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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

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陶芸家の卵

 昨日は、夢のような一時だった。


 推しであるアレン様と、まさかの二人きりでの観劇からの精進料理。

 ジョアキーノの新作は文句なしの面白さで、精進料理は懐かしい味わいで実に美味だった。


 あの素材を生かした味わいを、好ましいと感じる。やはり私の根っこの部分は、日本人なんだなぁと思ってしまう。転生し、西洋風の世界で生き、その文化や慣習にいくら親しんでも。前世の味を懐かしく思い、その味わいにホッとしてしまう。


 何より、そんな料理を食べられるお店に案内してくれた私の推し、アレン様。やはり神!

 飯友(めしとも)認定してくれたし、あの後、私が話した東方の料理の数々にも、強い興味を持ってくれた。本当にアレン様は、イイ人だと思う。


 というわけで翌日は昨日と同様で、いつもより早起きし、パウンドケーキとクッキーを焼いた。ココアピンク色のワンピースに着替え、朝食をとるため、母屋へ向かう。朝食をとりながら、家族にジョアキーノの新作について熱く語り、その後は元気に店へ出発だ。


 いつもより早く到着すると、これまた昨日と同じ!


 シャーベットオレンジの明るいワンピースを着たロゼッタが、早々に店へやってきた。そのニマニマ顔から、昨日のルグスとのレストランでの食事が、満足のいくものだったと伝わって来る。


「婚約周年祝いパーティー、ルグス様がエスコートしてくれることになったんですよ! その日は夜間勤務明けだから、任務はお休みなんだそうです。私が宮殿なんか行ったことがないし、絶対に緊張するし、不安だと言ったら、ルグス様から申し出てくれたんです!」


 ロゼッタが床を掃きながら、うっとりした表情になる。

 だがそうなるのも、当然だろう。

 意中の相手がエスコートしてくれるなんて!

 しかもロゼッタにとって、今回のパーティーが、社交界デビューのようなもの。そこでエスコートをしてくれるのが、ルグスという騎士であれば……。完璧なエスコートをし、ロゼッタはお姫様気分を味わえる。これには「良かったわね!」と応じることになるが、気になることもあった。


 てっきり兄であるバートンが、ロゼッタをエスコートすると思っていたのだ。

 でもロゼッタがルグスと共に出席となると、バートンは……。


「え、お兄ちゃん? 別に一人でもいいんじゃないですか? エスコートって必須ではないですよね?」


 それは確かにそうではある。


「それより、ナタリーお嬢様はどうするんですか? なんならお兄ちゃんにエスコートしてもらいます? あ、でもそうしたらデグランは、どうするのかな?」


 招待されることに喜び、エスコートの件は、まったく考えていなかった。そしてエスコートがいなくても、当然、パーティーには参加できるのだけど……。


 ロゼッタがバートンにエスコートされる。ならばデグランは私をエスコートしてくれる……という自然な流れは成立しなくなった。むしろメンズ二名に、私となると……。


 ううん、待って!


 メンズ二人は、身内で済ませようとは思っていないかもしれない。女性の知り合いがゼロというわけではないだろう。宮殿の王家主催のパーティーなんて、庶民からしたら「夢のまた夢」であり、そこへ行くチャンスがあるなら、当然「行きたい!」だろう。


 そうなると私が悩む必要なく、二人がエスコートする女性は決まる可能性が大。むしろ私は……。


 そこでふとアレン様の姿が浮かぶ。

 そうだ。

 御礼の手紙を書かなきゃ。その手紙の中で――。


 コン、コンというノックの音で、扉のベルが、緩い音を奏でる。

 見るとそこには、陶芸家の卵、ドロシーの姿が見えた。

 ダークブラウンのおかっぱ頭にショールを飾り、琥珀色の瞳を細めたドロシーは、笑顔で扉を開けた。


「おはようございます、ナタリー様、ロゼッタ様!」


 この世界で、陶芸家は男性が主流だった。ドロシーはその中で、数少ない女性陶芸家の一人。そんな彼女の作る陶芸品は、西洋というより、オリエンタルな雰囲気で、カフェでも人気だった。最近も彼女が作ったパンケーキ皿が五枚売れ、今日はきっとその補充で来てくれたのだろう。


「おはようございます、ドロシーさん。今日はパンケーキ皿の補充かしら?」


「はい! あとは試作品を持って来たので、ぜひナタリー様に見ていただきたくて。今、お時間、大丈夫ですか?」


「ええ、勿論。入って頂戴」


 木箱を抱えたドロシーを、カウンターテーブルへ案内する。

 ドロシーは木箱をテーブルに置くと、おが屑をどかし、まずはパンケーキ皿を取り出す。

 藍色に白で、オリエンタルな模様が描かれたお皿が三枚。

 白地に藍色で、同柄が描かれたお皿が三枚。

 合計六枚を受け取る。


「新作はこれなんですけど……」


 それはティーカップとソーサーだったが、描かれている柄が、なんとも和風だった。

 なぜなら千鳥格子柄、矢絣柄、麻の葉柄が使われているのだ。


「ドロシーさん。この柄、あまり見かけたことが、ないのですが……」

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