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第7話 昼休み

2週間ぶりの投稿だ! 遅い……。

〈結城唯音〉


「光里ちゃん、おはよう」

「……おはよう。唯音」


 教室に入って私はまず光里ちゃんに挨拶をした。眠そうな顔をしながら、光里ちゃんは私に挨拶を返した。


 勿論、ただ挨拶をする為だけに光里ちゃんの机に駆け寄ったわけではない!


「光里ちゃ〜ん! どうしよう?!」

「アホか! 連絡先ぐらい自分で聞きなさい!」

「えぇ〜!」


 かの有名な眼鏡の少年のように光里ちゃんに泣きつくと、光里ちゃんは冷たく返した。

 しまったな……猫型ロボットではなかったみたい。

 でも、少しは助けて欲しいとは思うな!


「で、でも……何て言うの?」

「連絡先交換し忘れてましたって正直に」


 私が尋ねると、面倒くさそうに返された……。

 そんなにひどい反応する?! 結構私にとっては大きい出来事なんだけど……?


「どうするの。それでこいつバカだって思われて、ふられたら!」

「え…………?」

「え…………?」


 なんでそこでこいつアホかよって顔するの?! 私多分普通のこと言ってるよ? おかしくないはず!


「う〜ん……もういいや。私からは何も言わない。自分で解決しなさい」

「え〜〜!」


 突き放されてしまった……。マズい。解決方法が思い浮かばない。

 今更素直に聞きに行けないよ〜。


 チラッ! あ、目逸らされた! これは本当に助けてくれないらしい。ちょっと怖いけど、自分でなんとかするか。


 教室の前の方で話している立花くんの顔を見て、少し溜息。聞きに行くことは出来ないな……。


 そう思っていたら、先生が入ってきた。SHRショートホームルームが始まるようだった。

 急いで自分の席に着いた。


 う〜ん…………もう授業が始まっちゃうから、連絡先は聞けないな。一応、スマホは校内使用禁止だし。先生の前で使っちゃったら、どうなることやら。


 よし、昼休みだ。昼休みに聞こう。


 そう思えば、朝の授業はスルッと終わった。終わってしまったとも言える。なんの決心もする間もなく。

 あぁっ! どう……どうしよう?! どうやって話しかけるかとか全く決めてないよ!


 何も出来ずに、机の上で頭を抱える私。なんの意味も無いけども、だけどこれしか出来ないんです。


 そんな私に近寄る影――――立花くんでした。


「ねぇ……一緒にご飯食べない?」

「……は、はい! ぜひ!」


 すぐに飛び起きて、大きな声を上げてしまった。少し注目を浴びてしまって、へなへなと椅子にまた座ってしまった……。

 そんな私を見て、ハハハッ!と爽やかな笑顔の立花くんでした。


「どうする? 食堂に行く?」

「人が多そうだからちょっと……」

「う〜ん……じゃあ、空き教室に行こっか」

「うん!」


 立花くんの提案に思わず力強く頷いてしまった。


「あ、スマホは持って行こうね」

「は、はい!」


 立花くんがいたずらっぽく笑うので、少しうっ!と心臓を押さえながら返事をした。


 心臓に悪いな。あ、スマホスマホ。


 先に教室を出て、ドアの所で待っていてくれたので、早くスマホと母のお手製弁当を手に持ってその背中に追い付く。


「す、すみません……」

「いや、良いよ。行こっか」

「はい」


 軽く言葉を交わして、再び歩き出した。私は立花くんの一歩後ろを歩く。

 別に、女は男の一歩後ろを歩く、みたいな話なんかではないのだけど……恥ずかしいからね? ただでさえ、男女が一緒に居るだけで噂されるのが、高校生だから。


 それに、私なんかと噂されても、少し可哀想だとも思う。


 とか考えてたら、立花くんが立ち止まってしまって、私はその背中に激突した。鼻からぶつかったから、結構痛い……。


「ねえ、何で後ろ歩いてるの?」


 立花くんが振り向いて私にそう言った。その顔は、少し怒りがこもっていて、私は驚いた。

 何で怒ってるんだろう……?


「え、え……?」


 私が困惑してると、立花くんは更にムッとした表情になっていく。

 え、え? 何で?


「俺は、一緒に歩きたいの!」


 深刻そうな表情で言ってくるから、思わず笑ってしまった。


「笑うな!」

「あははは! ごめんなさい。そんな顔して言う事じゃないな、と思っちゃって」

「俺にとっては、大事なことなの!」


 少しだけ拗ねたように返されてしまった。どうしよう……可愛いな。


「いや、でも見られたら」

「大丈夫だよ」

「私なんかと噂されても……」

「むしろどんとこい!」

「……恥ずかしい」

「俺もそれなりに恥ずかしいんだけど? こんな風に自分の要求を伝えるの」


 全てにおいて完璧に返されてしまった! 断れない……! いや、嬉しいんだけど。本当にね!


 やっぱり、決心すべきなのかもしれない。


「……分かり、ました」


 そう言って、横に並んで歩いてみた。チラッと見た立花くんの表情は、とっても明るかった! 本当に一緒に歩きたかっただけらしい。


 嬉しそうな顔をしてるけど、私もとても嬉しいです!


 そうして、会話は無いけど、妙な満足感を心に残しながら、階段を昇って三階のこの校舎最上階に着いた。


 その端っこが所謂空き教室だ。

 そして、三階は人がいなかった。どこのクラスも三階が教室じゃないからね。

 静かで……緊張します!


 ガラガラと音を鳴らしてドアを開けて、机をくっつけて正面を向き合いながら座る。


 何となく顔を見れなくて、もじもじと2人でしだしてしまった。


 あれ? 連絡先、交換出来るかな?

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