異世界に召喚されたけど、罵倒されたから逃亡した ②
街に来て二日目。
朝食時におばちゃんと入場料の話題になり『冒険者ギルドに登録すれば免除される』と教えて貰った。
冒険者ギルドってファンタジー系な世界だと本当によく在るね。定番と言うか、逆にない方がおかしいレベルで存在する。
とは言え、入場料免除の特典はありがたい。他にも特典が在るかも知れないので、ギルドの場所を教えて貰い午前中に訪ねた。
受付の女性は登録に来たと言えば丁寧に対応してくれた。細かい説明を聞き、登録タグを貰う。
良くあるギルドのランクはこの世界では『特定の冒険者ギルド専属者』のみに与えられる。専属でないものには与えられないが、準ランクと呼ばれる『仕事の成果の証』の別のランクが得られる。この準ランクが高ければ『ランクなし』と馬鹿にされる事はないらしい。
ついでに国内に関する情報も得られた。孤児院であまり教えてくれなかったと、事前に言ったからだろうね。
結論から言うと、ジジイの発言は半分が真実で、もう半分が嘘だった。
魔王の呼称が存在するのは事実だが、正確には『魔王と呼ばれる存在を誕生させるものが出現した』と言うべき。要するに魔王の母体が出現した。
その魔王の母体はペネロペ王国を襲う気があると言う訳ではない。そもそも、魔王の母体と言っても『魔人族』と呼ばれる魔法に特化した種族の女王が正しい。女王が誕生した。ただそれだけ。
このペネロペ王国は魔人族と仲が悪く、何かと言いがかりをつけて侵略戦争を起こしていた。
この侵略戦争が――一体何がどうしたのか『聖戦』と呼ばれるようになった。第三者の目から見ると『侵略行為の正当化』にしか見えない。この戦争が数百年も続いていると言うのだから驚きだ。
ちなみに魔人族の国は『ウェストランド連邦国』と言う。ウェストランドの部分を直訳すると『荒野』となるが、この国に荒野はない。単に大陸の西半分が連邦国で占められており、過去にこの世界に召喚されたものが『西の国』的な意味でウェストランドと呼び、それがそのまま定着したそうだ。
誰がどこで聞きつけて、何をどうしたら定着するのか。謎だ。
謎は謎のままでいい。
そんな事よりも、現実問題の解決が大事である。差し当たっては『帰還までの生活の場を得る』事。
帰還の方法は転移になるが、いかんせん、使用する魔力量が多い。問題、騒動に巻き込まれない事が前提で、一年から二年の準備期間が有れば自力で帰還可能なのは既に判明している。
最低でも一年――いや、多く見積もって二年はこの世界で自活する必要が有る。
まずは、住む街を決め、住む家を手に入れる。これは大きめの街や都市でアパートのようなものを探せばいいだろう。
その次に生活費を得る手段を確立する。冒険者ギルドに登録したから生活費はどうにかなるだろう。魔物討伐に精を出すしかないな。
となると、最大の問題は生活の場となる街選びか。
大きい街や都市ならば人の出入りの点を考えると問題はないだろう。出稼ぎ労働者と言えば怪しまれない。
逆に小さい町だと怪しまれそうだ。田舎や小さな町は結束力が強かったり、余所者を疎む傾向が有る。
転居先の高校も『転校生=厄介な余所者=どう扱っても良い』みたいなところが在ったしね。アレで県立高校とかあり得ん。
一番有り得ないのは辞職になった市議なんだけどね。賄賂のばら撒き方が異常だったし、汚職の数も多かった。当然だが、逮捕された。その娘も色々と犯罪をやっていたが父親の権力を使って握り潰していた。万引きや違法薬物に手を出し、自殺に発展するまで気に入らない生徒を虐めたりしていた。
父親が逮捕された事で過去の犯罪が明るみになり、現在監獄生活中。異世界召喚に巻き込まれなかったからある意味運が良かっただろうね。
そこまで思い出してふと思う。
単身帰還で『独りで帰って来て恥ずかしいと思わないのか』と馬鹿をぬかす奴が湧きそうだ、と。
保護者は絶対誰か言うだろう。子供が問題児とは言え、実子だし。
そうなると、帰らないのも一種の選択肢か。
市議のせいで銀行も使えなくなり、預貯金は全て手元に有る。道具入れに入っているので防犯面はばっちりさ。
こっそりと戻って金がなくなるまで好き勝手するのも良いかもね。いや、たまに買い溜めに行って戻り、こちらでメイン生活を送るのも良いかも。
高校は戻っても自称進学校だし、教師もやる気ゼロだし。校長と教頭に至っては逮捕された市議から賄賂受領と公費横領していた事がバレて共に逮捕。学校はてんやわんや。事の切っ掛けが自分と気づいている人は意外にも多い。そういや上級生やPTAからも面と向かって『出て行け』と言われたな。
……あれ? これはもしや『帰っちゃいけない』パターンか?
帰還を望まれない行方不明者ってのも珍しいな。
それを考えると、こっちの世界で生活基盤を作った方が安泰か?
とんでもない事実に気づいてしまったんだが、今後どうすればいいんだろ?
街に到着して三日目。
異世界転移してから二日目に『帰還しない方が良くね?』な状況に気づいてしまった。
帰ろうと思っていた気持ちが一気に冷めて憂鬱だ。
異世界に来て人生の迷子になろうとは。
内心でため息を零しつつも、今日は冒険者ギルドで簡単な仕事を熟す予定だ。孤児院出身と言ったので魔物討伐系を受けるとちょっと怪しまれる。ここは今後の生活の参考になるかも知れないので、薬草の採集を引き受けた。
採集系の仕事をメインで請け負うベテラン達チームと一緒に、荷馬車に乗って一時間先の森で薬草集め。帰りに採集した薬草を乗せる荷馬車に籠を載せて出発。日暮れまでに戻るのが鉄則で、行き来は荷馬車に乗る。自分も乗せてもらった。
魔法で大抵の怪我や病気は治せるが、経験上、何か困った時の誤魔化し用に薬が作れたり、薬草の種類を知っていたりしても損はない。
薬は売れると便利だからね。
移動途中、ベテラン達にその辺りも訊ねる。手に職を付けられたら、冒険者ギルドを引退したあとでも役に立つかもしれないからと、言い訳も忘れない。
この世界には治療院や施療院と呼ばれるものはない。薬師ギルドがそのまま病院となっている。薬剤師系は親子師弟関係の縦社会で弟子は余り取らない。
弟子は余り取らないと知り、ちょっと残念に思った。
オリジナルの薬品を作るしかないか。薬草の種類は知らないも同然なのでどうするかと考えたが、意外な事に薬草の図鑑が普通に販売されている。ただ、ブランチの街に本屋はなく、王都か馬車で東に十日先の『ウィックスレイト』と言う史跡を売りにしている街に本屋が有り、そこだったら平民でも本が購入出来るそうだ。次の行き先はそこでも良さそう。
一冊銀貨十数枚だそうだが、銀貨は百枚以上残っている。昨日のお昼に使用したお金は銅貨数枚。市場は明日歩き回る予定。まぁ、雑貨屋も覗いたが平民の日用品は大体銅貨五枚から十数枚の間。ちょっと高級品だと銅貨二十枚を超す。銀貨数枚以上の価格の商品は貴族向け。
物価感覚は『銅貨=平民向け。銀貨=貴族向け。金貨=上級貴族や王族向け』と言ったところだ。
この辺りは過去に貴族暮らしを経験した時と大差はない。過去の経験が役に立っている。
ベテラン勢から教授を受けていると採集予定の森に到着。籠を受け取り二手に分かれて採集開始。意外にも、薬草以外に香辛料も自生している森だった。薬草と香辛料の名前はどれも馴染みのない名前。この辺りは『やっぱりここは異世界』と感じる瞬間だ。
薬草や香辛料の見た目、名前、採集方法を教わる。ものによっては『葉っぱに触れるとかぶれるから、スコップで掘り起こして採集する』と言った方法を取る。また、薬草のどこの部位を採集するか違う。『花弁か、葉だけ摘む』のか、『掘り起こして丸ごと採集する』のか。もしくは木の皮や実を取るのか。
必要とされる箇所はバラバラで、『毒のある花弁は要らないが葉はいる』なんてものも有る。
千種万別なので覚えるのは大変だ。
う~ん、やっぱり本がないと不便だな。鑑定プレートに登録して行っても良いが、それだと時間が掛かる。
やっぱり本を買って一読した方が良いな。知識はあって無駄にならないし。そうなると、図書館みたいなところが在ればいいんだけど、ああ言うところが利用出来るのは貴族のみの場合が多い。やっぱり本屋に行くのが良いか。立ち読みが出来るかは、怪しいが。
教わりながら採集の仕事をしていると、あっと言う間に昼休憩になった。
昼は各自持参。好き勝手に分かれて各自食事を始めてしまった。流石にお昼は分かれて取るのか。
自分のお昼は物足りないが、食パンにジャムやマーガリン、リエットを塗ったものを食べる。ベテラン勢が硬いパンや干し肉を食べているのに、自分はふわふわなパンを食べている。見方によっては自分の方が贅沢に見えるだろうね。こっそりと食べたとも。
休憩後も採集を続け、日が傾いて来た頃に撤収。全員大きな籠一杯に採集したから今日はこれで問題ないそうだ。
帰りも荷馬車に乗せて貰って街に戻り、冒険者ギルドで採集した薬草を卸し、代金を貰う。籠毎に代金が変わる訳ではなく一括支払いを山分けする。自分の手元には金貨一枚が来た。多くないかと思うが、ベテラン勢には一人銀貨五枚が追加で出ている。自分は初心者で教わる立場だから金貨一枚で十分だろう。色々と情報も聞けたしね。
この日はこれで解散。宿に戻って最後の一泊を過ごそう。
宿の食堂のカウンター席で夕食を食べていると、おばちゃんがやって来た。料理の感想聞きかなと思ったが、知らない男性が一緒で驚いた。
「冒険者になったばかりだろう。仕事を探すのなら、王都の方が良いよ。治安もそこそこ良くて仕事も多い」
どうやらただのお節介だった。心配してくれるのは良いんだけどね。
知らない男性二名は商人で、何ヶ所か経由して王都に向かう人だった。
「王都まで馬車でも二十日以上かかるよ。ついでに乗せて貰うかい?」
申し出自体はありがたい。でも、次の行き先は既に決めている。
「ごめんなさい。いきなり王都に行くよりも、ここと同じか少し大きい街で探してみようかと思っています」
「どこに行くか決めているのかい?」
「今日お仕事で一緒になった方から教わった、ウィックスレイトと言う街に行こうかと思っています」
「ああ、あそこはここより少し大きい街だね。馬車で十日掛かるけど、南の王都よりかは近いね」
ほほう。良い事を聞いた。
王都はこの街の南に有るのか。距離も馬車で二十日以上と言う事はかなり離れている。この街が国境沿いか、辺境近くに在るからかもしれない。
そのままおばちゃんと話しをしながら食事を取った。しかし、商人と言う男二人は、時折、目配せをしながら食事を取り、会話に加わる。
その動作はなんて言うか、商人と言うよりも『諜報員』を連想させる。この二人は商人の振りをした諜報員か?
改めて男性二人の外見を観察する。
銀髪朱眼の褐色の肌を持った容姿の整った目立つ青年と、金髪碧眼のどこにでも居そうな青年。
奇妙な組み合わせだ。
商人と専属秘書と言われれば納得出来るが、直感が違うと訴える。特に金髪の青年はどう言う訳か、顔が記憶に残りにくい。まるでこっそりと活動する事が前提で気配を消しているように感じる。
銀髪の青年はどう見ても貴族だ。商人の振りをしているが、挙措が間違いなく高位貴族のもの。周囲の客や隣の金髪の青年と比べて、動作が洗練され過ぎている。群衆に混ざるのなら、もう少し周りに合わせた雑な挙措をすべきだろうに。
食事を取り終え部屋に戻る。
ドアの鍵を閉めてベッドに寝転がり、先程の二人の青年について考える。
「追手? あのジジイのところで早速何か起きたのか?」
口に出しても答えは得られない。
やる事もないので、今日はもう寝てしまおう。
翌朝。何故か早めに目が覚めた。
朝食を取るにはやや早い時間だ。二度寝をするにはちょっと遅い時間。
荷物を纏めて髪と瞳の色を変えて食堂に向かう。既に何人かいた。おばちゃんに朝食を注文。昨日と同じようにカウンター席で食べる。
食べ終えて席を立つ直前に、夕食時に一緒になった商人の二人が隣にやって来た。
「……?」
銀髪の方から眠気を誘う奇妙な香りが漂っている。
内心で小首を傾げていると、顔に出ていたのか、どうしたと、銀髪に尋ねられた。
「珍しい香りですね。香水か何か付けていらっしゃるのですか?」
障りのないように慎重に言葉を選んで尋ねる。
すると、銀髪は一瞬だけ目を眇め、人懐っこそうな笑みを浮かべた。
「今度、貴族のお嬢さんに商品を持って行くんでね。身嗜みって奴だよ」
「貴族の方にお会いするのですか」
「そうだよ。嫌われないようにするのも大事なのさ」
ニヤリと言った感じでそんな事を言った。
「何であんたが色気づいているんだ。……ちょっと待ちな。本当に香水を付けているのかい?」
朝食を持って来たおばちゃんは呆れ顔で突っ込んだが、香水の香りが判らなかったのか、何度も銀髪の匂いを嗅いでいる。
かなり強く感じるのだが、人によって感じ方が違うのか? それとも、感じる対象が限られているのか。
どちらか分からないが、食べ終えたので眠気を堪えて部屋に戻る。部屋で忘れ物の有無をチェックし、道具入れと宝物庫にファンタジー系のゲームや漫画でお馴染みの『回復ポーション』が残っているか調べる。
仮に残っていても経年劣化で使いものにならない可能性は非常に高いが、念の為。
基本、『利用頻度の低いものは宝物庫』に、『利用頻度が高いものは道具入れ』と分けている。今回探している回復ポーションは、どちらかと言えば利用頻度は高い部類に入る。しかし、過去に転生した世界で『指輪を保有する人間が法や身分で制限されていた国』が存在した。そんな世界では指輪の形をした道具入れは持ち歩けず、荷物の全てを宝物庫に移した。
そんな過去が有るので宝物庫も調べる。単に道具入れに収納出来なかった事も在るが。
「ひぃ、ふぅ、みぃ、……結構在るな」
調べた結果、体力と魔力の回復ポーションと異常状態解除のポーションが出て来た。それも、全て宝物庫から。道具入れの中にはなかった。
異常状態解除のポーションは数は少ないが、全て王室献上品にしても文句の出ない一品。つまり最上級品。
体力と魔力の回復ポーションは最上級から下級まで四ランクの全てのポーションが出て来た。数は合計五十本を超える。
「経年劣化による品質低下、なし」
宝物庫に入れていたからか、鑑定魔法で調べた結果、経年劣化による品質低下は起きていなかった。
……一本開けて確認してみるか。
眠気解消に異常状態解除のポーションのガラス小瓶を一本開けて舐める程度に口に含む。
「あれ?」
口に含んだ瞬間、眠気が一気に消えた。すぅっと、言った感じに消えた。
「って、事は」
あの香水の香りは『特定対象に眠気の異常状態を与える』代物なのか?
情報が少ないので何も言えない。でも、ポーションで解除出来ると判明したのだ。ポーション小瓶に蓋をして、黒コートの内ポケットに入れて置こう。
チェックアウトはお昼までに行うのが決まり。ポーションチェックで結構な時間が経過していた。
急いで受付に向かい、おばちゃんに挨拶をして部屋の鍵を渡す。宿泊料金は前払いで支払っているのでこのまま宿から出た。
街中を歩いて市場に向かった。
市場は昼前だけど活気が凄い。並んでいる商品の種類の幅も広い。
並んでいる調味料は、塩(拳大の岩塩の塊)と蜂蜜(砂糖はなかった)、多種多様な香辛料に、料理用の油と酒。粉系は、全粒粉タイプの黒麦粉と小麦粉や大麦粉。意外な事に小麦や大麦は粉に挽いたものしか売られていなかった。オートミール用の麦がない。豆は色々と見かけたけど。
食材は、意外な事に葉物野菜が多く芋類は無い。根菜も見当たらないが、人参に似たものは在った。甘味として果物コーナーに置かれていたけど。
昨日の宿の夕食を思い出す。
ライ麦パンのような黒パンに、鶏肉のステーキと大盛りのサラダとスープだった。朝食はステーキが卵料理に代わっただけ。
……そう言えば、スープに芋類は入っていなかったな。玉葱っぽい野菜と舞茸に似た茸が具だった。
塩を振って食べたけど、サラダも蒸し野菜だったし、生で食べる習慣がないのかも。
続いて出来合い品を見て回る。主に売られているのは串焼き。中華まんのように蒸した具入り黒パンも売られていた。油脂系も高級品扱いなのか揚げ物系は見当たらない。
広い市場を一周するとお腹が空いたので、肉の串焼き四本を買う。一本銅貨三枚。銅貨十二枚の出費だ。油紙製の包み紙で受け取り、空きスペースで食べる。
串焼きは塩と臭み消しの香辛料が少量揉み込まれただけだが、脂が乗っていて美味しい。肉は豚と山羊と羊と鳥で、牛肉はない。牛肉は貴族向けだろうか。
食べ終えて、蒸しパンを購入する。こちらは一種類だけで一個銅貨四枚。こちらは二つ購入。串焼きよりも高いが、食べて値段に納得した。パンの具は豚肉と野菜がたっぷりと使用されていて、地球の肉まんそのものだった。色は黒いけど美味しい。
満足の行く買い食いだった。市場を覗いて幾つか分かった事も在る。
売られている塩は岩塩タイプ。海から遠く離れているから、岩塩が販売されているのだろう。値段も五百グラムの塊一個で銅貨一枚と安い。この大きさなら、銅貨で十枚~十五枚はすると思うんだけど。これは街の近くに岩塩の採掘場が在るのか、岩塩の価値が海塩よりも低いのか。あるいはその両方か。どちらにしろ、ここは海から遠そうだ。魚介類が一切売られていない事からもこれは推測出来る。しかし、乾物すらないって事はどれだけの距離が在るのだろう。
香辛料の使用量は少ないが、平民でも手に入れられる商品。貴族限定の高級品と化していない。いつか香辛料を買い揃えてカレーとか作ってみよう。
野菜は葉物形ばかりだが、茸が在り、豆も在る。根菜と芋類はないけど。
小麦粉も売られていたし、食の水準は結構高めだ。
食以外の水準も高いし、この世界の生活水準は高いのだろう。裕福そうなお爺さんが眼鏡をかけていたし。でも、紙とインクは高級品っぽい。包み紙は油紙のような感じ似たものだったから、紙質で高級品か否か分かれているんだろう。
色々と分かったところで、そろそろこの街から出よう。
目指す先は街に入った西門から出る。この門で知り合った小父さんに退去の挨拶をしてから去るとするか。
目的地の方向は東なのにその逆から出るのは、時間の無駄のように感じる。しかし、商人の振りをした諜報員らしき二人を振り払うにはこうするしかない。
どの道、空を飛んで移動するから逆方向に一度向かう程度大したロスにならない。
目的地で色々と情報が手に入れば良いな。
そう思いながら、西門に向かった。