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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

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ジビエ料理最高!

「も~ナタリーお嬢様、ここは天国ですか? こんな美味しい料理、しかもフルコースですよ? 食べたことない。もう私、家のご飯では満足できないかも。どうしましょう~!」


 昼食を終え、庭園のベンチに移動すると、ロゼッタがそんな風に嘆いた。

 でもその言わんとすることは、よく分かった。


 デグランと公爵家の料理人により、用意された料理。

 それはまさに宮殿で開かれる、晩餐会の料理のよう。

 この短時間でよくぞ獣の臭みを抑え、上品で洗練された料理に生まれ変わらせたのかと、唸るしかない。しかも料理はゴージャスだけど、食べる時はみんな「マイスプーン、マイフォーク、マイナイフ」を使うのが、狩猟館での食事スタイル。つまりは野外で食べるジビエ料理、堅苦しいマナーは抜きで、狩猟後に満腹になろうというわけ。


 おかげでロゼッタもズラリと並ぶカトラリーに頭を悩ませることなく、料理を存分に味わえた。勿論、この時に使ったマイ・カトラリーは、デグランにプレゼントされたものだ。


「……! これは……まるで宮廷晩餐会の料理の味だ……!」


 感嘆の声をあげたのは、ポートランド公爵。


 デグランの父親であるポートランド公爵とレナードは、前菜を口にした瞬間から表情が変わり、その後に続くスープで陶酔した顔になり、メイン料理であまりの美味しさに涙をこぼしていた。


 その時の様子を思い出していると、レナードが一人、こちらへと歩いて来る。


「ロゼッタ嬢。この狩猟館には、温室が併設されています。サボテンをご存知ですか? 針が沢山生えた植物で、花も咲かせるんですよ」


 今日の狩りには、プロの狩人も同行していた。ポートランド公爵とレナードは、昼食を終えると、その狩人らと、狩りの成果を話していた。だがどうやらそこを抜け、レナードはロゼッタに声をかけたようだ。


「サボテン……。知らないです。それを見ることができるのですか? お花も?」


「ええ、そうですよ。ご案内しましょうか?」


 狩りを終えたレナードは、上質な生地で仕立てられた、紺色のセットアップに着替えていた。公爵家の次期当主らしい洗練された雰囲気に、ロゼッタの瞳が輝く。


「ぜひ、お願いします!」とロゼッタが即答すると、レナードは優雅に手を差し出す。


 デグランと同じ、現在二十二歳のレナードには、婚約者がいる。四歳年下の令嬢は、この春に女学校を卒業。来年の春には結婚予定だ。当然、月曜日の今日は授業があるので、狩りには参加していない。そうなるとレナードは、来賓である私達のおもてなしを、積極的にしてくれる。


 参加していないと言えば、デグランの弟ジークもそうだ。やはり学校がある。そしてポートランド公爵夫人は、ジークに付き合った形だ。つまり……。


「学校があるから、ボクは行けないね。でもお父様も、お母様も、お兄様も。ボク以外はみんな、デグランお兄様に会えるんですね」


 寂しそうにこう言われると、ジーク一人を学校に行かせ、三人でデグランと狩りに行くのは……。そこでポートランド公爵夫人は「狩りは男性が楽しむものですからね。お母さんはお留守番します」と屋敷に残ることになったのだ。


 レナードにエスコートされるロゼッタを見送り、一息つくと。


「ナタリーお嬢さん!」

「デグラン!」


 デグランは狩りを終えた後、下処理に追われ、さらには調理をしていた。皆が昼食をとっている間、ようやくデグランは入浴することができた。


 本当は全員揃って食べたいところだが、そうなるとデグランは、狩りの汚れを落とさないまま、昼食の席につくことになる。


「さすがにそれは申し訳なくてできない。今回は俺の料理を、父さんや兄さんに食べてもらうのが、ゴールだ。次回、狩りをする時は、調理は公爵家の人間に任せる。だから今回は俺を抜きで、とにかく料理を味わってほしい」


 デグランのこの提案を、ポートランド公爵とレナードは汲み、彼の手料理を存分に楽しんだわけだ。そして今、入浴を終え、白シャツにスカイブルーのセットアップに着替え、髪をおろした状態のデグランが戻って来た。


 レナードが温室にロゼッタだけ誘い、私を残したのは、もしかするとデグランが戻るのを見越したのかもしれない。私にデグランの相手を頼む……ということなのかしら?


「ナタリーお嬢さん、どうだった料理は? 公爵家の料理人が、優秀な人間ばかりだった。おかげで俺、ほとんど何もしないで済んだよ。彼らの頑張りで、絶品料理に仕上がったと思うんだけど」


 デグランが人一倍頑張っていたこと、私は知っている。ロゼッタと二人で、ずっと見ていたから。でもデグランは集中して作業していたから、気づていない。そして自分よりも、サポートしてくれた公爵家の料理人を立てるのね。


 この気遣いができるから、師弟関係厳しい料理人の世界でも、デグランは上からも下からも愛されるのだろう。


「とても美味しかったですよ。この短時間で、よく、獣臭なく、調理できたと驚きました」


「うん? それな、調理より、下処理だから」


「え……?」


 デグランは私が座るベンチに「俺も座っていい?」と尋ね「勿論」と応じると、まだ若いのに「どっこらしょ」なんて言いながら腰かける。そんな愛嬌も、デグランが皆に好かれる理由の一つだ。


「ナタリーお嬢さんは伯爵令嬢だから、これまで狩りに同行したこと、あるよな?」

「ええ。ありますよ」

「手に入れた獲物を調理してもらい、食べたことも、あるだろう?」

「そうですね」


 そこでデグランは獣の臭いについて説明してくれる。


「その時にもし獣の臭さを感じたのなら、それは調理が悪かったわけではない。獣の肉っていうのは、血抜きの下処理がちゃんとできていれば、本来臭みはないはずなんだ。仕留めてすぐに下処理をする。ちゃんと手早くさばけば、臭みはでないはず。今回は仕留めてすぐ、公爵家の料理人と俺とで手分けしてさばき、さらに塩水につけて持ち帰った。だから臭みはなかったはずだ」


 これには「なるほど~」だと思った。ジビエ料理=臭いというイメージがつきまとっていたが、改める必要がありそうだ。


「料理は全て絶品でした。ただ、シンプルなのに、濃厚でいろいろな料理に活用できそうなスープが、私は本当に美味しく感じました。あれは……?」

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