表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/372

誰ですか……?

「では、乾杯!」

「「「「「乾杯~!」」」」」


 画材屋の二階、ロゼッタの家族が暮らす部屋のダイニングルームに着席しているのは、ロゼッタの両親、ロゼッタ、アレン様、ルグス、そして私だ。


 画材屋に到着すると、バートンは私達と入れ替えで、デグランのお店へ向かった。「まさか副団長とナタリーお嬢さんまで来るなんて。驚きました」と言いながら。私自身、成り行きで店内に入ったものの……。とても驚くことになる。


 アレン様と二人、店内を見て回り始めると……。壁に飾られた絵を見て、アレン様が話し出した。


「この画家は、今となっては貴族が取り合いですよね。ですが生前、彼の絵は、一枚しか売れていないんですよ」


「この絵の少年。とてもリアルです。一体誰をモデルにしたかと思うでしょう? でもこれはトローニーなんです。つまりモデルとなる人物はいない。顔などの部分的な習作のために、描かれたものなんですよ」


「こちらの絵は、大聖堂に飾られている絵画のレプリカですよね。元の絵は、額縁に合わせて描かれたことを、ご存知ですか? 額縁に収まるような絵を描くよう、オーダーを受け、描いたものなんです。額縁ありきで絵が描かれることも、結構あるんですよ」


 アラン様は、なんと美術についても素養があることが、判明したのだ。

 なんでこんなにいろいろと知っているのか、思わず尋ねると……。


「そんなに深い知識ではないです。公爵家の嫡男として、教養として学んだに過ぎませんから」


 そう言うのだけど……。

 ルグスがロゼッタの案内で、水彩絵の具の道具一式を購入するまでの間に、アレン様の話で何度「そうなんですか!」と言ったことか。


 成り行きで店内に入ったつもりだったが、蓋を開けると、同行してよかった!だった。美術に関する私の知識は、かなり深まったと思う。それもこれもアレン様のおかげだ。


 こうして私がアレン様のすごさを再認識し、ルグスの買い物が終わったまさにそのタイミングで、ロゼッタの母親が顔を出した。そしてこんな提案をしたのだ。


「良かったらみんなで、夕食を食べない?」と。


 これにはルグスが一番大喜びし、アレン様と私は「わたし達もいいのですか?」という感じでお邪魔することになった。だがアレン様を知らない王都民は、いないと言っても過言ではない。ロゼッタの両親は、アレン様に握手を求め、いたく感動している。つまりアレン様が夕食の場に同席してくれることは、ロゼッタの両親にとって、かなり名誉なことだった。


 ちなみに私は、ロゼッタの両親とも、何度か一緒に食事をしたことがある。よってロゼッタとバートンの友人として、普通にウエルカムで迎えてもらえた。


 そして赤ワインが開けられ、ロゼッタはリンゴジュースで、それ以外はワインのグラスを手に、乾杯となった。


 テーブルに並べられている料理は、ロゼッタの母親が仕事から戻り、一生懸命に作ったもの。ミートボール、豆のサラダ、マッシュルームとベーコンのキッシュ。デザートは、ジャムを添えた薄焼きのワッフルだった。普段、デザートなんて出ないと、ロゼッタはぼやいていた。今日はアレン様とルグスがいるから、頑張ったのだろう。


 いただいた料理とデザート、どれも家庭の味と言う感じで、とても美味しい。アレン様は以前、家族を思い、作る料理には、愛情が加わっていると言っていた。まさに愛情を感じながら、食べることができたと思う。私は満腹になり、心を満たされたが、それはルグスもアレン様も同じようだ。二人ともとても嬉しそうに、食事を口に運んでいた。


 私も勿論、楽しく食事をいただき、ワインを楽しんでいたのだけど……。

 頭の片隅で、デグランのことが気になっていた。

 でも今頃デグランは、バートンに加え、多くのお客さんに囲まれ、いつも通り笑っているはず。

 大丈夫。


 こうしてこの日は、ロゼッタの家で夕食をいただき、アレン様とルグスは馬車まで私を送ってくれて、終了だった。


 ◇


 翌朝。


 すっかり早起き癖のついた私は、またもいつもより三十分早起きをしていた。その結果、昨日同様、早めに準備も終わり、お店に着くことになった。お店の窓ガラスに映る私は、明るいモーブ色のワンピース姿だ。扉の鍵を開け、店の中へ入る。


 まずは床を掃き、カウンターテーブルを拭き、次に窓をと思い、雑巾を手に窓の方へ向かうと……。少し離れた場所で、馬車が止まった。


「!」


 馬車から降りてきたのは、デグランだ。

 服装は、いつも通り。そして昨日見たのと同じ、ずだ袋を持っている。

 さらにデグランは、馬車の窓を見上げた。

 すると。

 そこにまさに貴婦人という女性が、顔を出した。

 緩くウェーブを描く、明るい茶色の髪。その横顔の鼻は高く、少し垂れ目の、アーモンド色の瞳をしている。色白だが、頬の血色はよく、コーラルピンクの鮮やかな色のドレスを着ていた。


 デグランは胸に手を当て、優雅にお辞儀をする。

 それを見たその女性は、慈しみのある微笑を浮かべていた。


 誰……?


「キャンディタフト」では、見たことがない。

「ザ シークレット」のお客さんなのかしら?


 カフェをクローズし、パブリック・ハウスのオープン準備をした後。デグランのまかないをいただき、そのまま飲んで帰ることも、相応にあった。よって「ザ シークレット」のお客さんで知っている人は、何人もいた。それに私がお客として「ザ シークレット」を利用していた時に、知り合った人もいる。「キャンディタフト」と共通のお客さんもいるわけで、結構な数のお客さんを把握しているはずだけど……。


 あの貴婦人は、知らなかった。


 年齢は三十五歳くらい、だろうか。


「!」


 デグランがこちらを向いた瞬間。

 思わずしゃがんでいた。

 この時間、私は普段ならまだ店にいない時間。

 そして昼間なので、お店の明かりはまだつけていなかった。

 つまりしゃがんでいれば、店に私がいることは、デグランにバレない。そして二階の彼の部屋には、お店を経由しなくても上がることができた。


 心臓がなんだかバクバクしている。

 直感で、見てはいけないものを見てしまった気持ちになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●新作スタート!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄の悪役令嬢は全力ざまぁで断罪回避に成功!のはずが……まだ終わらないなんて聞いていません!
『婚約破棄の悪役令嬢は全力ざまぁで断罪回避に成功!のはずが……まだ終わらないなんて聞いていません!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ