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転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
 

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持ちつ持たれつ

 それからしばらく。

 平穏な日々が流れた。


 イエール氏は週に三回、セーラの個人授業を受け持つようになった。


 それは平日二日と日曜日の夕方ということで、カフェへ顔を出す頻度は減ったものの。セーラの屋敷へ行く前に、紅茶一杯飲むために顔を出したり、忙しい時はパウンドケーキをテイクアウトで買ってくれたりと、なんとかカフェに立ち寄ろうしてくれた。


 そんなに頑張らなくても、もはやイエール氏の他人への興味なしは、克服されていると思った。それでも義理堅いというか、ちゃんと足を運んでくれる。とても良いお客さんだった。


 ちなみにイエール氏は、セーラの個人授業を終えた後、デグランのパブリック・ハウス「ザ シークレット」にも顔を出しているという。


「常連さんに、王立植物学研究所の職員や、国立美術館の職員もいるんだよ。彼らと話すのが、イエール先生は楽しいようだ」


 イエール氏が度々顔を出す理由を、デグランはそう教えてくれた。


 さらに。


 アレン様も忙しい日々だと思うのに、上級指揮官を一人連れ、来店してくれたのだ!


 上級指揮官は、副団長配下に十人いて、地方に五名、王都に五名が配備されていた。その五名のうちの一人だから、大変エリートであり、お堅い雰囲気の武人を想像してしまうかもしれないが、違う!


 銀髪にグレーの瞳で、その風貌は……ホッキョクグマみたい。体格が非常によく、私が突進したら、尻もちをついて終わりに思えた。お店のスツールでは小さすぎて、かつ耐久的にどうかと思うぐらい、立派な体躯をしている。


 一見するとたじろぎそうになる風貌だけど、性格はとても温厚。そして甘い物が大好き!


 看板メニューの「マシュマロサンドパンケーキ黄金ゴールデンパウダーの蜂蜜かけ」は、それなりのサイズなのに。このヒューゴ上級指揮官の前では、とても小さく見えてしまう。


 そんなアレン様とヒューゴ上級指揮官が、パンケーキと紅茶を堪能し、店を出て行った後。

 ロゼッタと私で二人を見送り、カウンターの方へ戻る。

 するとデグランが、私に声をかけた。


「明日、ちょっと用事があるから、休みをもらっていいか?」


 この世界では前世のように、休みの取り方が厳密ではなかった。よってデグランのように、前日に休みたいと言ってくれるのは、かなり良心的。当日に「今日、休むわ」なんてこともよくあることだった。


 だから私はデグランの申し出に「いいですよ」と即答。するとロゼッタが「じゃあ、明日は私が一日手伝うよー」と言ってくれた。


 こんな風に持ちつ持たれつが当たり前だったのだ。


 そして翌日。


 早速カフェのオープン前にやってきたロゼッタは、開店準備をしながら、こんなことを言いだした。


「ナタリーお嬢様は、デグラン、どこに行ったと思います?」


「え?」


「デグランって、『ザ シークレット』の営業を終えたら、すぐにバタンキューが基本でしょう。でもどうしても欲しい食材があると、数時間で目覚めて、市場まで行くんです。それで欲しい物を手に入れて、また寝る。そして起きたら料理を作る。それがこれまでのパターンなんですよ」


 スツールをカウンターの前に並べながら、ロゼッタは話を続ける。


「どこかに遠出したり、日中長時間家を空けたりする時は、お兄ちゃんや私に行き先を告げて行くんです。デグランは独り身ですよね。もしもの時に、周囲の人に心配をかけないために、行き先を教えてくれるんです。でも今回どこに行くのか、お兄ちゃんにも私にも、伝えていないんですよ~」


 デグランがカフェを休み、何をしているかなんて、気にしていなかった。


 でも行き先をバートンとロゼッタにこれまで伝えていた……というのは納得だった。確かにそうでもしておかないと、何かあった時、行方不明で死亡扱いされかねない。


 ただ行き先を告げずに出かけたということは、どこへ行ったのか知られたくないということだ。


 どんな場合に行き先を告げないのだろう?


 今の私であれば、このカフェへ行くことは、家族には知られたくない。あとは……。


「あ、あれではないかしら? 恋人に会いに行く」


 私が思い付きでそう言うと、ロゼッタは「えっ」と焦る。


「え、デグランに恋人!? 好きな人はいても、恋人はいないと思ったのに」


 今度は私がロゼッタの言葉に、ドキッとして焦ってしまう。

 デグランには好きな人がいるんだ……と。

 恋人に会いに行ったのかも、なんて言っておいて。

 好きな人がいるかもしれないと分かると、ドキッとするなんて、私、どうして……。


 そこでロゼッタがハッとして扉を見ている。


 なんだろうと振り返り、私はギョッとしてしまう。

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