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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

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彼女と婚約することにした!?

 セーラが帰った後は、まるで「待ってました!」とばかりに次から次へとお客さんがやってきた。

 いつものエアポケット的な時間にもお客様が来て、気が付けば閉店時間だった。


「ナタリーお嬢さん、なんでこれだけ混雑したか、分かるか?」


 デグランが、まかないのベーコンステーキを焼きながら、私に声をかけた。

 私はお皿を用意しながら、「金曜日だからですかね?」と答える。


「違う、違う。紅茶味のパウンドケーキとクッキーの発売、今日からだろう? みんなパンケーキを食べ、パウンドケーキとクッキーを買って帰った。もうソールドアウトだ」


 そう言われてみれば、そうだった。

 紅茶味を販売すると、店内にポスターを飾って告知するなど、したわけではない。

 ただ店に足を運んでくれたお客さんに、紅茶味を今日から販売すると、世間話のノリで、話しただけだった。


「それでもさ、みんなナタリーお嬢さんのファンだから。ちょっと聞いた情報を、ちゃんと覚えていて、買いに来てくれたんだよ」


「よかったですね。ナタリーお嬢さん。固定ファンが増えるって大きいですよ」


 ロゼワインを開けるバートンにまで、そう言われると……。

 そうか。固定ファン。

 嬉しいな。大切にしなきゃ。

 でもそのファンはきっと……。


「固定ファンがついてくれたのは、私の力だけではないと思います。デグラン様やバートン様、そしてロゼッタがサポートしてくれたおかげです。それに常連のお客様も、口コミで広めてくれたから……。私は……人に恵まれたと思います。これまで、ありがとうございます! そしてこれからも、よろしくお願いします!」


「なんだ、なんだ、改まって。俺達は、仲間なんだからさ」

「そうですよ。これからも当然、応援しますよ」


 そこで店内は、ベーコンの焼けたいい香りで満たされる。


「よし。焼き立て、出来立て、アツアツだ。これはな、もうマスタードと一緒に、とにかく黙って味わえ!だ」


 これだけで、他はいらないというサイズのゴロゴロと大きいベーコンが、お皿に盛りつけられる。その傍には、たっぷりの粒々マスタード!


「「「いただきまーす!」」」


 ロゼワインを片手に、デグラン自家製ベーコンにかぶりついた。


 ◇


 その日、帰宅した私はまず、アレン様に手紙を書いた。

 月曜日、もし時間があったら、精進料理『心』に、みんなで行かないかと。

 そして今日の阿闍梨の来店についても書いた。


 ウッドハウス侯爵令嬢の件は……割愛する。

 ヒロインであるセーラが撃退してくれたし、そこまでヒドイことは言われていな……ううん、言われた。でも思い出したくない。


 ということでアレン様の手紙は、完了。

 次はドロシーだ。

 ドロシーは、これでまとまったお金が手に入る。さらに定期的に阿闍梨は、ドロシーの陶磁器を購入するはずだ。どうしても使っていると、うっかりで落としたり、割ってしまうことは起きるからだ。


 というか阿闍梨のお店でも、気に入ったお客様に、食器の販売をしてくれないかしら? 販売は無理でも、ドロシーを紹介するとか……あ、ドロシーの名刺を作ってお店に置いてもらうだけでもいいんじゃない? ショップカードみたいな感じで。よし。阿闍梨に提案し、バートンに相談してみよう。


 こうして手紙を書き終え、入浴すると、後はもう、爆睡だった。


 爆睡したのに。

 体がその時間に起きると、覚えてしまったからか。

 やはり早起きできてしまった。


 ということでいつも通りに準備し、離れを出る。

 今日はラベンダー色のワンピースだ。


 お店に着くと、昨日と同じで掃除を始め、そこでふと思い出す。

 すっかり忘れていた。

 阿闍梨やウッドハウス侯爵令嬢、セーラの来店に加え、お店が混んでいたから……。


 あの謎の貴婦人!

 デグランとは、どんな関係なのかと思っていたことを、思い出した。

 思い出し、窓の外を見て、「え」と固まる。

 あの馬車は、昨日も見たのでは?と。

 しかも昨日と同じ位置に止まり、そして――。


 デジャヴを覚える。

 まるで昨日の再現のように。

 馬車からいつもの装いのデグランが降りてきた。手にはずた袋。


 もしずた袋の中身が食材なら、何か話があると思う。が、昨日のまかないの時にも、特に話題に出ていない。あのずた袋には、何が入っているの……?


「!」


 デグランが馬車を降りると、窓にあの貴婦人が顔をのぞかせる。

 今日はサーモンピンクのドレスを着ていた。


 昨日と同じでデグランが恭しくお辞儀をして――。


 私は慌てて座り込む。

 二日連続で会っている貴婦人。

 二日連続……ううん、違うかもしれない。

 これまで気が付かなかっただけで、ずっとあの貴婦人とデグランが会っていた可能性は……ゼロではない。私が早めに出勤するようになり、気づくことになった。もしいつもの時間に出勤していれば、デグランは部屋に戻り、そして何食わぬ顔で、二階から降りて来て、店に顔を出したはずだ。


 ロゼッタは、デグランに好きな人がいると、繰り返し言っていた。

 もしかしてそれがあの貴婦人なのでは……?

 貴婦人は間違いなく、貴族だ。

 これまでは、身分の壁もあった。

 でもデグランは、既に貴族の仲間入りを果たしている。

 その障害はなくなったはず。


 もしや近いうちに「みんな聞いてくれ。彼女と婚約することにした」なんて発表があるのではないか。


 心臓のバクバクが止まらなかった。

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