌がらせの意味もあるが。そもそも増えすぎてしまった、大して役に立たぬ者達の廃棄が今回の目的だ。

 そういった観点でみれば既に目的は果たした。つまらぬと言って帰還しても構わないし、侵攻を止めても何ら問題もない状況だ。


「これならギルガメッシュの小僧の方が楽しめた。奴等のように全身全霊を懸けて命を燃やし、儚くも美しく、その魂を輝かせてはいないではないか。手応えがどうのというより、これでは目の前でうるさく飛びまわる羽虫を手で払っているだけに過ぎん」


 必死さを感じない。自らの手で未来を掴む、その気概が感じられない。


「やはり魔法を奪ったのは間違いでしたかな」

「いや。奴等から魔法を奪わねば勝手に争って自滅する。あれは正しかったのだ」


 先代。それは私の母が決めたことだった。

 容赦なく攻め寄せる私たちを前にして、ギルガメッシュの小僧が神々との決別を謳い、我らに激しく抵抗した。

 その意気を良しとして母は彼等から魔法を奪うことと。今回の侵攻をティアマトが行い、我らが味方をしてそれらを討ち倒したと伝承に残すことを条件に、この星への侵攻を止めた。

 それはまだ私が幼かった頃の話だが、あの時の奴等の命の輝きは今でもよく覚えている。


「母様の決断だ。それに異を唱えるのは我が許さぬぞ」


 二人は口論をやめて頭を下げた。

 それを見て思う。つまらぬ者たちだと。


「奴等に魔法の行使を可能とさせた、あのシステムの解明はできたか」

「申し訳ありません。分解や解析しようとすると、装置が壊れるよう仕掛けられており解析は不可能でした」

「そうか。なら調査に出していたヤグモ達はどうだ」

「それに関しても失敗しました。侵入を試みた瞬間に全て排除されてしまいました」


 あの小さな蜘蛛を全て排除したというのか。

 思ってた以上に知恵のまわる奴等なのかもしれんな。


「まあいい。全てがうまくいってもつまらぬしな。まあ、両端から少しずつ追い込んで奴等の恐怖を煽ってやろうではないか。じっくりと時をかけてな」


 本音ではさっさと終わらせて夫の待つニビルの地に帰えりたいところだが、これも致し方あるまい。


「さて、この島国は離れて違う地を滅ぼしにいくとするか。拠点もつくる必要もあるしな」


 こうして私は配下の精鋭を率いて動きだした。


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