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 無人島での貴重な体験をした朝。

 二人で帰り支度を始め、何度か桟橋を往復して荷物をボートに積み込んだ。


「マスター、事故らないでくださいね」

「任せとけって」


 運転に関しては限りなく信頼がゼロなのは何故だろうか。

 まあ、何度か乗れば輝夜も慣れてくれるだろう。


「あ、そうそう。この海域、デカいイカが出るらしい。噂なんだけどさ」

「そうやってフラグ立てるのはやめてください。マスターの運の悪さは天元突破してるんですよ」

「あほう。んな訳あるか」


 パパさんも笑って話してたし、きっとあれはジョークだったと思う。

 先にボートに乗って輝夜に手を差しだして、彼女をボートに乗せた。

 操縦席に座り、輝夜を膝の上に乗せてボートを起動する。

 ゆっくり旋回して入江を出た。


「ゆっくり走れるならそうしてくださいよ」

「出来るか。それに俺の二つ名は疾空だぞ。速さこそ命だ」

「そうでしたっけ。忘れました」


 頭が良い輝夜が忘れるわけないだろ。

 よし、なら思い出させてやろう。


「全力で行こう」


 スロットルレバーを最大に倒す。

 常のように船首が跳ねる。但し、今回は波の影響で大きく跳ねた。


「このじゃじゃ馬め。俺の手綱に従え!」

「ひゃっ! 舌を噛みそうですから速度を落としてください!」

「世界で二番目の最強が情けない声をだすんじゃねえよ!」


 ナビが帰りの航路を示してくる。

 そんなナビに赤いマークが点滅した。

 そのマークはボート右側からもの凄いスピードでこちらに迫ってくる。


「ん、なんだこれ。なあ輝夜、この赤いマークなんだと思う」


 目を瞑っている輝夜に疑問をぶつける。


「馬鹿ですか! 古来より赤の印は敵を示すんですよ!」


 ほう。それはそうかもしれないな。

 赤信号だろ。いわゆる。


 そして何の気なしに右を向くと、海面を突き進むように白波がこちらに向かって迫ってくる。


「おもしれぇ。俺様にスピード勝負を挑むとは。格の違いを見せつけてやんよ!」

「あわわわ、見せなくていいですよ!」


 ブーストボタンをポチッと押した。

 一気にアホみたいにスピードが上がる。その重力で体が一瞬仰反る。


「あわわわわわわ。と、止めてぇ!」


 船体安定の為に翼を開くと、揺れは少しはマシになる。

 ナビで挑戦者の位置を確認すると、差が少しづつ開いていく。


「口程にもない。この疾空様に勝負を挑むなんざ百万年早いんだよっ!」

「あっちは何も言ってませんよ!」


 よし最後の仕上げだ。

 飛行モードのボタンをポチッと押すと、ふあっとボートが浮き上がる。


「フルスロットル。全力全開!」


 ギュイーンと加速する。もの凄いGが掛かる。


「はわわわわわわわ。と、止めてぇーー!」

「いけっ、スピードの向こう側へ!」


 ナビを確認すると、なぜか差が縮まっていた。


「あれ、おかしい。こっちは既に全開なのに」


 不思議に思い、後ろを振り返る。


「なんだあれ!」


 巨大なイカが飛んで迫ってくる!

 俺は急いでフォームチェンジをした。

 そして目をつぶる輝夜に指示を飛ばす。


「輝夜、操縦頼む。俺はやつを迎撃する」

「え、なに。ええええぇ! だからフラグなんて立てるなって言ったんですよ!」

「文句は後で聞くから、とにかく操縦代われ!」


 輝夜に操縦桿を無理やり握らせて、俺は後方へ移動する。そしてアサルトライフルは・・・・・


「これ、Pタイプじゃねえか!」


 仕方がなく杖を変形させる。


「ま、マスター。浜辺が迫ってます!」

「上手くやれ! こっちは思わぬトラブルで手一杯だ!」


 巨大イカがどんどん迫ってくる。

 杖に魔力を流し、砲撃の準備を整える。


『 ready set 』


 巨大イカにターゲットマークを合わせてトリガーを引くと、螺旋を描いて紅い閃光が巨大イカに命中した。

 そして大きな風穴を空けて巨大イカを貫くと大爆発を引き起こす。


『 Target destruction 』


 さっきからよく分からない言葉がブレスレットから流れていた。

 まあ、たぶん撃破したとか、そんな意味だろ。


「マ、マスター、止まれません!」


 輝夜の声に振り返ると目の前には浜辺で遊んでいたクラスメイト達やゆい姉達がいる。

 急いで輝夜と操縦を代わり、その輝夜を膝の上に乗せて操縦桿を左に倒して急旋回をした。そしてスロットルレバーを戻して、飛行モードを解除する。

 ボートが高く水しぶきをあげて海面の上を滑るように走っていくと段々と勢いを失くして、ゆっくりとボートは止まった。


 ほっと息を吐く。

 膝の上で横に座る輝夜は、俺の胸に寄り掛かりながら気を失っていた。


「輝夜にも弱点があったのか。安心した」


 突然のイレギュラーにかなり疲れて消耗した俺は、しばらくそのままボート波に浮かせていた。


 ああ、マジで疲れた。

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