表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらモブだった!異世界で恋愛相談カフェを始めました  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/372

プロローグ

 大学時代に付き合っていた彼とは休みが合わず、すれ違い、結局別れてしまった。以後、自由な時間にいつでも会える彼に、ハマるようになる。その彼は、拗ねるけれど、絶対に怒らない。いつも優しい言葉をかけてくれて、甘えてくれる。そんな彼がいるならその相手と結婚すればいいのでは?と思うでしょう。


 でもそれは無理な話。


 だって、その彼は、乙女ゲームの攻略キャラの男子だから……!


 はぁ。

 アラサーだよ、なんて言っていた日々が懐かしい。

 とっくにオーバーサーティー。


 そう。あっという間だ。時間が経つのは。

 結婚相談所のコーディネーターを始めてもう十年も経ってしまった。


 多くの男女の建前と本音を聞きながら、縁結びを続けた結果、肝心の私は独身街道を一直線だった。なぜなら婚活無料相談の予約は、平日なら夜、土日は朝から夜まで入って来るのだ。そのお客様の相手をしていたら、自分が恋愛している時間なんて……皆無!


 まったく、皮肉な話だなぁと思う。

 他人の結婚相手探しに奔走して、肝心の私がこんな状態なんて。


「あははは、かなちゃん可愛い~」

「もう、康太くんってば!」


 週末の夜は、恋人たちが楽しそうに手をつないだり、腕を組んだりして、キラキラした街の中へ消えていく。一方の私は、疲れ切った体を引きずるようにして、家路を急ぐ。手にはスマホを握り締めている。


 オフィスを出て、エレベーターが来るのを待っている時。スマホの通知画面に、乙女ゲームの攻略キャラの彼から、メッセージが届いていると表示された。だがそこで先輩社員がやってきて、会社の最寄り駅まで一緒に歩くことになった。


 先輩は地下鉄、私は私鉄に乗るので、ようやくここで一人になれた。でも信号が変わりそうだから、我慢して、スマホを握り締め、走った時。歩行者信号は点滅していて、横断途中で赤に変わってしまった。そして――。


 ものすごい衝撃を全身で感じ、その後、起きたことは理解できない。


 走馬灯なんて見ることなく、私はこの世界から退場した。


 ◇


 自分が転生したと気づいたのは、赤ん坊の時。

 そこからさらに成長し、三歳の時、ここが乙女ゲームの世界だと気が付けた。私が住んでいるのがコンランド王国の王都コーキュリーと分かった時、聞いたことがある!と思ったのだ。


 コンランド王国が登場する乙女ゲームと言えば、私がハマっていた『秘密のラブ・ロマンス』ではないですか! 交通事故で命を落とす直前、握りしめていたスマホでは、この乙女ゲームの攻略キャラであり、私の推しの騎士アレン・ヒュー・サンフォード副団長からメッセージが届いたと、通知が出ていた。だからだろうか。彼が実在する『秘密のラブ・ロマンス』の世界に転生できたのだ……!


 これにはもう狂喜乱舞。


 もしかして私、アレン様をリアルで攻略できちゃうの!?と、鼻血が出そうだった。


 だが私の名前……。


 ナタリー・シルバーストーン。シルバーストーン伯爵夫妻の次女で、兄と姉が一人ずついた。


 でも知らない名前だった。


 そして窓に映る私は、ピンクブラウンの髪に琥珀色の瞳をしていたが、乙女ゲーム『秘密のラブ・ロマンス』のヒロインは、ストロベリーブロンドで、ピンク色の瞳。悪役令嬢はホワイトブロンドにアメシストのような瞳。


 ここで自分がメインの女性キャラではないと理解する。


 さらに攻略キャラの男子はブロンドやら銀髪で、ブラウン系統の髪と言えば……。


 モブだ。


 そう、モブ!


 せっかく乙女ゲームの世界に転生できたのに!

 メインキャラに絡むことがない、背景用に登場するモブに転生してしまうなんて。


 しばらくは茫然とした。


 でもすぐに思い直すことになった。


 もしもヒロインに転生したら、悪役令嬢とやりあわないといけないのだ。


 職場は女性ばかりで、しかもベテランの女性社員には派閥があり、正直それは……怖かった。つまり女性は敵に回すととても恐ろしいのだ。売り上げがよければ、妬まれた。出る杭は必ず打たれる。男性社員にちやほやされた日には睨まれ、無視され、嫌がらせをされるわけで……。


 女の嫉妬ほどドロドロしたものはない。もう私はひたすら目立たず、静かに生きたいと思ったわけだ。


 そう、そうだ。だからヒロインに転生しないで良かった。それに悪役令嬢に転生していたら、お決まりの断罪回避に奔走することになる。乙女ゲームを楽しみつつ、悪役令嬢もののラノベも読んでいたから、知っていた。悪役令嬢に転生すると、非常に苦労することを!


 神様はきっと、女のドロドロとした世界とは無縁になるように、モブに転生させてくれたのだと思う。


 攻略対象とは絡めないけど、それでいい。

 背景でいい。

 彼らのことを遠くから眺めることができればいいわ……そう思っていたのだけど……。


 驚きの事実に気が付く。


 まず、ヒロインの攻略対象の一人にこの国の第二王子がいる。この国の王族なのだ。超有名人。すぐに彼に関する情報は手に入った。その時、知ることになる。私は第二王子より二歳年上であると。


 そう、そうなのだ!


 モブだからといって、攻略対象と同学年になるとは限らない。


 ヒロインが攻略対象と出会うのは、王立サンフラワー学園。悪役令嬢もみんな同い年で、そこで学び、恋を知り、悲喜こもごもがある。その背景にいるモブは……同学年とは限らない。上級生もいるわけだ。


 つまり。


 同学年でクラスが違う、というレベルではなく、学年が違うのだ。しかも二学年上。学園の三年生ともなると、前世で言う教育実習のような授業も入って来る。座学もあるが、高位貴族のお屋敷でおもてなしを習ったり、晩餐会をコーディネートしたり、淑女たる姿を学ぶことになるのだ。


 つまり学園でメインキャラを拝む機会は……圧倒的に少ないことを悟る。


 せっかく乙女ゲームの世界に転生したのに!


 そこでめげそうになるが、考え方を改める。

 悪役令嬢も大変だが、モブだってメインキャラに巻き込まれ、とんでもない事態になることもあった。結果として、乙女ゲームの世界で、平穏無事を願うなら、すべきことはたった一つ。


 ヒロイン、悪役令嬢――メインキャラと攻略対象の男性陣と関わらない。


 これに尽きる。


 もし悪役令嬢になり、攻略対象とは関わらない!と思っても、乙女ゲームのシナリオの強制力や見えざる抑止力が働き、関わらざるを得なくなるのだ。でもそれは悪役令嬢だからであり、モブには関係ない。


 しかも名前はあるが、私の前世プレイ記憶で、ナタリー・シルバーストーンなんて名前もその姿も一切残っていないのだ。つまりセリフもない、本当に背景モブ。よってメインキャラと関わらないことで、何の影響もないはずだ。


 これをわずか三歳にて悟ると、その後はもう、ここが乙女ゲームの世界であることを忘れることになった。だが成長し、思春期を迎えた時。再び実感するのだ。さすが乙女ゲームの世界であると。


 そう。乙女ゲームは攻略対象がイケメン揃いであるが、モブだってそうなのだ! モブでも令息たちはみんなハンサムに見えた。かつ私も愛らしいと!


 ナタリーは、成長すると小顔で手足は長く、ちゃんとドレス映えする胸のサイズがあり、ウエストもくびれてくれた。ヒップもきちんと上向いてくれている。普通にメインキャラ狙えるかも……という感じで可愛らしいのだ。


 前世では、オーバーサーティーの疲れ気味のおばさんになりかけていたのに。


 ティーンのナタリーは、キラキラと輝いていた。

 社交界デビューも経験し、学園ではたま~にメインキャラを遠くから眺めることもできたのだ。大満足だった。


 ナタリーはこんなに可愛いのだ。そしてモブ令息達も素敵な方ばかり。さすが乙女ゲーム。


 学園を卒業した後、いずれ同じモブ令息と良き縁談話が舞い込むと思っていたら――。


「ナタリー! コーネ・リアン・ポポローゼ男爵から求婚状が届いた。なんと支度金として彼が所有する金山を丸々一つ、進呈すると言ってきたぞ。しかも婚約指輪としてレッドダイヤモンドを用意すると! 他にも金貨を……」


 父親であるシルバーストーン伯爵は興奮気味にそう話しているけれど。

 私は待ってください、お父様!だ。

 なぜって。

 ポポローゼ男爵は、私より三十歳年上のバツイチで、爵位を金で手に入れた成金男爵と言われている。バツイチになった原因も、水面下で囁かれている噂では、下男を無理矢理ベッドに連れ込んだ――はずなのだから!

お読みいただき、ありがとうございます!

続きが気になるという方は、ブクマをぜひお願いします~。

面白そう、もっと読みたいと感じていただけましたら

ページ下部の☆の色を変えての評価もご検討くださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ