表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/372

なーに言ってんだよ!

「俺のことを、ポートランド公爵夫妻の実子であると、きちんと認めたい。俺はポートランド公爵家の一員であり、もしもの時は、ちゃんと財産を受け取れるようにしておきたい。できれば会いに来て欲しい――ということだった」


「なるほど……。きっと心残りであり、お詫びしたい気持ちがあるのですね、ポートランド公爵には」


 デグランが私を見て頷く。するとロゼッタがこんな疑問を提起する。


「自分の子どもだと認める。それはいいと思う。でもさ、他の兄弟はどうなの? 急に兄弟ができること、どう思っているの? デグランの双子のお兄さんとか、他に姉とか妹とか弟はいないの?」


 それは確かにそうだ。特に財産うんぬんの話になった時、揉め事になりそうだと思った。


「兄の他に弟がいると聞いているな。双子の兄と、あと弟。この二人がどう思っているかは……分からない。そこまではさ、さすがに国王陛下も聞いていないと思う。ただ母親はずっと、俺のことを気にしていたって。どこの孤児院に俺が預けられたか分からないから、王都の孤児院という孤児院に、毎年多額な寄付をしていたって」


 ポートランド公爵も、さすがに国王陛下には話していないのね。自分の他の子ども達が、デグランをどう思っているかを。でもそれはそれで当然だと思う。むしろデグランは、この話を聞いて、どうするつもりなのかしら? それにこの話を聞くと、ポートランド公爵よりも、母親の方に会いたくなるのでは? この私の疑問は、バートンがデグランに尋ねてくれた。


「それでデグランは実の父親に会いに行くのか? 今の話を聞くと、僕は俄然、母親の方に会いたくなった。顔を見せて、『母さん』って、抱きしめてあげたくなるな……」


 するとデグランも「そうなんだよ」と笑う。


「俺も親父というより、お袋に会ってみたい……と思っている」


 デグランが答えると、バートンが間髪をいれずに尋ねる。


「母親だけに会うわけにはいかないだろう? ポートランド公爵とも絶対に会うことになるだろうし、兄弟も紹介されるかもしれない。会いに行って、話をして……ポートランド公爵家の一員になるつもりなのか、デグラン?」


 公爵家の一員になるということは、ここを出て公爵家の屋敷で暮らすということになる。そうなったら当然、パブリック・ハウス「ザ シークレット」は終了だ。


 公爵家の一員になったら、デグランはここを離れる。


 宮廷料理人にならなくても、やはり「ザ シークレット」はなくなるということ……? いや、宮廷料理人の件は、まだ分からない。


「家族には会いに行って、公爵家の一員と認めてもらうつもりだ。これまで俺のルーツは不明で、自分が何者だったか分からなかった。両親や兄弟と呼べる存在があるなら……それはさ、やっぱり憧れるよ。家族が欲しいと思うのは、人間として自然なことだろう?」


 それはその通りだ。


 私は転生者だが、ちゃんと両親がいてくれて、ここまで育ててくれた。縁談話では少しこじれたが、最終的に仲直りできている。家族がいることは、なんだかんだで心強い。


「じゃあ、公爵邸で家族と暮らすんだね」


 ロゼッタが少し泣きそうな声でそんなことを言うと。


「なーに言ってんだよ!」とデグランは笑い、ロゼッタのおでこを指で押す。


「家族と認めてもらうけど、公爵家の屋敷で暮らすつもりはない。今の生活を変えるつもりはないよ」


 これには思わず、バートン、ロゼッタ、私から安堵のため息が漏れる。

 そしてデグランはこう締めくくった。


「それに財産もいらない。それで兄弟と揉めるなんてしたくないし、俺には『ザ シークレット』もあるんだ。これまでも、これからも、ちゃんと生きていける」


 デグランらしいと思った。


 まさに棚ぼたみたいな話。しかも父親の勝手な判断で、孤児院に預けられたのだ。それを盾に財産を、バッチリもらうこともできた。そうすることも間違いではないだろう。だがデグランは、それを望まなかった。波風を立てるつもりはなく、ただ家族が欲しいと願ったのだ。


 しかも「俺には『ザ シークレット』もある。これまでもこれからも、ちゃんと生きていける」という言葉が胸に迫る。きっと幼い子供の頃、何度も家族を求め、でも諦めた。一人で生きて行くしかないと、唇を噛みしめたはずだ。それを思うと……。


 「よく頑張ったね、デグラン!」と抱きしめたくなってしまう。

 私と同じように感じていたのだろうか。バートンは遠くを見つめ、ワインを飲み干している。ロゼッタは俯いてテーブルを見ていた。


「おいおい、みんな、しんみりしないでくれ。俺の家族が見つかったんだ。お祝いしてくれよ。ほら、これ、もうなくなるから、乾杯しよう。ロゼッタも白ブドウのジュース、おかわりしていいぞ」


 それぞれのグラスとコップに、飲み物が満たされる。

 するとバートンが音頭をとってくれた。


「デグラン、両親と兄弟が判明して、よかったな。おめでとう。そして……変わらずデグランがここにいてくれることに、乾杯」


「「「乾杯」」」


 やっぱりバートンも、デグランがここにいてくれることを嬉しく思っているんだ。


 それが分かり、なんだか私も嬉しくなる。

 だが、そこで大切なことに気が付く。


 宮廷料理人の件は、どうなったの!?と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ