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第16話 デート、楽しませて楽しまないと!

〈立花匠真〉


 イルカショーも終わり、俺と結城さんは外に出た。


 イルカショー……良かったな。本当にあんな風にイルカって飛ぶんだ。イルカも可愛かったし。

 結城さんも何となく満足そうだったし……。


 あ、昼時じゃん! 飯、どうしよっかな……?


 考えてこなかった……。一緒に探して回るしか無いか。


「そういえば、お昼ごはん、どうしましょっか?」


 俺の思考を読んだかのように、結城さんから質問が飛んでくる。

 正直に言うと、ドキッとした。

 まさしく俺の悩んでいた点……失望されてしまうと思っちゃうのも仕方ないと思うんだけど。


「今俺も悩んでました……すみません。考えてこなくて」


 思わず俺は頭を掻きながらそう答えた。


「いえいえ。むしろ二人で良さそうな所見つけるのもありじゃないですか?」


 結城さんは俺にそう言うと、笑い掛けた。


 何となく、未来が読めた様な気がした。

 この人には一生かけても敵わないような気がした。


「そうですね。探しましょっか」

「はい!」


 俺の言葉に、結城さんは力強く頷いた。

 その表情に、俺の心は撃ち抜かれたようで、しばらく動悸が止まなかった。

 さぞかし俺の顔は赤かったろうと思う。


 結城さんが俺に振り向いた。


「どうかしましたか?」

「……いや、なんでもないです。どこから周りましょうか

……?」


 俺に結城さんは尋ねてきた。とりあえず必死で顔を冷やしながら誤魔化した。

 結城さんはそれを不審がる様子もなく、何となくといった感じで話し始めた。


「あ、そういえばここから学校の最寄りに近いですよね」

「あぁ……確かに。お昼ご飯……あそこにしませんか?」


 俺はふと思い浮かんだ場所が昼食場所に良いかと思い、店名を出せずに口にした。

 やはりそれだけでは伝わらなくて、結城さんは首を傾げた。


「あそこ……?」

「あそこですよ。あの、俺の親友と俺と、あと結城さんともう一人で集まった、あのカフェですよ」


 何となく申し訳なくて、苦笑気味でなんとかあの場所を伝える。

 恥ずかしかったから、具体的に――カップルとして付き合うことが出来た場所とは言わない。


 だってさ! 恥ずかしいじゃん!

 しょうがないじゃん!


「あ、あ〜……」


 結城さんは思い出したように頷いたかと思えば、顔が一気に赤く染まった。

 俺の顔もつられるように熱くなる。


 あ〜、ヤバい。

 こういうとこ、可愛いと思うし、好きだなって思ったんだった……。

 ある意味、ツボってことだわ…………。


「ど、どうします? やっぱりこの時間ってどこも空いてないんじゃないかって思って……」

「そ、それも、そうですね! じ、じゃあ行ってみましょうか?! 二駅分くらいですし!」

「わ、分かりました……」


 この会話で、俺達がどのくらい動揺してるかは伝わったかと思う。

 未だにこんな中学生カップルみたいな高校生いないだろ!


 だって初彼女だもん! しょうがないって!(一人ボケ一人ツッコミ!)


 とりあえず、二人で顔真っ赤にしながら愛想笑いを浮かべて、電車に乗り込んだ。

 確かに、いつも降りる学校の最寄りからは二駅しか離れてないな。意外にも近い水族館。


 そして、なんだかんだで道は覚えていた。

 少し表通りから外れて静かな街並みになる。


 『キャメル』と書いてある看板が見えた。


 本当に……見覚えしかない店構えだった。


 中に入れば、あの恥ずかしい思い出が蘇ってくる……。(たったの数日前!)

 カウンターの奥に、この前もいた白髪で銀縁の眼鏡がよく似合うおじいさん。

 お客さんはそこそこといったところだった。


「いらっしゃい。数日ぶりだね。仲良くしてるかい?」


 店主らしきおじいさんから話し掛けられた。しかもしっかりと覚えられていたことが恥ずかしかった……。

 隣を見れば、顔を真っ赤にして俯く結城さんがいた。


「はい、仲良くしてますよ!」


 とりあえず俺が応対する。なお、俺の顔も赤かったと思われる。


「はははっ! それは何よりだ」


 おじいさんは笑ってそう言った。落ち着いた雰囲気が全く崩れないのはすごいと思った。

 こんなおじいさんになりたいものだなぁ……。


「あぁ、すみません。席はご自由にお座りください。おや、カウンターが……」

「…………カウンターで良いですよ」

「これは失礼。どうやら誘導してしまったみたいだね」

「いえいえ」


 この人、予想以上におちゃめな人かもしれない。ていうか、良いおじいさんの部類だな。

 どうりで二人で店に入った瞬間、なんかめっちゃ顔が優しいなと思った。

 これは……食い物にされそうだ。


「カウンター席ですね。こちらへどうぞ」


 おじいさんは一ミリも動くことなく、自分の目の前に俺達を誘導した。

 結城さんは……目を回していた。


 やっぱりまだ早かったかな?

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