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第11話 帰り道 2

〈結城唯音〉


 帰り道……誘ってくれたのは嬉しいけど……嬉しいけど! 気まずいというより、私が立花くんと話すことを思い付かない。

 いや、一緒にいれるのは嬉しいけどもね?

 連絡が来たときには光里ちゃんに抱き着くくらい喜んだけど!


 一応、校外には出て、ゆっくりと駅までの道を歩いてる。チラッと横顔を見れば、少し耳が赤くて顔は強張ってた。

 立花くんも緊張してる感じ。


 ……光里ちゃんに見られたら、中学生かって笑われそう。


 昨日は何で気まずい感じがなかったんだろう……? やっぱり思いが伝わって舞い上がってたからかな。

 よく思い出して…………あ! そうか!


 昨日は立花くんから手を繋いでくれたからだ!

 それで全部吹っ飛んだんだ!


 今度は、私から手を繋げば気まずさも消えるかな? 少し恥ずかしいし……勝手に手を繋いでも良いのかな? いやでも……。


 まずは、話し掛けて……許可を取ろう。


「あの……立花くん!」

「はっはい!」

「あ……、えと……」


 言え! 言わないと手繋げないぞ!

 でも、がっついてると思われたくもないし…。いや、言おう!


「手! 手、繋ぎましょ!」

「て……? あぁ、はい!」


 私は勢いに身を任せて、立花くんに詰め寄った。う〜ん……私のことを勢いが強い女の子と思われてそうで、ちょっと不服。

 立花くんは一瞬ポカンとした顔の後、すぐに頷いてくれた。


 私が手を差し出すと、立花くんはしっかりとその手を取ってくれた。……恋人繋ぎじゃないけど、それはまだ早いような気がして――――私のことをきちんと分かってくれてるような気がして、少し嬉しい。


 これが、私たちなりのカップルへの第一歩なのだと。しっかりと、今日認識した。

 ニヤけないなんていうことはない。誰でもニヤけるでしょ。


 立花くんを見てみれば、赤かったのは耳だけだったけど、伝染して頬はだいたい染まってしまっている。そんな立花くんの存在を意識してしまって、私の頬も熱を持った。

 頭から湯気が出そう……。


 一度意識し出してしまえば、止まることはできない。かわいい顔をしているのに、意外にもがっしりとした手。痛いくらいに握る力。

 あ、別に力が強すぎて痛いっていう文句じゃないからね。それぐらい強く握ってくれるってことは、離したくないってことだと思ってるから。


 手を繋ぐだけでも、ほのかに募る幸福感と舞い上がりそうになる気持ち。

 世の中のカップルが手を繋ぐのを散々見てきたけど……これは繋ぎたくなるね。初めて理解した。


 もっと関係が発展していくと……あ、無理だ。そんなの耐えられないわ。


 ぼーっと手を繋ぎながら歩いていたら、駅に着いた。あぁ、手離さないとな。


 改札だから、手離さないと……あれ? 離されないな。立花くんが先に行って、片手は繋いだまま、定期をかざして通り抜けた。私の片手も繋がれているから、自動的に私もついて行く。


 てっきり、手を離すものだと。立花くんはチラッと一瞬だけ私を見て、恥ずかしそうに笑った。

 ふぁっ!?!! カッコいいんだか、かわいいんだか、分からなくなった……。分かることは、破壊力スゴイ……。


 ホームで電車を待つ。二人で並んで立っている。手は繋いだまま。邪魔じゃないかというよりも、変な目で見られてないか少し心配な感じだけど、全て吹き飛んでるんだよね……。


 あ、私が乗る電車だ。


 電車は止まり、ドアが開いた。中にいた人たちが次々と出て行き、外の人たちが入れるようになった。


 一応、並んでた最後尾だから時間はある。離したくないなと思いつつ、離さなきゃ乗り遅れる。前に並んでた人が電車に乗り込んだ。

 私は一度だけギュッと立花くんの手を強く握って、すぐに手を離して電車に飛び乗った。


 電車はすぐに発車した。ドアのガラスから、顔を少しだけ覗かせながら手を振った。立花くんはぼうっとしてたけど、大丈夫だろうか。

 今日の夜、何て連絡しようだったり、明日の学校楽しみだなと思いながら、人が少なめの電車で少し笑った。




〈立花匠真〉


 え?! 何?! 最後にギュッてすんの反則じゃない?!

 しかも手も振ってくれたし……明日死ぬんかな、俺。


 とりあえずベンチに座って、自分の電車を待つ。


 手を強く握って、その握り拳をガン見する。

 恥ずかしそうな顔をして、手を振った結城さんを思い出して、俺はベンチの上で頭を抱えた。

ブックマーク2件ありがとうございます。これで、この作品が僕が書いてる中で一番ブックマーク数が多いです。一番後発のシリーズなのに……。

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