表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/372

ほろ酔いも吹っ飛ぶ

「順調なのに、お店を止めちゃうなんて。おかしいよ、デグラン」


 本当にその通りだと思った。


「あ、もしかして、ナタリーお嬢様に、あの場所を譲ると決めたのかもしれませんよ」


「え、どういうこと!?」


「だってカフェ『キャンディタフト』は、この短期間で常連さんもついて、公爵家のお墨付きもいただいたんですよ。王妃殿下まで『美味しい』と言っていたんです。午後の数時間の営業だけでは、もったいないじゃないですか。お酒こそ出さなくても、夜に珈琲を片手に議論をする貴族も増えていると言いますよね? 夜のカフェは、それはそれで人気が出そうですよね?」


 それはその通りだと思う。


 舞踏会や晩餐会の帰り、ちょっと立ち寄り、もう一杯飲みたい時、パブリック・ハウスはとても役立つ。その一方で、お酒はもういいから珈琲か紅茶を飲みたい……という需要はあると思う。さらに前世の締めラーメンではないが、最後にケーキと珈琲を飲みたいという背徳令嬢も結構いるのだ。


 そういった意味でカフェを夜も開けるというのは……一つの手ではあった。


 手法の一つではあるが、だからといってそれでデグランが店をやめ、宮廷料理人に戻る必要はない。むしろ夜営業をするなら……デグランと一緒にやりたいくらいだった。


 よってロゼッタの今の言葉には、否定を表明することになる。

 そしてパブリック・ハウスで賑わうエリアが終わり、ロゼッタの自宅兼画材屋がある通りに入った。


「確かに夜カフェの需要はあると思うの。でも私はこれでも貴族の令嬢だから。さすがに深夜に帰宅は、両親が気にすると思うの。舞踏会や晩餐会に出席しているなら別よ。でも商売をしているとなったら……。貯金は少しずつしているけれど、でもまだ屋敷を飛び出すほどではないの。だから夜カフェは無理よ」


 さらに二つの考えもロゼッタに伝える。


「仮に両親の理解を得て、夜カフェの営業ができるようになったとしても。そのためにデグラン様に店をやめてもらい、その時間もカフェを営業させてください――なんて、提案できないわ。デグラン様は私にとって恩人であり、大切な仲間で友達よ。そんなひどいことをしないわ」


「それはそうですよね……。そう、なんだ。ふうーん」


 なんだか後半の「ふうーん」に含みがあり、少し気になるものの、話を続ける。

 画材屋の建物が見えてきていた。


「もしデグラン様が、夜カフェを営業した方がいいと考えてくれたとして、その場合は私にまず、アドバイスしてくれると思うの。いきなり『俺は店をやめる。宮廷料理人に戻ることにしたから、夜もカフェの営業をやったら?』――なんて強引な提案はしないと思うのよ。よって私に譲るために、宮廷料理人に戻ることにしたというのは、違うと思うの」


「いきなり『明日から夜カフェやんなよ』はさすがにないか……。デグランなら、まずアドバイス……。そうですよね。でもなら、どうしてなんでしょう? なんで急に宮廷料理人に? なんかまとまったお金が必要になったのかなぁ」


「でもデグラン様は投資もしているし、財産はそれなりにあると、バートン様が言っているのを聞いたわ」

 それには「そうなんですよねー」とロゼッタが唸ったところで、画材屋の前に到着した。すでに店は暗く、扉には「Close」の札が下げられ、カーテンも引かれている。


「あ、分かったかもしれません!」


「え、そうなの!?」


「だってデグランは、財産はあるから。あと足りないのは……。でもなぜそれが欲しいと思ったのかしら?」


 ロゼッタは謎解きが一段階進んだようだが、私は何も分からない。


 ヒントを求めると「ヒントなんてないですよ。もうすぐ分かっちゃいます」と言われ、最終的に「今度会う時まで、考えてみてください~」と言われてしまった。


 こうしてロゼッタとわかれ、屋敷に戻る馬車の中でも考えたが、まったく分からない。白ワインとシードルと二杯も飲んでしまい、ほろ酔いだったせいもあるだろう。


 だが……。


 離れにつき、いつも通りエントランスホールに入ると、そこには侍女とメイドと従者に加え、両親もいたのだ。


 これにはほろ酔いも吹っ飛び、顔が青ざめそうになる。


 もしや縁談を断り続けたことに業を煮やし、この場で勘当を言いわたされるのだろうか。さっきロゼッタに話した通り、自立するにはまだお金の蓄えが十分ではない。


 ううん、そんなことを言っている場合ではないんだわ。

 こうなったら手持ちの宝石をいくつか質にいれて……。


「ナタリー、疲れているだろう。長話をするつもりはない。応接室で、三人で少しだけ話せるかい?」


 父親に問われ、「それはちょっと」と思うが、後回しにしても仕方ない。

 今晩でなければ明朝か明日の夜に話すことになるだろう。

 それでは私の状況は、劇的には変わらない。

 よって私の答えは「分かりました」だった。


 もう心臓が不協和音を奏で、落ち着かない。


 こちらから話したいことがあると言って、勘当されるのを覚悟で両親と話す場合。

 急に現れて話があると言われ、両親から勘当を告げられる場合。


 同じ勘当されるでも、私に与えるインパクトは、雲泥の差があると思う。


 慌てて勘当後の生活の算段を立てる。


 街の一番安い宿に泊まるのがいいのか。

 それとも格安で部屋の間貸しをしている人を探した方が、安く済むのか。


 こうなったらデグランに頼み、パブリック・ハウス「ザ シークレット」でバイトさせてもらおうかしら……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ