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 八島を連れて桜さんの護衛任務につく。

 護衛対象を目的地まで安全に移動する為に、陸上用モービルの。

 の前で結が両手を腰に当てて待っていた。


「速水三佐。桜様の護衛の際は、私も同行すると以前から言っていたよな」


 あ、ガチで切れてる。


「ゆい姉ごめん」

「ぶっわかもん! 昔みたいに呼んだところで許されるか!」


 俺の左腕をとり、モービルに近づけるとロックが解除された。

 そして結は後部ドアを開けた。


「桜様、どうぞ」

「うん。ユイちゃんありがと」


 デレデレなんですけど。


「八島ちゃんは前に乗って。私は桜様の隣りに座るから」

「はい。ありがとうございます」


 さりげなく利害が一致したらしい。


「赤城少将。たしか編成会議がありませんでした」

「れーこに任せた。三佐は黙って運転しないと、一ヶ月はしてあげないからな」

「はっ! 大変失礼いたしました!」


 あぶない。一ヶ月も結とできないなんて確実に死ぬ。絶対に死ぬ。


 気を引き締めて凛花のいる皇居へ向かった。



 久々の皇居は、……別に普通だった。

 凛花の職場へ寄り道もせずにまっすぐ向かう。

 彼女の働く建物の駐車車にモービルを止めて、桜さんの後について建物の中に入る。


「ここで働く人は全部アンドロイドなんだよね。おしゃべりしてたり、普通に人間の職場と変わらないよね」

「お、八島ちゃんは本当に良いところに気づくね。ここの子達は敢えてそうプログラムしてるんだ。でね。スケベ野郎がナンパして、期待させといてネタバラしするの。超楽しいよ」


 いや、普通に迷惑だろ。

 だからこんなにいろんなタイプの美人を揃えたんだな。ほんと、イタズラ好きだよな。


「マスター桜とみなさん、ようこそ」


 凛花のオフィスに入ると彼女が歓迎してくれた。

 案内されるまま面会用のソファに座る。


「どう。問題ないでしょ」

「ええ。これなら明日にでも退職できます」

「え、ちょっと待って! 何、退職って」

「洸太、落ち着きなさい。ほら、ソファに座って」


 結に上着を掴まれて席に座った。

 でも、結も八島も驚かないのはなぜだ。


「洸太くん。凛花はもう一世紀以上働いてきたんだよ。そろそろ次にバトンタッチしてもいいと思わないかい」

「そう思います。ただ突然聞いたから驚いただけで、何かトラブルとかあったのかなって」


 普通はそう思うよね。

 心配すると思うんだけど。


「洸太さん。心配してくれてありがとうございます。あなたにお伝えするのは今になってしまいましたが前々からマスター桜や陛下。たくさんの方々と話し合って決めていた事なのです。私は今はアンドロイドではありません。それに洸太さんの妻ですからね。遅かれ早かれ引退するのは確実な未来です。これからは日本の為ではなく。私は洸太さんと、その家族の為に生きたいのです。私のわがままになりますが、お許しください」


「わがままなんかじゃないよ。そんなの当たり前の権利だよ。だから、これからもずっと、よろしくお願いします」


 凛花に頭を下げてお願いした。

 ずっと俺の傍にいて欲しいから。

 心を込めて彼女にお願いした。


「はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」


「はいはーい。二人のお惚気はそこまでー! さて、本題に入ろうか。で、妹ちゃんは?」

「今、マスター桃園と遊んでいます」

「そっか。じゃあ、移動しようか」


 ソファを立って、廊下にでて、その隣の部屋に入るとそこには、幼女のきつねっ子が桃さんと遊んでいた。


「きゃあーかわいい!」

「うちの娘に!」


 結と八島はきつねっ子に駆け寄っていった。


「あの、桜さん。この子が凛花の後任なんですか」

「そうだよ。こんな愛くるしい姿でも凛花と同じスペックだからね。見かけに騙されちゃダメだよ」


 きつねっ子がテクテクと歩いてくると、桜さんの脚にしがみついた。


「ママ、会いたかったよ」

「ママーー!?」


 初めて会った三人は声を揃えて驚いて叫んだ。


「こら、まわりの人を揶揄わないの。メッだよ」

「ごめんなさい。マスター桜」


 どうやら桜さんによく似た性格のようだ。


「桃ちゃん。スタイルチェンジはどう」

「問題なしだよ。ほら、瀬織津姫。変身して」

「はい。マスター桃園」


 きつねっ子はポンと宙返りをすると煙が出て、アマテラスに少し似た感じの大人の女性になった。


「おおお」


「初めまして。凛花お姉様の後任を任された瀬織津姫と申します。今後ともよしなに」

「あ、ご丁寧に。速水洸太です。今後ともよろしくお願いします」


 なんとか無事に挨拶を交わした。


「桜さん。色々とつっこみ所満載なんですけど」

「やだなあ。何事も浪漫だよ。ろ、ま、ん」


 ハラ立つ。かわいいからって今まで本当に甘やかされてきたんだろうな。


「洸太くん。人にだって無駄なものや、意味もないものなんてたくさんあるんだよ。それこそ、男の人乳首だってそうでしょ。でも着いてないと気持ち悪いと思わない。それと同じなんだよ。セオちゃんもね」


 桃さん。俺にはあなたが言ってること1ミリも理解できません。頭が悪くてすみませんでした。


「なんで洸太、頭下げてるの」

「いや、桃さんの話が理解できないから謝ってた」

「もう。ほんと、洸太はかわいいね。今日は一緒にお風呂入ろうか」

「うん、入る!」


「ねぇ、桜ちゃん。洸太くんて相変わらずユイナ馬鹿なんだね」

「一生治らないと思うよ」

「はぁ、潤くんも洸太くんみたいなら良いのに」

「あれはツン陰デレだからね。後で一人の時にデレて妄想に耽るからタチ悪いよね」


 なにを話してんだ。まったく、当初の目的は完了したんですか。


「で、その潤はまだあっちにいるの」

「うん。老後の快適な暮らしの為だって」

「こっち以上の作れるから楽しいんだろうね」

「そうみたい」


 絶対に当初の目的忘れてるだろ。

 ほんとマイペースな人だ。


「凛花お姉様。輝夜お姉様は?」

「たぶん五日酔いでダウンしてます。よっぽど辛かったんだと思います」

「ああ、それで連絡しても出てくれなかったのですね。安心しました」


 結と八島の視線が痛い。

 心なしか俺の胸も痛い。


「それでは明日の発表、頼みましたよ」

「はい。お任せください」


 明日なんだ。

 なら、明日は退職祝いを盛大にしないとな。

 日本をここまで導いてくれて本当にありがとう。


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