7
夕方まで休憩を挟みながら、イチャついて海で泳いだりしながら二人で遊んだ。
間違ったふりをして彼女の白い水着の中に手を入れたりして、その度に胸を両手で隠す彼女からジト目を向けられるというご褒美をもらいなから楽しく遊んだ。
夜は久しぶりのバーベキューだ。
クーラーボックスを開けると、そこはお肉と野菜の宝箱だった。
「いろんな種類がありますね」
「パパさん。バーベキューの為だけにお肉の改良したんだって。それと野菜も」
ステーキ大に切り分けられたお肉は、それぞれ種類ごとにビニール袋に入っていて、そのお肉の名前と味の特徴が簡潔に書かれていた。
「情熱を感じますね」
「うん。最近は酪農殿下と呼ばれて親しまれているらしいよ」
「納得ですね」
お肉と野菜を網に乗せて焼く。
料理も凛花の方が上手い。けれど、こればっかりは焼き奉行の誇りに掛けて譲れない。
お肉を食べやすいようにハサミで切って皿の上にのせる。それを凛花に手渡した。
「どうぞ、召し上がれ」
「はい。では遠慮なくお先しますね。ん、んほいひい!」
ちゃんと飲み込んでから話しなさい。お行儀が悪いですよ。まあ、俺の焼いたお肉だから、そうなるのもしょうがないけどね。
「洸太さんもどうぞ。はい、あーんしてください」
凛花にお肉を食べさせてもらう。
そのお肉の柔らかさと歯応え。そしてお肉の旨みと香りに目が光る。
「やふぁい、おいひい!」
あああ、穏やかな風が吹く草原の中で夕陽を見上げている。そんな景色が思い浮かぶ。
「そうですよね。本当に美味しいです」
「これ、日本に輸入出来ないかな」
「ビックビジネスの予感がしますね」
その優秀な頭脳で算段しているのだろうか。
お肉を見つめる彼女の目が輝いている。
「どうせ、お高いんですよね」
「いいえ。今なら…… 何をやらせるんですか!」
頬を赤く染めてつっこんできた。
かわいい、本当にかわいい。
普段とのギャップが堪らない。
「あ、ビール飲みますか」
「うん。いただくよ」
凛花が栓を開けて先にビールを渡してくれた。
凛花の飲むビールの栓を開けるのを待って、二人で乾杯してからビールを飲んだ。
「あれ。これも美味しい。苦くなくてとても飲みやすい」
「本当ですね。これはどんどん飲めちゃいますね」
「会長。この商品は」
「ヒット間違いなし。我が社に多大なる利益をもたらすでしょう」
「でも、お高いんですよね」
「ええ。ですが今なら、って、何度させるつもりなのですか!」
かわいく両手を曲げて抗議する姿につい見惚れてしまう。
「ほんと、かわいいなぁ」
「な、なに言ってるんですか。私は怒っているのですよ!」
どんどん彼女の顔が赤色に染まっていく。
ついには耳まで赤に染まった。
そんな彼女がとても愛おしくなる。
食事をすませて、シートの上で星空を眺める。
美しい星々の煌めきに言葉を失う。
いまこの瞬間に君といられたことに、ただ僕は君に感謝を捧げる。
きっと僕は命が尽きる最後の一瞬まで、君に永遠に焦がれ、そして愛しつづける。
多くのものを彼女からもらった。
返しきれない、たくさんのものを。
だから……
ありがとうを君に
「君を残して僕だけが老いていくことだけが心苦しい。君の傍を離れてしまうことだけが、つらくて悲しい。死ぬことなんて怖くはないのに」
僕は彼女の肩にそっともたれ掛かる。
そう想像しただけで、視界が少しだけくもる。
彼女の頬が僕の頭に優しく触れる。
僕たちは言葉も交わさずに、ただ美しく煌めく星空を遠く眺めていた。
静かな時が流れ、彼女のくちびるが動く。
「もし、私が望んだら、あなたは私と同じ時を生きてくれますか」
星空を遠く見つめながら、彼女が静かに訊ねた。
「君が望むなら僕は、迷うことなくその道を選ぶ。たとえ人の理に反しても」
「多くの大切な人との別れが待っているとしても。あなたは本当にその道を選ぶのですか」
「長く他の人より生きることは君が話すように多くの別れを経験して辛くなることも、悲しみに暮れることも多くなるとは思う。けれど、僕は君を一人にだけはしたくない」
「そのあなたの優しさだけで、私は充分です。あなたが私を見つけてくれた。それだけで私の心が満たされ。この命が尽きるまで幸せでいられます。ありがとう、洸太。私は、あなたに永遠の愛を捧げます。身も、心も、全て」
彼女の頬に涙が伝うのが分かる。
彼女の肩からそっと離れて、僕は彼女を強く抱きしめた。
「嫌だ。絶対に君から離れないし、絶対に一人にだけはしないから!」
彼女の細いしなやかな腕が、僕の体を抱きしめる。
いつしかシートの上で絡みあう。
互いの心を重ねるように優しく、心を届けあう。
ひとつになりながら、想いを重ねあった。
もしよろしければ感想や評価、ブックマークなどもお願いします。
★★★★★ も出来たら付けてくれると嬉しいです。
是非、私のモチベアップにご協力ください。




