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 ママさん達と桜さんがバトルメイガスシステムの事で会談するという。その会談に無理やり連れてこられて席に座らされているのだが、とても居心地が悪い。


 遅れて応接の間に入ってきたのは凛花と桜さん。そして桜さんによく似た男性とスラっとした女性の四名だった。


「この度は娘のわがままでお呼びだてして申し訳ありません」

「いえ。こちらこそ皇帝陛下をお待たせした事を切にお詫びいたします」


 桜さんの常識人的な振る舞いに目を見開いて驚くと、隣の男性に睨まれた。


 まずはそれぞれに自己紹介がてらの挨拶が交わされた。

 こちらはママさんとパパさん。そして咲耶に俺だ。輝夜はブレスレットの中で経緯を見守っている。

 そして桜さん達は。桜さんの双子の弟の東雲潤さんと、その彼女の桃園愛華さんの三名。

 そして咲耶がバトルメイガスシステムを使って魔法少女になりたいと力説した。

 それを桜さん達はただ和かに黙って聞いていた。


「この星にも私達の想いを共感できる人がいたとは驚きだね。潤と桃ちゃんはどう」

「僕は姉さんが良いなら何も言わない」

「そうね。私も特に反対する理由はないかな」

「なら!」


 桜さんはその咲耶の言葉を手で制した。


「待って。そう焦らないで。あくまでもこれは交渉事でしょ。私達の条件を全て呑んでくれるのならば供与するわ」

「桜殿。聞かせてはいただけませんか」


 皇帝陛下たるママさんが訊ねた。


「条件は五つ。一つ目は、私をそこにいるアマテラスと同じ身体にして欲しい。」

「待って、桜ちゃん! 私達も、だからね!」


 桃園さんの訂正を受けて、桜さんは一度、コホンとわざとらしく咳をした。


「一つ目は、私達三人をアマテラスと同じようにして欲しい。二つ目は、この惑星の知識や技術を私達が求めたならば包み隠さずに開示して欲しい。もちろん、開示されたものは他言しないわ。三つ目、バトルメイガスシステムを使って侵略行為を行わないこと。あくまでも防衛手段のみに限定して欲しいの。四つ目、このバトルメイガスシステムの情報は一切秘匿させてもらうわ。もちろん、分析出来ないようにロックも掛けるし、分解する様な真似をすれば壊れる仕様になっているわ。これは洸太くん達が使っているのも同じね。そして最後。私達三人にもこの星の居住権。いえ、市民権なのかどうかは分からないけれど、終身この星で暮らせる権利が欲しい。この五つの条件を全て呑んで貰えるのならば喜んで供与もサポートもするわ」


 桜さんは話し終えると二枚の書面をデーブルの上に置いた。


「桜殿にはあと三名のお仲間がおられたのではありませんか。その方達の永住権は必要ないのでしょうか」


 桜さん達三人が困ったように顔を見合わせる。


「要ると思わないけどなぁ」

「うん、僕もそう思う」

「どうする一回戻って訊いてみる」


 三人とも腕を組んで悩みだした。


「桜殿。他の方は必要になったら与えますから、そんなにお悩みにならないでください」

「あ、そう。うん、ならそうして」

「はい。それで本当にこれだけで宜しいのですか」

「あ、なら研究室兼開発室が欲しいかも。そうすればすぐにメンテナンスできるし!」


 さすがは桜さん。すっかり元に戻った。


「さ、左様ですか。ではそれら全ての条件を受け入れます。また、桜殿の住居や生活費などの金銭面に関してもこちらで用意します。その他にも必要なことがあれば遠慮なく言ってください」

「え、そんなに高待遇で良いの。なんか悪い気がしてきたんだけど」

「姉さん。その分利益を渡せば良いんだよ」

「そうよ、桜ちゃん。貰えるものは貰っておかないと損だし失礼なんだよ」


 うん。なんか桜さんが普通の人に見えてきた。

 やっぱり天才は感性が違う。


「では、マスター桜。そして皇帝陛下。これにサインをお願いします」


 桜さんがテーブルの上に置いた紙を、それぞれに手渡し、サインを終えるとまた交換してサインをしていた。


 凛花が居ないと話が先に進まないよな。

 ほんとよく桜さん達から凛花みたいな優秀で良い子が生み出されたものだと不思議になるよ。


「あの、それで。私はいつくらいに魔法少女になれますか」


 その咲耶のモジモジとしたかわいい姿に、俺は鼻血を吹いた。


「洸太ちゃん、なに致命傷受けてんのよ!」


 凛花が甲斐甲斐しく鼻血を拭いて、桜さんがテーブルなどを綺麗に拭いてくれた。

 そして桃園さんがティシュを丸めて鼻に入れてくれた。


 桜さんはテーブルを拭きながら咲耶の質問に答える。


「まずはあなたの様々なデータを取る。そしてブレスレットを作成する。そんな感じで二日もあれば可能ね。本当は一日でも渡せるけど、二日くらい我慢して楽しみに待ってた方がより嬉しいでしょ」


 ニヒヒ、と桜さんは愉快そうに笑っていた。


「姉さん。そこはせめて一週間って言っておこうよ。そんなに簡単に渡したら駄目でしょ」

「そうよ、桜ちゃん。一日でも早く欲しいならケーキを山ほど持ってきて、とか言えなくなるでしょう」


 うん。やっぱりこの人達は変だ。

 俺とは違う人種だ。



 会談が無事に終わり、凛花がこの場にゲートを出すと、桜さんは咲耶とひめワカたんコンビ。それに何故かママさん、パパさん達も連れてデータを取りに地球に行った。

 まあ、ママさん達は自分達も欲しいってついて行ったんだけど。あの歳になっても魔法少女や魔法少年になりたいものなのかなあ。


『マスター。夢と浪漫に年齢は関係ありませんよ』


 輝夜が言うならそうなのかもね。

 でもママさん達に魔法少年少女は……


 あまり見たくはないよね。こっちが恥ずかしくなりそうだしさ。

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