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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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大爆笑

 アズーラ森林公園は、人工的に作られた森だ。


 池があり、川もあり、さらに果樹園や野外音楽堂もあった。そしてその人工池が今の季節、凍っている。元々、池の水深は一メートル弱しかなかった。よって一度凍るとなかなかとけにくく、さらに気温が低い日が続き、池の表面は完全に凍り付くことになる。これを利用し、この季節、スケートリンクが運営されていると、デグランは教えてくれた。


 なぜこんなに詳しいのか?


 デグランはバートンやロゼッタと共に、子どもの頃、毎年一度はこのスケートリンクに足を運んでいたのだという。三十分滑ったら、蜂蜜たっぷりのホットミルクを飲む。そして再び三十分滑ると、もう一度蜂蜜たっぷりのホットミルクを飲み、終了。馬車乗り場までの帰り道は、屋台で焼き栗を買ってもらったり、クレープを食べ歩きしたりするのが、定番だった。


 つまりここには、デグランの幼い頃の思い出が詰まっている。

 そんな場所に案内されたのかと思うと、なんだか嬉しい。


「なぜか帰り道で食べた焼き栗やクレープが、忘れられないんだ。そこまで手の込んだものではないし、絶品ではない。でもさ、妙に美味しく感じる。ただ、蜂蜜入りのホットミルク。あれは本当にうまかった。この公園の近くに牧場があるから、鮮度も抜群だからな」


 デグランの言いたいことはよく分かる。私も初詣の屋台で食べたリンゴ飴や焼きそばが、とても美味しく感じ、毎年のように食べていた。あのにぎわいと香ばしい匂い。寒いからこそ、焼きそばの温かさが胃袋にしみる。


「さて。スケート靴と、手袋と毛糸の帽子をレンタルしよう」


 池を利用したスケートリンクに到着していた。


 平日の午後だが、結構人がいる。大人も子供も、みんな楕円を描くようにして滑っている。


 デグランは、スケート靴の履き方がよく分かっていない私のために、その場に跪く。そして丁寧にスケート靴を、履かせてくれたのだ。これには申し訳ないやら、ドキドキが止まらない。


 この世界では、足を見せる習慣がないから、そもそも異性に足を触れさせることが少ない。その感覚にすっかり馴染んでしまったので、必要以上にドキドキしてしまった。だが本当のドキドキは、これからだ。


「デ、デグラン様、こんなので歩けるのかと思ったら、一応歩けています。ですがこれで氷の上って……滑る気がします!」


 いよいよスケートリンクに出るとなった時。

 私が今の発言をすると、デグランは大爆笑している。

 「ヒドイ!」とぼやくと、デグランは尤もな指摘をした。


「だってナタリーお嬢さん、スケートは滑るんだよ。滑らないと困るだろう?」


 これにはもう「あああああ」と叫びたくなる。その通りでした!


「ほら、大丈夫だから。俺に掴まって」

「わ、分かりましたっあっ!」

「平気、平気、それでいいから」

「ぜ、絶対に離さないでくださいねっ!っうわぁっ」


 もうそこからは大変!

 ツルツル氷の上は滑るから、デグランにがっつりつかまってしまう。デグランは「そう力まなくていいから」と言うけれど、それは無理な話で……。


 ワーワー、ギャァギャァ格闘すること三十分。

 かなり滑ることができるようになっていた。


「デグラン様、楽しい……!」

「それはよかった。この後、休憩したら、手をつないで横並び滑ってみよう」

「はい!」


 そう返事をまさにした時。

 「うわあああああ」という叫び声。


 これは間違いなく、三十分前の私。お仲間さんの気配を感じる。そう思い、後ろを振り返ると。十歳くらいの男の子がこちらへ向かってくる。咄嗟に避けられないと思ったら、デグランのおかげで避けることができた。デグランはさらにその男の子のことも受け止める。


 デグラン、すごい!


「お兄さん、ありがとうございます!」


 子どもはもう、大喜び。

 そこへ男の子の姉妹がやって来た。「お兄ちゃん、へたっぴ~」と散々からかい、そして三人は私達に手をふり、移動していく。


「危うく転と……」


 これは何か法則がありそう。


 フラグを回避できたと思ったら、別のフラグが立っており、それがバッチリ直撃することになる……。

 まさかのここで私は何かにつんのめり、デグランを下敷きに思いっきり転倒してしまう。


「ご、ごめんなさい!」

「平気、平気。受け身取ったから、頭もぶつけていないから」


 そこで素早く上半身を起こしたデグランは、リンクの上を見る。


「あ、あれ、革の手袋の落とし物だ。あれにスケート靴が引っかかんだよ、きっと」

「なるほど。どけた方がいいですよね」

「そうだな。まずは立ち上がらないと。いけるか?」

「はい」


 「はい」と言っているのに、またも滑ってデグランの腕の中に逆戻り。「すみません!」と慌てると、またもつるん。動揺する私をデグランがぎゅっと抱きしめた。


 デグランのつける香水を感じ、胸が高鳴る。


「ナタリーお嬢さん、一度落ち着こう」

「そ、そうですね」

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