第17話 デート、耐えきれるかなぁ……?
一ヶ月以上空けてしまい、申し訳ございませんでした!
〈結城唯音〉
付き合うことに成功したカフェに来たけど……、このおじさん(おじいさん?)は絶対色々掘り下げるよね?! だよね?! めっちゃ笑顔だもんね?!
立花くんは横で普通に談笑してるけど……耳赤いな。
やっぱり店長さんには敵わないみたい。
そんなところを可愛いと思ってしまう私も私だけど。
「それで、付き合ってからどうなんだい? そちらの彼女さんは」
「へ?!」
急に矛先がこちらに向いて思わず変な声を出してしまった……。
「あれ? 固まってしまったな……」
店長さんが動く気配を感じるけど、ぼやけて見える……はっ! 危ない。恥ずか死しそうになってた。
「はいっ!」
思わず大きな声で反応してしまった。
そんな私をクスクスと店長さんは笑い、立花くんは苦笑して私を見た。
再び顔を真っ赤にして私は顔を俯かせた。
そんな私を見て、店長さんは満足に笑みを浮かべるのだった。
「からかうのはこれぐらいにしておきましょうか。どうやら恋人になって楽しんでいるようですし。ご注文はどうなされますか?」
「あ、俺はこのサンドイッチとカフェオレで。結城さんは?」
「あ、私は…………おんなじもので」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
店長さんは私たちから注文を聞くと、後ろに下がっていった。カウンターの後ろには調理場があり、カウンター席からは店長さんが料理をする姿が見えた。
追撃が止んで一息をつくと、立花くんと目が合った。
「どうかしたの?」
「いや、なんでもないよ……」
思わず尋ねてみたけど、目を逸らしながら立花くんは誤魔化した。その目が、申し訳無さそうに感じた。
だから私は更に突っ込む!
「どうかしたの?」
「えっと……」
「どうかしたの?」
言い淀む立花くんに、私は畳み掛けた。
「そのー、ここに来るのがあんまり良くなかったかなって……」
「どうして?」
「結城さん、ここに来てからあんまりしゃべってないから……」
何故か敬語が外れてしまっている私に、立花くんは恐る恐るといった感じで話し出した。
「まだ慣れてないかなって……」
気不味そうに目を下に向ける立花くん。
そんな様子がよく分からず、私は首を傾げた。
「えと……? 慣れてなくて喋ってなかったらどうなるんですか?」
「へ?」
私の質問に、立花くんは間の抜けた声を上げた。
「私は口下手なことは自認してますし、人見知りで恥ずかしがりです。だから、この場で慣れてなくて、喋れなくても正直、おかしくはないですよね?」
「は、はい……」
何故怯えた様子で同意する立花くん。私、怖がらせてるのかな? いやでも、さすがにこれは言いたい。
「私が言いたいのは! 立花くんと付き合えたこの場所でもう一回話して、嬉しくなってるだけなんですよ。それで、あの日のことを思い出して舞い上がってるだけなんですよ」
私が言い切ると、立花くんはポカンと口を開けて固まった。
しばらくすると、爆発したように顔が赤くなって、両手で顔を隠した。そのままカウンターにひじを乗っけて「う〜」と唸りだしてしまった。
何が何やら分からず、私も立花くんを見て固まってしまった。
そんな時、店長さんがキッチンから出てきて、カフェオレの入ったカップとサンドイッチの乗った皿を置いた。
「彼は恥ずかしがっているんですよ。面と向かって、付き合えて嬉しすぎて舞い上がってる、なんて言われたら男冥利に尽きますからね」
店長さんは優しい微笑みで私にそう語りかけた。
私はポカンとして、立花くんを見た。
おそらくは数十秒前の立花くんとおんなじ表情だ。
私の心は花が咲いたように嬉しくなった。
唇が、口角が上がっているのを感じる。
気持ち悪く思われそうだけど、押さえ切れない。どうしても上がっちゃう。
あぁ……私で照れてくれて、私で喜んでくれている!
そのまま五分間たっぷりはそのままだった。
店長さんは何も話すことなく、その間ずっと待ってくれていた。
私はずっとニマニマとしていた。立花くんは頬を冷ますように、手でパタパタと扇いでいた。
そんなところすら、可愛い。
それが、私の彼氏なのです。




