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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【第二章】

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月曜日の狩り

 店休日の月曜日。

 今日は、デグラン、ロゼッタ、そしてデグランの父親とお兄さんと共に、郊外の森で狩りだった。


 王都と言えど、中心部は街だが、そこを離れた郊外は、森が広がり、山もある。王都の貴族はそこで狩りを楽しんでいた。


 ということで我が家の馬車で森へ向かうため、待ち合わせ場所へ向かう。


 早朝、画材屋の前に、デグランとロゼッタが待っていた。見送りのバートンの姿も見える。


「おはよう、ナタリーお嬢さん。馬車、出してもらえて助かるよ」


 私が馬車から降りると、開口一番、デグランが御礼の言葉を伝えてくれる。


 今日のデグランは、いつもとは全然違う装い。

 白シャツに、スモークブルーの上衣とズボン、ウールの厚手のマントを羽織っている。フードもついたそのマントは、明るいキャメル色。彼の髪色ともあうし、その姿は狩人っぽい!


「おはようございます~、ナタリーお嬢様! 今日はよろしくお願いします!」


 ロゼッタがいつもの大きな声で挨拶をすると、バートンが「しーっ」と慌てて彼女の口を押える。まだ早朝五時だから。


 朝から元気なロゼッタは、パンプキン色の生地に、オレンジとレッドのオーバーチェック柄のワンピースを着ている。合わせているリーフ色のウールのコートも、よく似合っていた。


「では出発です。二人とも、馬車に乗ってください」


 こうして私の隣にロゼッタ、対面の席にデグランが着席し、出発となる。

 ちなみに今日の私の装いは、ローズピンクのワンピースにチョコレート色のコートだ。


「みんな、気を付けて。いってらっしゃい!」


 いつものモスグリーンの上衣を着たバートンが、小声で告げたのを合図に、馬車が走りだした。


 ◇


 貴族にとって、狩りは社交の場。

 女性は狩りをしないが、その様子を安全な場所から見守ることになる。


 ロゼッタの父親は画材屋を営み、母親は教師をしていた。いわば文系で、この世界でスポーツに分類される狩りをした経験はない。当然だがロゼッタもバートンも、狩りに行ったことがなければ、見たこともない。


 狩りをする男性は馬で森の中へ入り、実際に獲物を狩る時は、馬を降り、対象の方へと近づく。


 観覧する女性陣も馬に乗り、森の中へ入る。そして距離をとり、その様子を見守るわけだが。


 ロゼッタは子供の頃に、乗馬体験をしたことがあるぐらいだった。そこでポニーに乗り、馬丁が付き添い、森の中を進んだ。そして狩りをする男性陣の様子を見て、目を輝かせている。


「ナタリーお嬢さん、デグランのお兄様、めっちゃかっこいい! シアン色の上衣もお洒落だし、明るいグレーのマントも王子様みたい! その姿で槍や剣をこう使っていると、本当に素敵ですね!」


 ロゼッタは絶賛しているが、その気持ちはよく分かる。


 デグランの兄レナードは、二卵性双生児。容姿はデグランというより、ルグスに似ている。つまり体格がいい。よって槍や剣で獲物にとどめを刺す時にこそ、大活躍する。


 レナードが槍や剣を振るう姿は、迫力があった。何より「仕留めた!」と拍手も起こるから、ヒーロー感が半端ない。


 だがしかし。


 私は静の美学を好む。


 デグランは料理人として、最高の食材を求め、時に狩りや漁もするという。とはいえ、平民として育った。剣術など習ったことがない。槍も一応できるらしいが、得意なのは弓矢。


 よって離れた場所の獲物に向け、集中力と瞬時の判断力で狙うのだけど……。


 その真剣な眼差し。


 グッと歯を食いしばり、弓を引いている時の緊張感。

 矢が放たれ、フッと全身から力が抜けた時の、柔和な表情。

 矢が命中した時の笑顔。


 一連の動作を静かに成し遂げた時のデグランは……これはこれで素晴らしいと思う!


 さらにデグランの活躍は、これでは終わらない。

 仕留めた獲物を公爵家の料理人と共に素早く捌き、昼食に備える。


 狩りを終え、森から狩猟館しゅりょうかんへ戻ると、デグランの父親と兄が身を清めている間。デグランは調理作業を進める。狩猟館とは、森の近くに建てられた、狩りをした貴族達の休憩所。寝泊まりもできた。入浴設備も整っており、調理スタッフもいる。でもそこはさすがポートランド公爵家。使用人を何人も連れてきており、慣れた彼らがテキパキと動き、昼食に備えている。


 一方のデグランは、狩猟館の庭で、獲物の下処理を終えると、厨房へ向かう。


 庭園にいる私とロゼッタは、厨房の窓から中の様子を伺った。


 すると。


 公爵家の料理人には当然、シェフがいる。それと分かる目立つ帽子もつけていた。だがマントをとり、借りた白いエプロンをつけ、どう見ても若造にしか見えないデグランの指示通りに動いている。


 大人数の料理を短時間で用意するには、その場を仕切り、的確な指示を出せる人間が必要だった。そこは公爵家のシェフがしていいのだろうが、デグランは先手、先手で動き、指示を出す。よってシェフは後手に回り、気づけばデグランの指示に従い、動いている状態だった。


 ではその状態にその場にいる料理人たちが「なんなんだ、この若造は!」となっているのかというと。そんな様子はない。皆、笑顔なのだ。


 声は聞こえない。


 でも多分、デグランは手を動かし、体を動かしながら、時にジョークも交えているようだ。そして手が停滞している料理人がいれば声をかけ、アドバイスをする。そのことで料理完成に向け、皆が一丸で動く状態を作り出していたのだ。


 デグランはまるでオーケストラの指揮者ね。


 こうしてお昼には、庭園に設置されたテーブルに、王宮に並ぶような見事なジビエが料理が用意された。

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