表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/372

素敵なお誘い

「カフェのクローズと『パブリック・ハウス』のオープンの手伝い、できなくてごめんなさい」


「大丈夫、大丈夫! もうあと一時間でしょ。お客さん、今日はもう来ないよ。せっかくのデートなんだから! あのアレン様とのデートだよ! 二人きりで! もう楽しんで、ナタリーお嬢様!」


 ロゼッタがニマニマしながら、チラチラとデグランを見ながら、私にそう言うと。


「客が来ないとは限らない。ロゼッタ、お前は閉店までの約束だからな。ルグスが迎えに来るまで、しっかり働けよ!」


「なーに、デグラン。自分だけこの後も仕事だから、ジェラシー?」


「ロゼッタ!」


 デグランとロゼッタが、兄妹のようにギャーギャー絡んでいると、カラン、コロンのベルの音。

 驚いて振り返ると、そこにいるのは悪役令嬢ニコール!

 いつもの王立サンフラワー学園の制服姿だ。


「ごめんなさい、また閉店が近い時間に。実は皆様に渡したいものがあったのと、妃教育(王宮)に行く前に、パンケーキを食べたくなってしまいました。大丈夫かしら?」


「大丈夫ですよ。すぐに作ります」


 デグランは手を胸にあて、優雅にお辞儀をすると、竈へ向かう。

 ロゼッタはニコールを席へ案内し「飲み物はアッサムティーでいいですよね?」と確認しながらグラスに水を注ぐ。さっきまでギャーギャー言い合っていたのに。二人は切り替えが早い! 一方のニコールは、スツールに腰かけながら「ええ、それでお願いします」とにこやかに応じている。


 そして私は既にエプロンを外し、お店から出ようとしている状態だった。


「あら、ナタリー様は……もしかしてジョアキーノの新作を?」


「! そ、そうなんです。アレ……サンフォード副団長様が、お誘いくださって。あ、もしかして副団長様から、お聞きになりました?」


「いえ、違いますわ。サンフォード副団長様は、プライベートについてベラベラ話す方ではないので。今、社交界で夜に予定があると言えば『もしかしてジョアキーノの新作を?』と尋ねるのがお約束なんですよ」


 これには「ああ」となる。社交界ではこういう言葉遊びがよく流行った。でも私はめっきり社交界に顔を出していないから……。


「では先にナタリー様に、コチラをお渡ししますわ」


 ニコールは学生鞄から、光沢のある上質な封筒を取り出し、私に渡してくれた。

 裏面を見て「わおっ!」と声を出しそうになるのを呑み込む。

 だってこの封蝋は……王家の紋章!


「ホリデーシーズンに入った最初の月曜日。殿下と私の婚約周年祝いパーティーをすることになりましたの。王妃殿下が『婚約して何年も経つと、二人が婚約していることを忘れる方もいるでしょう。二人は円満に愛を育んでいると、アピールする場を設けましょう』とおっしゃってくださって。あくまで私的なイベントで、王立サンフラワー学園の同級生を中心にお誘いしているのですが、月曜日は『キャンディタフト』も『ザ シークレット』も店休日ですよね? だから皆さんもよかったらと思いまして」


 ジョシュがセーラと仲良くしているのを見て、いろいろ噂した生徒達の疑念を、王妃はきっと、払拭するつもりなのだろう。そこまでやるなんて、さすが王妃だわ。


 そして。


 王室主催の私的なイベントに招待されるなんて、貴族にとっては誉れ!

 さらにモブの私からしたら、悪役令嬢であるニコールのイベントに招待されるなんて、奇跡だ。

 なんといってもニコールが悩む姿を見て、王妃殿下とも話している。

 ニコールと婚約者であるジョシュが、幸せになることを願っていたのだから……。


「ありがとうございます! ぜひ、お邪魔させてください!」


 即答だった。するとニコールは「良かったです」と微笑み、ロゼッタとデグラン、さらにはバートンの分の招待状まで、取り出したのだ。


「私的なイベントで、舞踏会でもない、ただのパーティー。ロゼッタ様とバートン様も、ぜひいらしてくださいね。とはいえ、貴族が多く参加するパーティーなので、ドレスコードが気になるかと思います。『ロイヤル・エレガンス』に、衣装を用意しておくよう伝えておくので、服装の心配はなさらず、いらしてください。同伴者の分も選んでくださって構わないわ」


 『ロイヤル・エレガンス』は、王都の貴族の御用達の超人気店。お値段も一流で、超上客でもないと、オーダーしても納品までは、最短で半年だった。それなのに「用意しておくよう伝えておくので」で、衣装を準備してもらえるなんて……!


 やはり第二王子の婚約者ということで、超上客なのだろう、ニコールは。


「デグラン様も、いらしてくださいね。国王陛下夫妻も、貴族らしい姿のデグラン様のお姿を見たいと、言っていましたわ」


 これにはデグランは「参ったな~」と頭をかく。でも、フライパンを手に「このお店の上客ですからね、マルティネス侯爵令嬢は。お客様のせっかくのお誘い。参加させていただきます」と丁寧に応じた。


 せっかくニコールが来てくれたので、もう少し話もしたいところだった。でも屋敷に戻り、着替えをして、劇場へ向かう必要がある。そこでニコールに、まずはこれで失礼することを告げ、デグランとロゼッタに合図を送った。


 ロゼッタはニコニコ笑顔で手を振り、デグランはなんだか寂しそうな顔で、私を見送る。


 この後、ロゼッタはルグスとディナーだった。バートンが顔を出すと言っていたが、言ってみればデグランは、お留守番のようなもの。でも誰かからお誘いされても、『ザ シークレット』があるので、やはりデグランはお留守番だ。それが悲しいのかしら?


 そんなことを思いながら、迎えの馬車のところへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ