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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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素敵なサプライズ

 案内された母屋には、近道になる庭園を経て、建物の中に入った。通り抜けた庭園には、沢山のポインセチアが並んでいる。ストロベリーツリーには、白や淡いピンクの花が咲き始めていた。


 母屋の中に入ると、そこは歴史を感じさせる重厚な作りになっている。年季を感じさせるが、階段の手すり一つとっても綺麗に磨き込まれていた。


 廊下には甲冑が飾られていたかと思えば、彫像が置かれている。壁には巨大な絵画も飾られていた。もはや屋敷の廊下というより、美術館のように感じてしまう。


 「こちらです」とメイドに言われ、立ち止まった両開きのドアは、横幅もあり、とても大きい。メイドが扉をノックすると、すぐに開く。内側で待機するメイドが扉を開けたようだ。


 眩しい……!


 ダイニングルームは、日当たりのいい部屋だった。室内に射し込む陽光で、とても明るく感じられる。長方形のテーブルには、白いクロスが敷かれ、美しい花と果物が並び、グラスと銀食器、カトラリーが並べられていた。そこには既にポートランド公爵夫妻と二人の息子、そしてデグランが着席している。


 席から立ち、「よく来てくださりました。シルバーストーン伯爵令嬢」と微笑むポートランド公爵を観察しながら、私はその場で自分の名前を告げ、カーテシーで挨拶をする。


 ポートランド公爵の容姿は、デグランにそっくりだった。髪、瞳、肌など、デグランと瓜二つだ。癖毛の髪は、デグランのように後ろで一本に結わいているが、長さがあるので音楽家のようにも見える。着ているセピア色のフロックコートは、髪色との相性もよく、とても似合っていた。見れば見る程、年を重ねたデグランを見ているみたいだった。


 そのポートランド公爵の左手斜めの席に座るのが、ポートランド公爵夫人だ。


 想像通りの柔和で柔らかい顔している。髪はオリーブブラウンで、深みのある落ち着いたグリーンの瞳をしていた。その瞼が腫れぼったいのは間違いない。大泣きした証拠だろう。そしてサーモンピンクのドレスは、彼女の優しい雰囲気にピッタリだった。


 そのポートランド公爵夫人の対面に座り、顔をこちらへ向けているのが、次期当主であり、デグランの双子の兄だ。デグランと同じ髪と瞳の色。引き締まったその体躯はデグランに似ているが、髪は短髪で、目つきはキリッとしている。キリッとしているが、怖い感じはない。デグランとは二卵性双生児なのだろう。着ている濃紺のセットアップもよく似合っており、嫡男らしい堂々としたオーラに溢れていた。


 その兄の隣に座り、小顔を私の方へ向けているのは、デグランの弟だ。まだ幼く、髪は女の子のように長い。髪と瞳の色はデグランと同じ。その雰囲気と表情はまさに母親似だ。優しそうな少年。シナモン色のスーツも良く似合っている。


 デグランは母親であるポートランド公爵夫人の隣に座り、射し込む陽光と同じくらいにキラキラとした笑顔で私を見ていた。


 もうその表情で分かってしまう。


 父親と、そして家族との対面はうまくいった。さらに言えば、想像より全員、いい人に違いないと思えた。それは彼らの表情を見れば分かる。誰一人、作った表情ではない。きっと「よく会いに来てくれた!」という喜びの気持ちで、デグランを迎えてくれたのだろう。


 デグランはその笑顔のまま、父親に声をかけ席を立つと、私のところへやってくる。


「ナタリーお嬢さん、驚かせてしまい、すまない。でも来てくれてよかった。一緒に、食事をいただこう」


「ありがとうございます。素敵なサプライズでした」


 デグランにエスコートされ、彼の隣に座ると、早速昼食がスタートだった。次々に運ばれてくる料理は、私的な昼食会の域を超えていた。もう晩餐会並みにゴージャス。フォアグラ、トリュフ、キャビアと高級食材が惜しみなく登場。特に鹿肉のシチューは絶品であり、この日のために、ポートランド公爵がわざわざ狩りに出たのだという。


 そうなのだ。ポートランド公爵は、病気などではない。健康そのものだった!


 ではなぜ病気だと嘘をついたのか。

 どうして兄である国王陛下にすがりついたのか。


 それは宮殿に行った時に、たまたま耳にした王立騎士団の騎士達の会話まで遡る。


 二人の騎士はこんな話をしていた。


「街中にも名店はあるのだな。副団長はどうやってあのお店を見つけたのだろう? 看板メニューの『マシュマロサンドパンケーキ黄金ゴールドパウダーの蜂蜜かけ』は、実に絶品だった」


「ああ、本当に。俺は蜂蜜ではなく、ブラックシロップ掛けにしたが、こっちも美味しかったぞ。次回は蜂蜜がけだな」


「だが席が五席しかないからな。空いている時間を見計らって行くとなると、任務との調整が難しい。まあ、夜勤明けが狙い目かな」


 妻が甘い物好きであるポートランド公爵は、この会話を聞いて、「マシュマロサンドパンケーキ黄金ゴールドパウダーの蜂蜜かけ」に大変強い興味を持つことになる。妻に知らせたら、きっと行きたいとなるだろう。そこで思わず、目の前を歩く騎士に尋ねてしまった。


「そのパンケーキは、どこのお店で食べることができるのか?」と。

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