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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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職業病だなぁ。

 翌日。


 オープン前の恋愛相談カフェ「キャンディタフト」には、デグランと……見知らぬ少女がいる。


 でも少女の容姿からピンとくる。彼女はバートンの妹なのではないかと。左側で束ねられ、三つ編みにされているその髪の色は、オリーブブラウン。バートンと同じ黒い瞳をしている。シャーベットグリーンの明るいワンピースにクリーム色のエプロン。


「初めまして、ナタリーお嬢様! 私、バートンの妹のロゼッタといいます。今日はカフェのお手伝いをしつつ、恋愛について勉強してこいと言われ、お邪魔しました!」


 明るい笑顔のロゼッタは、現在、十九歳。そろそろ結婚してもいい年齢だったが、恋人はいないという。それどころか一階が画材屋、二階が自宅と、前世でいう毎日家と職場の往復をしている状態。


 つまり出会いがないということ。


 貴族たちはやれ舞踏会だ、晩餐会だ、サロン、狩猟だと、なんだかんだで男女の出会いの場が沢山ある。年頃になると縁談話も積極的に動く。それには家同士の政治的な思惑が多分に働くのだけど。


 一方の平民はというと、教会、季節ごとにある祭り……などもあるが、親の紹介や近所の同年代となんとなく婚約して結婚が主流だった。


 気づけばロゼッタの周囲の女友達・男友達は婚約しているが、当のロゼッタは相手がいない。


 そんな状況なのだという。


 それでも今のところ、画材屋の仕事もあるし、ご両親はのんびりしているようで、急かせることはない。一番心配しているのは、バートンのようだ。恋愛とは無縁の毎日、せめて誰かの恋愛相談を耳にするだけでも、何かが変わるかもしれないと考えたらしい。


 かつ、私をサポートすると約束してくれたこともあり、こうやってロゼッタを派遣してくれたのだと思う。


 私としては、一歳年下のロゼッタが手伝ってくれるのは、妹ができたようで、嬉しい。


 大歓迎だった。


「カフェの準備は完了だな。じゃあ、これな、昼飯」


 カウンターにスツールを並べ、ティーアーンを置いて、パウンドケーキやクッキーを用意。ティーセットを準備し、竈に火を入れ、お湯を沸かしている。ティーアーンの紅茶は、開店直前にセットするつもりだ。


 そういった支度が終わると、デグランが特別にまかないとして用意してくれていたのは……。


 バゲットに、ローストビーフとリーフレタスがサンドされたもの、ハムとチーズを挟んだもの、スライスしたタマゴとスモークサーモンをサンドしたものが、籠の中に収められている。たかがバゲットサンドなのに、まるでエフェクトをかけたかのように、具材が美味しそうに見えた。


「いただきます!」ということで、食べてみると……。


 まず、バゲットが美味しい! 外はカリッとしてサクサク。でも中は柔らかい。ローストビーフは香ばしく、ジューシー! 余計な脂はなく、コクのあるソースとの相性が抜群だ。勿論、バゲットにもあう。


 間違いない。これは宮殿の舞踏会の軽食コーナーで食べるような、最高級ランクのローストビーフだ。でも街中でここまでの牛肉、どうやって手に入れたのかしら?


 チラリとデグランを見ると、口の端にパンくずをつけた彼が、ニコリと笑う。


「どうだ、旨いか?」

「美味しい! これを食べることができた私、ラッキーだわ! 何せデグラン、滅多に料理、作らないのでしょう?」


 余程美味しく感じたのだろう。ロゼッタが私の代わりに答えている。

 でも私の感想もロゼッタと同じだから、まさに気持ちを代弁してもらえた感じだ。


「ロゼッタ。バートンはちゃっかり、パブリック・ハウスのオープン前に顔を出して、俺のまかないを横取りするぞ。まあ、でもロゼッタはまだ十九歳だからな。お酒を飲めるようになるまで、お預けだ」


 そう言ってデグランがロゼッタの頭にぽすっと手を乗せる。「もー、デグランの料理を食べているなんて! お兄ちゃん、ずるいなぁ」とデグランを見上げて笑うロゼッタ。なんだか二人が兄妹みたいに見える。


「ナタリーお嬢さんは、どうだ」


 デグランの瞳が私へ向けられる。

 ロゼッタと絡みながらも、ちゃんと私を気にしてくれるのは……。さすがパブリック・ハウスのマスター。お客さんの様子を気にしていないようで、気にしている。まさに気遣いのプロだわ。


「このローストビーフが絶品で驚きました。ただ、どうやって高級な牛肉を手に入れたのか。そこが気になりました」


「ははは。無理だよ、そんな高級な肉を手に入れるのは。安い肉でも美味くする方法はある。例えば、このローストビーフは三時間近くかけ、低温調理した上で、さっと焼きをつけたんだよ。そうすると表面はいい焼き色がついて、中は旨味がたっぷりだ」


「最高級の食材だからこそ、至高の逸品が生まれるわけではないのですね……」


 思わず唸ると、デグランが「さすがナタリーお嬢さん。美食家のようなことを言うな」と笑う。


「安い物でも調理やソース次第で美味しく食べられるものさ。高ければ旨いは当たり前。安くても美味くなる――これが俺の真骨頂、なんてな」


「あー、デグラン、かっこつけてる~」


 ロゼッタが肘でぐいぐいデグランの脇腹を押し、「おい、やめろ、ロゼッタ」と身をよじっている。どうやら脇腹はウィークポイントらしい。


 そんな様子を見るにつけ、やはりデグランとロゼッタは本当に仲がいいなぁと思う。


 それもそのはずだ。聞いたところ、デグラン、バートン、ロゼッタは幼なじみだった。

 お互いのことをよく分かっている。


 なんだか楽しそうでいいなぁ。


「どうした、ナタリーお嬢さん、ぼーっとして。ほら」


 不意にデグランが私の口に、セロリのピクルスを放り込む。

 このピクルスもまた、酸味が強すぎず、白ワインのあてにしたいぐらい美味しかった。


 料理上手な人っていいよね……。


 前世でも料理男子は人気だった。

 結婚相談所に入会する高学歴高収入未婚女子会員は、料理上手男子、家事積極的男子を求めていたわね。……その一方で、容姿への条件も蓋を開けると高い。容姿も良く、料理上手、家事に積極的な男子が、結婚相談所に登録するわけがなかった。いてもそれはバツイチ(モテるから不倫や浮気で離婚した可能性大)か、とうに売り切れ御礼なわけで……。


 うまくマッチングさせるのが大変だったわ。


 そんなことを思い出しながらも気づいてしまう。


 この転生した世界、貴族の令息は料理なんてしない。

 あ、狩猟好きな令息は、狩った動物を捌き、基本焼くで豪快な肉塊料理をたまに作ったりする。でも繊細な味付けなどないわけで。


 あれ?


 デグランって、家事というかいろいろなことに協力的でしょう。モブだけど容姿は攻略対象並み。そして料理上手。


 あー、会員の珠美さんにデグランを紹介したら、泣いて喜ばれそう。


 転生しても担当した会員の縁結びを考えるなんて、職業病だなぁ。

 思わず苦笑していると。


「……!」


 なんだか笑顔でこちらを見ているデグランに、ドキッとしてしまう。

 モブなのにデグランは、サーファーみたいで笑顔が爽やか。

 ヒロインの攻略対象でもないのに、顔面偏差値が高すぎだわ!


 そんなこんなで楽しいまかないを食べた後は。


 いよいよ恋愛相談カフェ「キャンディタフト」のオープン時間だ。

お読みいただき、ありがとうございます!


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