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 浜辺に天幕のみ張られた下で負傷者が並べられている。もちろん、私もその一人だ。

 そんな中でミニスカナース姿のミズハ達が忙しく動き回っている。

 凛花や輝夜の回復魔法で傷は癒えても、疲労した体力は戻らない。そんな負傷者に対して献身的に働くミズハ達をみて好感度があがった。


「気づきましたか。マスター」

「うん。で、ミズハ達になんて格好させてんのよ。あなたの趣味にはほんと驚かされるわ」

「あれはマザーの仕業なのですが。ひどいです、マスター。輝夜を真っ先に疑うなんてひどすぎます。およよよ」


 輝夜の大袈裟な演技はますます拍車が掛かったわね。まあ、上手いことは確かなんだけど。だからこそ余計に腹が立つわ。


「早く変身を解かないと精神まで女の子になってしまいますよ」


 その言葉に目が点になる。


「戦闘中も今も、話し方が女の子になっているのを気づかなかったのですか。マスターはやっぱり、あんぽんたんですね」


 慌ててネックレスの宝石を手で握り変身を解く。

 ふわっと体が少し浮いて元の姿に戻った。


「な、なんて危ない機能をつけてんだよ! ほんとに女の子になったらどうしてくれるんだよ。ばかなのか、輝夜は!」

「それの基本設計はマスター桜です。輝夜に文句を言われても困ります。それに輝夜とマザーではその基本設計を変更できる権限がありません。さらに言えば。武装武器の威力増大の為にはやむを得ないことなのですよ。あきらめてください」


 桜さん、なんてあぶない真似を!

 帰ったら絶対に文句を言ってやるから覚えてろよ。


「ところでゆい姉はどうした」

「結菜様なら絵里様と晃様を鍛えています。どうやらあの二人がマスターにあっさり落とされたのが気に入らなかったようです」

「それはご愁傷様だな」

「はい。泣きながら頑張ってましたよ」


 そうか。あの地獄のような幼い頃の試練を二人は。

 うん。しょうがない。あんなに簡単に負かされたんだから、しょうがない。


「コウタ。あなた達いつもこんな過激な訓練してるの」

「そうだよ、セオたん。別に普通でしょ」


 俺の腹の上に跨るように立って見下ろす咲耶にそう答えた。

 どうでもいいが、ピンクのおパンツがまる見えだ。俺的にはシルクの水色が良いんだけど、こればっかりは仕方がない。


「普通じゃないわよ! もし死んだらどうするのよ!」

「いや、システム的に殺傷的レベルの魔法は発動時に自動で威力を落とされるから大丈夫。それにサポートAIが後遺症にならない程度にはダメージを抑えるように守ってくれるから安心なんだよ」


 サポートAIは、ほんと賢いんだよ。

 何から何まで世話になりっぱなしだよな。


「輝夜ちゃん、ほんと」

「はい。訓練時はそうです」

「そうなの。本当に凛花の技術には驚かされるわ」

「いえ。あれはマザーではなく、マスター桜が設計しています。マザーと輝夜にはあのような物は作れません。というか、発想できません」


 やっぱ桜さんて天才なんだな。

 あんな奇天烈な人なのに。


「ちなみにバトルメイガスシステムは私達でも扱えるの」

「設定を少し変更すれば可能ですね。ただ、お勧めはしません。核となるサポートAIが所有者を把握する為には時間が掛かりますし、何より装着するのが年齢的に遅すぎてエラーが出る可能性が大きいです。割と幼少期の思考や行動はその後の人生で大きく反映されますから、サポートする上においてとても大事な要素なのです」


 でも初等部までだよね。法律的には。

 輝夜の話通りなら、もっと早くても良くないか。


「煩いんですよ、色々と。子供にそんなものをつけるなーとか。それに両親や周りの家族のサポートAIから情報を集めれば問題ないくらいにはデータが収集できます」

「私も魔法少女になりたいの。どうにかならないかしら」


 咲耶さん。目が真剣すぎてこわいです。

 あれのどこがあなたの琴線に触れたの。


「輝夜ではお答えできません」

「聞いたの。ミズハ達にあれを与えるって」

「それはマザーの判断です。輝夜に言われても困ります。それに彼女達はセオリツヒメ様と違って割と単純ですから可能だと判断しただけだと思います」


 その答えに咲耶は目に涙を浮かべた。


「私もあんな風にかわいくなりたいの。今までがんばって大人ぶってきたんだから、それくらい許してくれても良いじゃない!」


 咲耶は俺の腹の上に崩れ落ちて泣き出した。

 あまりにも不憫に思えて輝夜の顔を見ると、あきらめたように息をついて、凛花の方に歩いていった。

 俺は泣いてる咲耶を上半身を起こして軽く抱きしめた。


 今まで無理してきたんだから、しょうがないよ。

 女の子なんだから、かわいいのが好きでもしょうがないよね。



 ◇


 はぁ、困りましたね。

 だから、ミズハ達に与えては駄目だって言ったのに、


「凛花様。セオリツヒメ様が魔法少女になりたいそうです。泣き出してしまうくらいに」

「分かりました。私からマスター桜に話してみましょう」

「ずいぶんと簡単に受けられるのですね」

「ええ。こうなる事を望んでいましたから。まずはこちらにマスター桜を連れて来なければいけませんね」


 やっぱり何か企んでいましたか。

 マザーの腹黒さには輝夜でも脱帽です。


「なんです。私に対して何かありますか」

「いえ、何も」

「では私はマスター桜を連れて参りますので、あなたはママさん含めた方達とマスター桜との会談の準備をお願いします」

「マスターが出席したいと言っても断りますか」

「いえ。洸太さんには出席をお願いしてください」

「 ……はい。かしこまりました」


 マザーは小型ゲートで地球に戻っていった。

 どこか愉快そうな感じがしましたが、触らぬ神に祟りなし。という事で忘れることにします。


 一度、息を吐いて。会談のセッティングの為に動きだします。あまり気は進まないけれど。


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